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SAYURI [2006年 ベスト20]

SAYURI」(2005年・アメリカ) 監督:ロブ・マーシャル 主演:チャン・ツィイー

 日本人はこの作品を誤解しないほうがいい。
 「日本のことをロクに理解していないアメリカ人が作ったウソだらけの映画」と非難するのは自由だが、それは深慮を欠いた愚かな行為だ。
 「SAYURI」は世界中でただ日本人だけが「これはアメリカ産の映画だ」と認識して見なければならないが、その余計な意識さえ捨ててしまえば実に完成度の高い作品としてその目に映るだろう。

 セリフは全篇英語。主要キャストは中国人。もちろん違和感はある。しかし単純明快なストーリーと、これが長編2作目とは思えないロブ・マーシャルの演出力、そして3人の中国人女優(特にコン・リー!)の見事な演技が、ヘタな先入観の一切を吹き飛ばしてくれるのは間違いない。
 事実、僕は146分という上映時間に一度は躊躇した。さらに「違和感があるようなら日本語吹き替え版で観よう」とも決めていた。しかし僕はオープニングからまもなく総てを忘れて没頭した。エンディング間近で軽く失速はするものの「長い」とは一度も思わなかったし、英語セリフを「気持ち悪い」とも思わなかった。当然これには理由がある。
 日本人にとってまずラッキーだったのはサユリ、豆葉、初桃という3人の芸者をチャン・ツィイー、ミシェル・ヨー、コン・リーが演じたことだ。我々日本人はアメリカ人の観客と違って彼女たちが中国人女優であることを知っている。だからこそ彼女たちが日本語セリフを口にしていたら逆に違和感があったと思う。個人的には字幕に慣れているせいもあるだろう。しかし役者が話す言葉が例えどの国の言葉だろうと、僕が日本語使いである以上僕の心に届く声は日本語なのだ、と思った。
 
 長さを感じさせなかった要因は先にも書いた通りストーリーがとても判りやすく、それでいてブレが一切無いからなのだが、忘れてならないのは上映時間146分中、チャン・ツィイーが登場するまでのおよそ40分間を引っ張った子役の存在だ。
 大後寿々花。
 「北の零年」でスクリーンデビューし、その才能に惚れ込んだ渡辺謙の推薦もあって今回出演が決まったというこの小さな女優の演技力は見事だった。その昔NHKで放送されたドラマ「おしん」の小林綾子を思い出す。あのドラマも小林綾子がいたからこそ大ヒットした作品だった。大後寿々花が演じたのは「サユリ」と名乗る前の「千代」だが、僕はタイトルロールを演じた一女優として記憶に留めたい。本編のラストカットを見ればきっと誰もがそう思うことだろう。この映画を締め括ったのは間違いなく彼女なのだから。

 ロブ・マーシャル。
 ミュージカル映画においてのみその才能が生かされるのかと思いきや、この作品の映像もバツグンに美しかった。舞台シーンの演出が優れているのは当然としても、謎めいた置屋街の明暗にこだわったカットの数々は「仮に潤沢な予算があったとしても日本人監督にこの映像が撮れるのか?」と思ったほどです(なんと、いま確認したら撮影のディオン・ビーブは本作でアカデミー撮影賞を受賞していました。素晴らしい!)。
 またアメリカ人による芸者映画でありながら、「芸者イコール娼婦ではない」という説明があるのは日本人として妙に嬉しかった。そこは確実に誤解されてると思いますからね。
 
 まとめ。
 監督は「シカゴ」のロブ・マーシャル。製作はスティーブン・スピルバーグ! 音楽はジョン・ウィリアムズ!! 主演はチャン・ツィイー!!! こんな人たちが集まってJAPANのGEISHAの話を作った!!!!
 それでいいじゃないですか。もっと楽しみましょうよ(笑)。
 個人的にはこのDVD、買いです。

 thanks! 240,000prv

SAYURI

SAYURI

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2006/07/05
  • メディア: DVD

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コメント 5

satoco

私が見終わって最初にしたことは、大後寿々花のnet検索です。彼女の存在感にはびっくりしました。しかもめちゃカワイイ。(チャン・ツィイーにちょっと似てますよね)
それからコン・リーにはほんとうに圧倒されました。つやっぽい表情が素晴らしかったです。

私の方のブログでは人物描写が浅いと書きましたが、映像の美しさに関してはまさに同感でした。
by satoco (2006-07-10 19:57) 

sora

コメントを辿ってきました。
こんばんは。
「長さを感じさせなかった」というのは同感です。
そういう点では、力のある映画だったんだな・・と思いました。
146分もあったんですね。気づかずに観ていました。
大後寿々花ちゃんの存在感は確かに「おしん」に通じるものがありますね。
by sora (2006-07-22 21:59) 

ken

>satocoさん
 亀レス申し訳ありません。
 僕は完全に大後寿々花のファンになりました。
 早速出演作観ちゃおう(笑)。nice!ありがとうございます。

>soraさん
 長さを感じさせないのは監督が“見せ場”を心得てるからなんでしょうね。
 なかなかいい作品だったと思います。
by ken (2006-07-23 19:16) 

keiko-nari

画像がきれいだったね。目に吸い込まれそうでした。
by keiko-nari (2006-07-30 22:03) 

ken

そうそう。キレイなものはいつ観てもいいです。
by ken (2006-07-31 00:24) 

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