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デート・ウィズ・ドリュー [2006年 レビュー]

デート・ウィズ・ドリュー」(2004年・アメリカ) 監督・製作・編集:ブライアン・ハーズリンガー 他

 映画界に何のコネも持たない青年が、クイズ番組に出演して獲得した賞金1,100ドルを元手に、永年ファンだったドリュー・バリモアと「デートをする」という夢を叶えるために奔走するドキュメンタリー作品。

 マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」以降、近年ドキュメンタリー映画が大人気だ。同じくマイケル・ムーアの「華氏911」。ファーストフード業界に大打撃を与えたモーガン・スパーロックの「スーパーサイズ・ミー」のヒットも記憶に新しい。
 ドキュメンタリー映画が人気なのは、映画会社にとって旨味の多いジャンルである、という点がまずは大きい。
 現時点での全米公開映画収益率(早い話が純利益)ランキングを見ると一目瞭然。ベスト5のうち、なんと3作品がドキュメンタリー映画(文字)で、しかも「デート・ウィズ・ドリュー」が第5位に食い込んでいるのだ。

 1位 ブレア・ウィッチ・プロジェクト (1999年)
 2位 ターネーション (2004年)
 3位 スーパーサイズ・ミー (2004年)
 4位 アメリカン・グラフティ (1973年)
 5位 デート・ウィズ・ドリュー (2006年)
 6位 淫魔 (1969年)
 7位 白雪姫 (1937年)
 8位 バス男 (2004年)
 9位 オープン・ウォーター (2004年) 
 10位 風と共に去りぬ (1939年)

 「安く作って大きく儲ける」
 メジャースタジオの社長室に“社訓”として掲げられてそうなことを現実にしてくれるのが、ドキュメンタリー映画というわけだ。
 
 順番は前後したが、忘れてならないドキュメンタリー映画最大のメリットはやはり「作り手が何人からも干渉されない」という点である。
 テレビ局のプロデューサーやスタジオの重役にとやかく言われることがない。残念ながら上映の保証だけはないが、自らのテーマに沿って自由に作品を作り上げて良いという環境は、商業映画では考えられないことだ。
 デジタル技術の進歩も大きい。本作もそうだが、デジタルカメラとMacさえあれば誰でも長編映画を作れるようになった。今も世界中で多くの若者が映画制作に励んでいることだろう。

 さて本作である。
 1ヶ月間マクドナルドを食べ続けるのも、1ヶ月間ドリュー・バルモアを追いかけるのも、作り手の意図さえ明確なら、どんなテーマの作品でも「魅せる作品」に仕上げることは可能なのだ、ということを「デート・ウィズ・ドリュー」は教えてくれる。新しい可能性を開拓したという点では賞賛に値する。
 また、この映画がアメリカでヒットした理由は、主人公ブライアンを取り巻く仲間の存在が大きい。その様子はまるでリアル「フレンズ」。大人になりきれない若い男女が、大人から見ればくだらないことに懸命になり、笑って、涙して、互いの友情を確かめ合う。僕はドキュメンタリーの着地点よりも、このプロセスのほうが断然面白かった。だからこそこの映画はヒットしたんだと思う


 結果がどうなるかは観た人だけのお楽しみ。
 個人的には若干の不満があるのですが、それは公開後に。



 さて、今日は2007年2月2日。
 公開からずいぶんと時間が経ったので、続きを書こうかと思います。(注:ネタバレ)
 
 途中僕は、「たとえばこの企画が『電波少年』だったら成立してねーな」と思いました。
 どうしてかというと、このプロセスはすべて放送されて、ドリューの関係者も当然見ることになるからです。
 「世間でえらい盛り上がってる企画がある」
 こんな噂が本人の耳に入ったらどうしたって「じゃあ本人に会う?会わない?」って話になるのは明白。
 この作品、スタートは一介のシロウトさんが勝手に一人で盛り上がってビデオカメラを回していただけですから、その行動がドリューの耳に入るなんてことはあり得ない。ここにはドキュメンタリー映画の新しい可能性を見た気がしたのですが、後半ホームページを開いたことと、「ドキュメンタリーを撮ってる」と公言した段階でアウトだったかなと思います。これは学校で好きな女の子の名前を公言したのと同じ。周囲が知るところになれば、指名された女の子は何らかのアクションを起こさざるを得ない。だから本作も途中で結末が見えてしまうというわけです。

 指定されたお店に登場したドリューの表情を見て、「ドリューってそんなにフレンドリーなの?」と思った人も少なくないはず。あれはもうしょうがないです。なんたってファンクラブの会長に会うようなもんですから(笑)。


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コメント 4

クリス

私も同感です。ブライアンの無謀な計画に付き合った仲間たち、大人になってるのに良い意味でなりきれてない関係がとっても良かったです。確かにちょっと不満というか、ムムム・・・な所もあったんですが、ブライアンの人柄と、低予算で頑張った所を考えれば、上出来かなって。私自身がかなりミーハーなんで、気持ちが共感できて楽しかったです♪
by クリス (2007-02-01 23:37) 

ken

そろそろいいかな?
ムムム…なところはやっぱりエンディングですね(笑)。
どうしたってこれはビジネスライクな感じがするし。
だからプロセスを楽しんだほうがいいんですよね~。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-02-02 00:07) 

クリス

やっぱり(笑)私も一緒です。なんかスーッと冷めてしまった自分がしました。不思議ですね、あんなに応援して観てたのに。ビジネスライクな所を感じたからですね、きっと。
by クリス (2007-02-02 01:20) 

ken

だからって「デート・ウィズ・グウィネス」は成立しないだろうしw
ドリューだからこそ、成立した企画なんでしょうね。
選んだターゲットが幸運だったってことでしょう。
いいタイミングなので、本文の続きを書くことにします^^
by ken (2007-02-02 09:24) 

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