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ミュージカル「阿国」 [ショウより素敵な商売はない]

 ピーターさんが出ているので新橋演舞場へ行く。
 演目は“歌舞伎の始祖”と言われる「出雲の阿国」。1度は観ようと思っていた出し物だ。
 僕はミュージカルと言えば「劇団四季」がほとんどで、ときどき輸入版を観ることはあるけれど、純粋に国産ミュージカルを観たことがなく、しかも花道のある劇場での観劇も初めてだったので、「阿国」を観ていろいろと思うことがあった。

 まず新橋演舞場のお客さんは拍手の仕方が上手い。
 僕はずいぶん以前から「日本人は拍手下手」だと思っていた。ライブに行っても、ミュージカルを観ても、演奏や曲がちゃんと終わるまで拍手をしない。以前ポール・マッカートニーがそれを「日本人はちゃんと最後まで音楽を聴いてくれるから嬉しい」と言ったけれど、これはポールのリップサービスに過ぎず、永らく「ニッポンのオーディエンスはノリが悪い」というのが海外アーティストたちの常識だった。
 しかし演舞場では、贔屓の役者が出て来て拍手。役者が見栄を切れば拍手。演奏が盛り上がれば拍手。実に上手い拍手を入れるのだ。
 正直言って驚いた。
 日本人には日本の芸能を楽しむDNAがちゃんとあったのだ。僕は歌舞伎を観たことがないので歌舞伎座の様子を知らないが、客席はきっとやんややんやの大盛り上がりを見せるのだろう。そう思うと芝居じゃなく客席の様子を観に、歌舞伎座に行きたくなってしまった。

 「花道」の効果も知った。
 二次元的な見世物を、一瞬にして三次元にしてしまう花道は、もしもこれが日本で生まれたものならば世紀の大発明だと思った。演出家としても役者としても、まさに腕の見せどころではないか。「花道を飾る」という言葉の意味も、ようやく理解した気がする。

 「阿国」のハナシも少し(笑)。
 ピーターさんが池畑慎之介名義で男役を演じているのだけど、この人の男役はゾクゾクするほどカッコイイ。立ち振る舞いは言うに及ばず、僕が一番しびれたのは低音で発する声。ちくしょー、やられたぜ。舞台のあと一緒に食事をしたのでそう話したら、「あら、そう?」といつものオネエ言葉でニヤリ。この人はどんなシーンでもカッコいい。
 上々颱風も良かった。僕は「愛よりも青い海」くらいしか知らなかったのだけど、「阿国」のために良い楽曲をたくさん書いてる。余談ですけどボーカルの白崎映美さんが20代のころ付き合ってた彼女に似ててえれービックリしました(笑)。

 舞台は2部構成になっていて途中30分の休憩が入る。なるほどこのタイミングで皆お弁当を食べるのね、と今さらですけど知りました(笑)。
 「阿国」はよく出来たミュージカルだと思う。この世界観を知るため「出雲阿国」のことをちょっとだけインプットして観に行くと、きっときっとかなり面白いだろう。

 アドリブも沢山あって笑いました。
 
 


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コメント 4

coco030705

こちらにもおじゃまします。
このミュージカルは見たことがないのですが、ロングランですよね。
kenさんが書いていらっしゃるように、まさに歌舞伎の見物といっしょですね。歌舞伎を見るときも同じようなタイミングで拍手しますよ。それに、お弁当を食べるのも、だいたい30分休憩のときです。

せっかく東京にいらっしゃるんですから、歌舞伎座の幕見で行かれたら、いかがでしょうか。歌舞伎は昼の部、夜の部ともだいたい4時間半くらいあって、お芝居が二つぐらいと踊りとで構成されています。でも幕見だったら、そのうちのひとつだけ見ることができるんですよ。だから時間も1時間くらいです。ただし、切符は当日並ばないと買えないんですけどね。

それから、ピーターさんって、ほんとカッコイイ人ですよね。センスも抜群だし、ユーモアもあるし…。舞台は見たことがないんですが、黒澤監督の「乱」のときの踊りが秀逸でしたね。よろしくお伝えください。(^^)
by coco030705 (2007-03-28 21:04) 

ken

歌舞伎、観に行きます(笑)。
なんだか申し訳なくなってきました…。
nice!ありがとうございます!
by ken (2007-03-29 02:39) 

江戸うっどスキー

歌舞伎観るなら、一幕見席がお奨めです。成田屋とか、中村屋とか合いの手入れる人たちや、通の人が好んでその席を取ります。私は、単純に予算の都合ですが^^;
そんな人たちを観察するのも、楽しいです。ただし、花道が見えません(>_<)
by 江戸うっどスキー (2007-03-31 01:12) 

ken

ご指導ありがとうございます。
改装工事に入る前に、重い腰を上げて1度は行こうと思います。
by ken (2007-03-31 17:26) 

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