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大停電の夜に [2005年 レビュー]

大停電の夜に」(2005年・日本) 監督:源孝志 脚本:相沢友子、源孝志

 年内にどうしても観たかった1本はコレです。
 東京国際映画祭クロージングナイト上映作品。大好きな大好きな大好きな原田知世が久し振りに出演したメジャー映画。そして「“ラブ・アクチュアリー”のよう」と評判のクリスマス映画。あらゆる意味で今年最も期待をした映画でした。
 ところでこの作品、僕が映画を観るならココと決めている「ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズ」では上映されておらず、調べてみると意外と上映館が少ない。しかもクリスマス映画と謳っているのに何故か大半の劇場が12月16日で上映終了…。僕はまさかこんなタイミングで終わるとは思ってもいなかったので忙しいスケジュールをやりくりし、15日の品川プリンスシネマ、21:00スタートの回を観ることにしたのでした。心の片隅に「嫌な予感」を抱きつつ。

 本題に入る前に劇場のハナシをひとつ。
 映画館のシートって重要ですよね。品川プリンスシネマは初めて入ったのですが、ここは床に対してシートの高さがちょっと低く、座り心地は良くありません。そんなに足の長くない僕ですら足の持って行き場に困るくらいだったので、僕より若い世代にとってはかなり窮屈に感じると思います。ただ、さすがホテルの映画館だけあってクロークがあるのは好感が持てました。

 さて本題です。
 この先は映画を観なくても済んじゃうくらいのネタバレを書きますのでご注意を。
 まずは一言…。
 



 


 これが年内最後の映画と決めて来たのに死ぬほど面白くねーぞ!
 このうすらとんかち!

 どれぐらい面白くないかと言うと、一緒に観に行った女子が「まだ面白くならないからしばらく寝ても平気かなあ」と思って最後まで爆睡したほどです(笑)。
 一体なぜここまで面白くないかというと、その決定的な原因は「2人芝居」が多過ぎるためです。
 シナリオの勉強をしていた頃、僕は師匠からこう言われました。
 「2人芝居は誰でも書ける。3人芝居が書けてこそプロ」
 考えてみてください。
 2人のときと3人のときとでは会話の拡がりが大きく異なります。
 2人でなら終わってしまう会話も、3人になるとそこには矛盾も葛藤も個々の思惑も介入して来て簡単には終われません。これこそがドラマの醍醐味であり面白みでもある。よって「2人芝居」の多いこの作品は「ドラマの面白みに欠けている」というわけなんです。
 では続いて具体的な「ダメダメポイント」を挙げましょう。
 
 ①『停電による“笑える”パニック描写がどこにもない』
   とにかく登場人物全員が落ち着き払っていて観客が感情移入出来る人物が一人もいません。
   例えば八嶋智人、荒川良々、大倉孝二と言った俳優を起用して「確実に笑える登場人物」を
   作らなかったのは大失敗だったと思います。

 ②『CGで描いた雪がウソ臭い』
   クリスマス映画の命は「雪」です。
   ほとんどのシーンの雪がCG処理だったため、俳優の衣装に雪が落ちることもなく、
   ウソで塗り固められたシーンに興ざめ。

 ③『航空券に関する決定的なウソ』
   エンディング間近。ジャズバーのマスター(豊川悦司)がキャンドル屋の娘(田畑智子)に
   「店を手伝ってくれた御礼」として無駄になったニューヨーク行きのチケットを2枚プレゼント
   するシーンで「好きな男と行っておいで」と言うのですが、国際便の航空券は搭乗者の名前が
   一文字でも違ったら乗れませんから!
   源孝志も相川知子もこの映画のプロデューサー連中も海外旅行したことねーのか?コラ!

 この映画はほとんどの映画館で今日が最終日ですから、今年の大事なクリスマスにこの映画を劇場で観て、無言になっちゃうカップルが生まれないのは喜ばしい限り。
 DVDになっても全く観る必要なし。

 ただし。
 原田知世ファンは「人妻」を演じる彼女を堪能してください。とにかく彼女はキレイです。僕にとっての永遠のアイドル。「時をかける少女」もこんな芝居ができるようになったんだなあ、と感無量でした。
 ついでに「原田知世を妻に持っていながら、なんで井川遥と浮気するか、田口トモロヲ!」とマジで思いながら観てました(笑)。
 それにしてもこのままでは年内は終われません。リベンジします(何本観る気なんだ!)

