硫黄島からの手紙 [2007年 レビュー]
「硫黄島からの手紙」(2006年・アメリカ) 監督:クリント・イーストウッド 脚本:アイリス・ヤマシタ
「アメリカ人監督がほぼ全編日本語の芝居を演出する」
そんなことって出来るんだろうかと思った。どう考えても僕には不可能だ。
聞けばクリント・イーストウッドは「基本的に芝居はつけない」と言っていた。それは日本人俳優だけじゃなく、ハリウッドの俳優にも演技指導はしないのだそうだ。
僕はここで演出論をとやかく言うつもりはない。それは監督の好き好きだから勝手にすればいい。しかし言語の違う異国の俳優にまでそれでいいのかと思った。
僕はそれくらい二宮和也の芝居が気になって仕方がなかった。
二宮和也は「NEWSWEEK 日本版」のインタビューに答えて、「役作りは特にしなかった」と言っていた。
………。
「役作りしろよ!」
と僕は言いたい。
昨日の木村拓哉と同じでジャニタレは基本的にウソ臭いのだ。
まず二宮の芝居を観ていて「そんな言葉使いがあるかよ」と激しく思った。
そうは言っても僕だって当時のことは知らない。だから百歩譲って当時の若い兵士が現代の小僧どもが使うような言葉を使っていたとしよう。だとしたら二宮和也の芝居が下手なのだ。彼だけが言葉使いに制限されることなく伸び伸びと演技を出来たはずなのに、ただ二宮和也だけが戦時中の緊張感をまったく放っていないのだ。これは一体どういうことだと思った。だから僕は作品の内容云々を語る前に「監督としてそれでいいのか?」と思ったのだ。
僕は本作のプロデューサーでもスタジオの重役でもないので、もうこれ以上は言うまい。しかし万が一にも二宮和也がアカデミー賞にノミネートされるようなことがあったら(助演男優賞にノミネートされる可能性もあるらしい)、僕は今年のアカデミー賞そのものを否定する。
作品としての「硫黄島からの手紙」について。
まず長い。
公式には141分とあるが体感時間は3時間近い。この上映時間の長さは「長期化する戦争がいかに苦痛であるか」の演出かと逆に思ったくらいだ。
冒頭は良かった。今の硫黄島の映像から入る演出は王道と言えば王道だが、日本人にとっては見慣れない映像だけになかなか衝撃的な導入だったと思う。そしてエンディングへと繋がるであろうシーンが用意され、なるほど物語の筋道を観客の想像させるのだが、その結末は「硫黄島からの手紙」と銘打った割にはドラマ性に乏しく、期待を裏切られた感がある。とにかく「泣きのアイテム」と言っても過言ではない「手紙」をうまく使いこなしていないのだ。誠に残念。
「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」について。
一番感動するのは、クリント・イーストウッドが日本人側の硫黄島を映画にしようと思い立った、その気持ちに尽きる。戦争映画を沢山観て来た人間にとっては、舞台がどこであろうが、主役が誰であろうが、そんなことは最早関係ないのだ。しかし勝戦国の人間が敗戦国の人間を主役にした映画を作ることには意味がある。なぜなら、これもまた一つの戦後処理と言えるような気がするからだ。
「相手の立場に立って物事を考えてみる」
作品の内容以前に、僕はこの姿勢が若い観客に伝わればそれでいいと思う。
子供には見せてもいい。
でも、これまでに優れた戦争映画を何本か観て来た大人は別に観なくてもいい。
描かれているのは戦争における不条理でしかないから。
「アメリカ人監督がほぼ全編日本語の芝居を演出する」
そんなことって出来るんだろうかと思った。どう考えても僕には不可能だ。
聞けばクリント・イーストウッドは「基本的に芝居はつけない」と言っていた。それは日本人俳優だけじゃなく、ハリウッドの俳優にも演技指導はしないのだそうだ。
僕はここで演出論をとやかく言うつもりはない。それは監督の好き好きだから勝手にすればいい。しかし言語の違う異国の俳優にまでそれでいいのかと思った。
僕はそれくらい二宮和也の芝居が気になって仕方がなかった。
二宮和也は「NEWSWEEK 日本版」のインタビューに答えて、「役作りは特にしなかった」と言っていた。
………。
「役作りしろよ!」
と僕は言いたい。
昨日の木村拓哉と同じでジャニタレは基本的にウソ臭いのだ。
まず二宮の芝居を観ていて「そんな言葉使いがあるかよ」と激しく思った。
そうは言っても僕だって当時のことは知らない。だから百歩譲って当時の若い兵士が現代の小僧どもが使うような言葉を使っていたとしよう。だとしたら二宮和也の芝居が下手なのだ。彼だけが言葉使いに制限されることなく伸び伸びと演技を出来たはずなのに、ただ二宮和也だけが戦時中の緊張感をまったく放っていないのだ。これは一体どういうことだと思った。だから僕は作品の内容云々を語る前に「監督としてそれでいいのか?」と思ったのだ。
