スーパーマン [2006年 レビュー]
「スーパーマン」(1978年・アメリカ) 監督:リチャード・ドナー 脚本:マリオ・プーゾ
この夏公開される「スーパーマン・リターンズ」はオリジナル映画シリーズの続編だそうだ。Newsweek日本版(ゴールデンウィーク合併号)の特集記事にこんな記述があった。
【舞台は「スーパーマンⅡ」の数年後。スーパーマンが地球に帰ってくるが、メトロポリスは様変わりしている。別の男性と人生を歩きはじめたロイスは新しい愛をはぐくむか、昔の恋人のものに戻るか決断を迫られる。】
というわけで今日からオリジナルシリーズを見直すのだ。多分パートⅡまでしか観ないと思うけど(笑)。
ちなみに本作が日本で公開されたのは1979年で当時僕は高校2年生。その前の年に「スター・ウォーズ」と「未知との遭遇」を観ていたせいで、非現実的なアメコミヒーロー作品に対して少々否定的な気持ちでいた記憶があります。子供って許容量が少ないから否定するものも多いんだな(笑)。
でも映画って大人が気合入れて作ってますから、観る側も大人になるといろいろ面白いことにも気がつくんです。
「スーパーマン」で一番驚いたのは脚本を書いたのがマリオ・プーゾだったこと。オープニングクレジットにその文字を観たときはたまげました。
「え?これってマリオ・プーゾって読むんだよね?」(笑)
なんたって「ゴッド・ファーザー」の原作を書いた人ですよ。もしかしてマーロン・ブランドが出演したのは「それ繋がり?」なんて思ったりして。
しかもマリオ・プーゾの脚本がとてもよく出来ていて、アメコミヒーローモノの基本フォーマットはマリオ・プーゾの手によって完成されたのだと今回確信しました。「バットマン」も「スパイダーマン」も「デアデビル」も「ハルク」も「ファンタスティックフォー」も、間違いなく「マリオ・プーゾ版スーパーマン」をお手本にしています。こりゃもう「スタンダード(あるいは古典)」と呼ぶべきですね。はい。
具体的な中味について。
地球に送り込まれたカル・エルがクラーク・ケントとして過ごす少年期の描写が素晴らしい。
リチャード・ドナー監督は広大で美しい田舎の風景を徹底的にワイドで見せ、そこにまだ未熟なクラークを小さく置いて見せています。
これらは“スーパーマンが如何にして器の大きな人になったか”を暗示し、さらに出身こそクリプトンだけれどスーパーマンは事実上“アメリカ育ちのアメリカンヒーロー”であることを観客の潜在意識に訴えているのでしょう。これは実に見事なテクニックだと思いました。
さて大人になっても子供の頃と同じ感想もひとつあります。
それは「なんでヒロインがこんなにブサイクなんだよっ!」です。はっきり言って相変わらずムカつきました(笑)。
「マーゴット・キダーをキャスティングしたのは誰だコノヤローっ!」
クリストファー・リーブがはまっていただけに残念至極でしたね。
「スーパーマン・リターンズ」で救われるのは、ロイス・レインを演じるのがケイト・ボスワースであることです。良かったよ~(泣)。
アメコミムービースタンダードの本作品。
クリストファー・リーブさんを追悼する意味でも再見してみてはいかがでしょうか。
合掌。
thanks ! 210,000prv
おはようございます。
スーパーマンの少年期の描き方、なるほどと思いました。
それからkenさんは、よく脚本のことをおっしゃっていますので、
とても参考になります。私は脚本がいいとか悪いとかいうのが
あまりよくわからないほうなので・・・。これは、ストーリーがいいという
ことでしょうか?
ヒロインの選び方には、私も疑問がありました。(^^)新作が楽しみです☆
21万hit、おめでとうございます!
by coco030705 (2006-05-14 10:31)
説明が足りませんでした(~_~;)
例えば【前半は誕生の舞台裏を丁寧に見せる】、【ヒーローを登場させたら、その基本能力は弱者のためにあることを知らしめる】、【弱点あるいは負い目があることを教え、必ずしもパーフェクトではないことを教える】など、今では当然のようになっているシークエンスはマリオ・プーゾが「スーパーマン」で完成させた、ということです。
スーパーマン以降のヒーローモノを観ると「なんだ、またこの展開かよ」と思うんですけど、必要不可欠な要素なんですね。これが。
nice!ありがとうございます。
by ken (2006-05-14 19:50)