 ステキ♪

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  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2006/05/12
  • メディア: DVD

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コメント 20

coco030705

こんばんは。
あはは・・・。威勢がいいですね、kenさん。読んでいて思わず笑っちゃいました。友達のナナミさんは、全員がかっこよすぎるとかいってましたけど・・・。
私は、「北の零年」を見てから、豊悦のファンになったんですが、やっぱりだめかなあ。
「原田知世を妻に持っていながら、なんで井川遥と浮気するか、田口トモロヲ!」のところは、わかります。
by coco030705 (2005-12-16 17:49) 

ecco

あの。
kenさん・・・
私はこの映画をみたらいいんですかそれともみなくてもいいんですか???
by ecco (2005-12-16 20:52) 

ken

>coco030705さん
 知世ちゃんが嫁なら他にもう何もいりません(笑)

>eccoさん
 お?こんな映画観なくていいですよん。
 ていうか、観ちゃダメです。nice!ありがとうございます。
by ken (2005-12-16 22:13) 

カオリ

ぢつは、飛行機の中で観ちゃいました。しかも1本目に。。。(涙)
見始めてしまった手前、もしかしたらおもしろくなるかも?と思いながら観ていたのですが、いつしか夢の国へ。。。
ワタシが記憶していた田口トモロヲは別人だったことがこの映画を観た収穫かしら。
by カオリ (2005-12-17 00:52) 

ken

静かなんですよね、映画そのものが。
だからスヤスヤと夢の国へ旅立ちたくなる(笑)。
で、誰を田口トモロヲさんと間違えていたのですか?
by ken (2005-12-17 16:56) 

うすらとんかちww。絶妙です。
何か前に特ダネでこの映画の紹介をやってたのですが 何でも“黒”の描写に相当こだわっているとか。でも内容がだめじゃ意味ないだろー!!特ダネでいいといった映画は地雷の可能性が高いと思う今日この頃です。
by (2005-12-17 17:39) 

keiko-nari

見たいな~みたいな~と思いつつ日々過ぎてしまいました
来週から暇といえば暇なので
なんかDVD見てみようかな
しかし雪がCG・・・・・・・・・・
この間降ったからますます現実味がないじゃん
by keiko-nari (2005-12-17 18:10) 

ken

>replicalove*さん
 黒の描写?そんなことよりウソつくな、ウソを!とやっぱり言いたいです(笑)
 nice!ありがとうございます。

>keikoさん
 こんな映画観なくてよろしい!600nice!ありがとう♪
by ken (2005-12-17 22:30) 

snorita

トヨエツでてるけどみなくていい?(トヨエツ好きより)
by snorita (2005-12-18 08:52) 

ken

好きな俳優さんが出ているなら観てもいいんじゃないでしょうか。
そして感想を聞かせていただきたいです。ぶるぶる。
by ken (2005-12-18 10:22) 

optsaru

こんにちは。
私は、この映画、観ていないですし、観たいとも思わなかったですけど、
わかりやすい評論をありがとうございます!!!
by optsaru (2005-12-18 12:19) 

ken

犠牲者を一人出さずに済んだようですね。良かった良かった♪
nice!ありがとうございます。
by ken (2005-12-19 19:49) 

カオリ

ワタシが田口トモロヲと思っていたのは、田口浩正でした。って、田口が同じだけじゃん!!
プロジェクトXのナレーションを聞きながら いつもワタシの頭の中には汗をかきながらShall We Danceしている田口浩正の姿が浮かんでいたのでした(^^;
by カオリ (2005-12-20 00:18) 

ken

しょえーっ!すごい思い違いもあったもんですねー(笑)。
トモロヲさん、かわいそー。
by ken (2005-12-20 00:27) 

しろうさ

お久しぶりでございます。しろです。

私は公開まもなく観たですよ・・・そしてその後に
「春の雪」観ちゃいました。(余談ですが別日程で「四月の雪」も観ました)

あれは田畑智子がかわいかった(役柄が)だけでしたね~。。。
男性はあの手がお好きなんですかね?謎。。。
by しろうさ (2005-12-20 13:34) 

ken

うお。しろうささんじゃないですかっ!
田畑智子さんは確かに可愛かった。
それと「この人はコメディ向きの間を持っているなあ」と感心してました。
書かなかったけど(笑)。
男はこの手の映画が好き?ま、女子に比べてロマンチストですからね。
by ken (2005-12-20 22:12) 

しろうさ

「男性はあの手がお好き」とは
『男性は田畑が演じていたような女性が好きなのかしら?』ってことですね。
そうなのでしょうかね?

男性はロマンチストですよ。。。
それはやっぱり母になれないからじゃないですかね?
by しろうさ (2005-12-22 23:35) 

ken

あ、勘違いでしたか。
「キャンドル屋のお姉ちゃんみたいな女の子」
確かに一途(なのか?)なところは可愛いけれど個人的には好きじゃないな。
男は母になれないからロマンチスト?重い言葉ですねえ。
今度ゆっくり考えてみます。
by ken (2005-12-23 13:46) 

eklady

この作品を観てから、1年以上がたったのですね。自称トヨエツファンですから、良くても悪くても1度は観なくては、ストーリーが浅かろうと、雪がCG?だろうと、これからの彼の成長を楽しみにしているファンですから。うんうん
 ケンさんの小気味のいい文章に、明け方なのに笑ってしまいました。
自分の声にびっくりです。これかも楽しみにしてます。
by eklady (2007-03-11 04:33) 

ken

トヨエツ映画で言うと、最近観た「北の零年」でのトヨエツが良かったですね。
あと、「ちょっとヘンなオジサン」の役とかやってくれないかな、と内心思っています(笑)。
by ken (2007-03-11 11:52) 

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