僕は本作のプロデューサーでもスタジオの重役でもないので、もうこれ以上は言うまい。しかし万が一にも二宮和也がアカデミー賞にノミネートされるようなことがあったら(助演男優賞にノミネートされる可能性もあるらしい)、僕は今年のアカデミー賞そのものを否定する。
作品としての「硫黄島からの手紙」について。
まず長い。
公式には141分とあるが体感時間は3時間近い。この上映時間の長さは「長期化する戦争がいかに苦痛であるか」の演出かと逆に思ったくらいだ。
冒頭は良かった。今の硫黄島の映像から入る演出は王道と言えば王道だが、日本人にとっては見慣れない映像だけになかなか衝撃的な導入だったと思う。そしてエンディングへと繋がるであろうシーンが用意され、なるほど物語の筋道を観客の想像させるのだが、その結末は「硫黄島からの手紙」と銘打った割にはドラマ性に乏しく、期待を裏切られた感がある。とにかく「泣きのアイテム」と言っても過言ではない「手紙」をうまく使いこなしていないのだ。誠に残念。
「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」について。
一番感動するのは、クリント・イーストウッドが日本人側の硫黄島を映画にしようと思い立った、その気持ちに尽きる。戦争映画を沢山観て来た人間にとっては、舞台がどこであろうが、主役が誰であろうが、そんなことは最早関係ないのだ。しかし勝戦国の人間が敗戦国の人間を主役にした映画を作ることには意味がある。なぜなら、これもまた一つの戦後処理と言えるような気がするからだ。
「相手の立場に立って物事を考えてみる」
作品の内容以前に、僕はこの姿勢が若い観客に伝わればそれでいいと思う。
子供には見せてもいい。
でも、これまでに優れた戦争映画を何本か観て来た大人は別に観なくてもいい。
描かれているのは戦争における不条理でしかないから。
こんばんは。
この映画はみていないのですが、二宮和也という子がアカデミー賞に
ノミネートされるかもしれないと聞いて、大変疑問に思っていました。
というのも、前にテレビの堺まさあきがやっている料理番組に出ていたとき、ものすごく態度が失礼だったからです。なんという礼儀知らずな男の子だろうと思ったんです。先輩である堺まさあきに対してとる態度じゃないなと。だから、こんな幼稚な男の子が、アカデミー賞にノミネートされたら、
ほんとうにがっかりですね。人間性と関係ないのかしら。
by coco030705 (2007-01-05 01:25)
よく言えば天真爛漫。悪く言えば礼儀知らず。
僕はこれ以上二宮和也君の人間性をどうこう言うつもりはありません。
ただ、それを許す大人がいることが一番腹立たしいのです。
アカデミー賞にノミネートされないことを祈ります(笑)。
批判記事にコメントを頂きありがとうございました。
by ken (2007-01-05 10:26)
私、昔から二宮君が大好きなんですが彼がこのような評価を受けていることを非常に残念に思います。
硫黄島、まだ観ていませんが絶対観てみようと思います。
by (2007-01-05 21:44)
いやあこれ多分二宮放置なのは「アメリカで公開するときはどうせ吹き替えるし〜」っていうことなんじゃないでしょうか(笑)確かそんなような記事を読んだことがあり、まあそれならアレを放置しているのはむべなるかなと。
ふと思ったのはもしかしたらkenさんはプライベートライアンがお好きなのではないでしょうか。そうなるとなんとなく私とkenさんのこの作品における評価の違いが納得できるような気がします。それはどっちがよい悪い(あるいは正しい正しくない)といったつまらないレベルではなく、戦争映画におけるスタンスの違いというところに集約されるのではないでしょうか。
でも確かに長すぎるという指摘はごもっともかと。そこを是とできるかできないかでこの作品の評価が決まってくるのかも知れないですね。
by 瑠璃子 (2007-01-05 23:43)
>popstarさん
ぜひご覧になって下さい。そして感想を聞かせてください。
ただ、ニュートラルな僕と、popsterさんの受け止め方は
違うかも知れませんね。
>瑠璃子さん
吹き替えかあ。そこまでアタマは回らなかったな。
「プライベートライアン」確かに嫌いじゃないです。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-01-06 16:29)