ヒトラー ~最期の12日間~ [2007年 ベスト20]
「ヒトラー ~最期の12日間~」(2004年・ドイツ/イタリア) 監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
子供には難しいけど、大人には面白い作品だと思います。いや正直、ホントに意外と面白かった。
僕自身今日まで、このDVDを手にとっては「やっぱりやめとこう」ってことが何度もありました。
観なかった理由はまず本編の尺。
155分もあるんです。観る前からグッタリです。
それと世間の評判。
「どうにも暗い」とか「絶望的」とかネガティブな批判をいくつか聞いてしまって、どっちにしても娯楽作品じゃないし、しかもここ数年戦争映画には引き気味だったし、「じゃあ観なくてもいいかあ」ってテンションだったワケです。もちろん今となっては「もっと早く観ておけば良かった」と思ってますけど。
面白かったポイントはいくつかあります。
まずはヒトラーの私設秘書の目線で綴られたドラマだったこと。
原作はヒトラー最期の3年間に私設秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの自伝がベースになっていて、女性が主役ですからドンパチばかりじゃないのが良かった。
戦後初めてドイツ人がヒトラーを演じ、戦後初めてドイツ人がヒトラーの映画を作ったという点においても観るべき価値があると思います。
ブルーノ・ガンツがとにかく凄い。部下を怒鳴り散らすシーンなんか、完全にヒトラーが乗り移ってるとしか思えません。良い意味で狂ってます(笑)。
細かい点を挙げると、あくまでもドイツ側の視点に立ったカメラ位置にも感心しました。
たとえば、ソ連軍の砲撃は延々と続くものの、本編後半まで敵の姿は一切ありません。
ソ連軍の歩兵がベルリンへ侵攻して来るまで敵軍の映像を差し込まないという演出は、ただ黙って攻め込まれるのを待つだけとなったヒトラーとその周辺の心理状態を見事に表現していたと思います。それはまさに“一人相撲”。ヒトラーの慌てっぷりが良く出ていました。
本編で僕が一番感心したのは、ヒトラーの最期が本編のラストではないと言う点。
邦題こそ「ヒトラー最期の12日間」ですが、原題は「没落」。つまりこの作品は「ナチスの終焉」を描いたわけで、どちらかと言えば、ヒトラー自殺後の展開が面白かった。
歴史の教科書レベルだと「ヒトラーの自殺」イコール「ドイツ軍の降伏」なんですが、実際は(当たり前だけど)そうじゃなかったと認識できただけでも、この作品を観た価値がありました。
と言うわけで僕は、この映画を中学生以上の人たちにオススメするのですが、観る前にひとつだけ勉強をしておいて欲しい人物がいます。
ゾフィー・ショル(1921-1943/Sophia Magdalena Scholl)
彼女は“白バラ抵抗運動”と呼ばれる反ナチス運動の主要メンバーの一人で、国家反逆罪によりわずか21歳でギロチンにかけられた女性です(詳しくは映画を観る前に、ご自身で調べてみて下さい)。
この人のことを知った上で本編を観ると感動の度合いが違います。
子供には難しいけど、大人には面白い作品だと思います。いや正直、ホントに意外と面白かった。
僕自身今日まで、このDVDを手にとっては「やっぱりやめとこう」ってことが何度もありました。
観なかった理由はまず本編の尺。
155分もあるんです。観る前からグッタリです。
それと世間の評判。
「どうにも暗い」とか「絶望的」とかネガティブな批判をいくつか聞いてしまって、どっちにしても娯楽作品じゃないし、しかもここ数年戦争映画には引き気味だったし、「じゃあ観なくてもいいかあ」ってテンションだったワケです。もちろん今となっては「もっと早く観ておけば良かった」と思ってますけど。
面白かったポイントはいくつかあります。
まずはヒトラーの私設秘書の目線で綴られたドラマだったこと。
原作はヒトラー最期の3年間に私設秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの自伝がベースになっていて、女性が主役ですからドンパチばかりじゃないのが良かった。
戦後初めてドイツ人がヒトラーを演じ、戦後初めてドイツ人がヒトラーの映画を作ったという点においても観るべき価値があると思います。
ブルーノ・ガンツがとにかく凄い。部下を怒鳴り散らすシーンなんか、完全にヒトラーが乗り移ってるとしか思えません。良い意味で狂ってます(笑)。
細かい点を挙げると、あくまでもドイツ側の視点に立ったカメラ位置にも感心しました。
たとえば、ソ連軍の砲撃は延々と続くものの、本編後半まで敵の姿は一切ありません。
ソ連軍の歩兵がベルリンへ侵攻して来るまで敵軍の映像を差し込まないという演出は、ただ黙って攻め込まれるのを待つだけとなったヒトラーとその周辺の心理状態を見事に表現していたと思います。それはまさに“一人相撲”。ヒトラーの慌てっぷりが良く出ていました。
本編で僕が一番感心したのは、ヒトラーの最期が本編のラストではないと言う点。
邦題こそ「ヒトラー最期の12日間」ですが、原題は「没落」。つまりこの作品は「ナチスの終焉」を描いたわけで、どちらかと言えば、ヒトラー自殺後の展開が面白かった。
歴史の教科書レベルだと「ヒトラーの自殺」イコール「ドイツ軍の降伏」なんですが、実際は(当たり前だけど)そうじゃなかったと認識できただけでも、この作品を観た価値がありました。
と言うわけで僕は、この映画を中学生以上の人たちにオススメするのですが、観る前にひとつだけ勉強をしておいて欲しい人物がいます。
ゾフィー・ショル(1921-1943/Sophia Magdalena Scholl)
彼女は“白バラ抵抗運動”と呼ばれる反ナチス運動の主要メンバーの一人で、国家反逆罪によりわずか21歳でギロチンにかけられた女性です(詳しくは映画を観る前に、ご自身で調べてみて下さい)。
この人のことを知った上で本編を観ると感動の度合いが違います。
ヒトラー~最期の12日間~スタンダード・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: 日活
- メディア: DVD
ゾフィー・ショル調べた。読んだ。知らなかった。知恵をありがとうございます。これは私は確か映画館で見た気がしますが、何回も見る確率が高かったものでした。(Gさんが長々と放送してくれたので。)いつも最後よりはじめのほうの印象をよく覚えています。あの手の動き、さすがですね。
by **feeling** (2007-06-16 19:50)
よく調べました。えらいねえ。
映画館でコレを見たのもえらい。
あの手の動き!凄かったっすねー!!!(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-06-16 20:43)
2年前の夏の暑い日に映画館で見ました。
友人は「ドイツ人はタバコと自殺がすごいね。」と、くっだらない感想を言っていましたが、私はかなり、思ってもいない方向から映画を見る事が出来て、
かなりおもしろかったです。
今まで、いろいろヒトラーに関する映画やドラマをみましたが、ヒトラーが人間に思えたのはこの映画だけです。
ヒトラーが自殺した後の事が詳しく描かれていて、いい映画でした。
この映画以来、映画はなるべく一人で見に行く様になりました。
by ミック (2007-06-16 23:35)
面白いエピソードですね。
僕は15歳の夏に「スター・ウォーズ」を観て以来、
「映画は独りで観るもの」と決めていました。
もちろん、2人以上で観ることもありますけどね(笑)。
お友達の感想も、かなりぶっ飛んでて素敵ですよ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-06-16 23:38)
2005年の私のベスト映画です(次が『ネバーランド』)。
『白バラの祈り』をこの後に観たんですが、その時にヒトラーの秘書だった彼女が挙げてたゾフィーのことを深く知りました。
トラウドゥル・ユンゲ自身の映像が挿入されたのが印象的でした。そして邦題よりは原題により作品らしさが反映されていると(当たり前ですが)思いました。
by クリス (2007-06-18 22:48)
ユンゲさんの映像はちょっとしたサプライズでしたね。
原題は○、邦題は△ってところでしょうか。
これがベスト1とは、蟻銀さんもやはり只者じゃありませんね(笑)。
by ken (2007-06-19 01:00)