フラガール [2007年 レビュー]
「フラガール」(2006年・日本) 監督:李相日 脚本:李相日、羽原大介
松雪泰子の砂を噛むような演技を、今や“映画女優”と呼ぶにふさわしい蒼井優が救った佳作。
これは「第2回ゆる会」のとき話題に上がった作品のひとつで、食わず嫌いで観ていなかった僕に誰かが「あれは観ても損しない」と言ってくれた記憶があります。はっきり覚えてないけど(笑)。
僕が今日まで「フラガール」を観なかった最大の理由は、「常磐ハワイアンセンターの成り立ちに何の興味もなかった」からです。そもそも行ったことも無いし、これからだって行こうと思わないし。つまりプレスリーに興味のない人がプレスリーの映画を観ないのと一緒なわけです。
でも観てみたらそこそこ面白かった。
なぜならこれは「パッチギ!」のヒットに気を良くしたシネカノン李鳳宇による「昭和回顧ムービー第2弾」という位置づけの作品だからです。
仮に常磐ハワイアンセンターに興味がなくても、「懐かしい昭和の暮らし」に興味がある人は多い。
つまり「フラガール」は「パッチギ!」の客を再び獲りに行った企画なんですね。
この客層は映画館に来て金を払い、DVDになったらまた金を払ってくれる層ですから「採算は十分に合う」と確信したんでしょう。だから中味もまさに「そんな客」向けの、ちょっとベタな展開をしてます。
個人的には実話をベースにしたドラマでありながら、リアリティに欠ける設定に閉口。
まずは炭鉱の娘たちにフラを教える平山まどか(松雪泰子)。
元松竹歌劇団のダンサーという設定までは許しても、寺島進演じる“借金取り”が現れた瞬間、「この設定ってウソなんじゃん」と気付いてドン引きしました。そうなるとまどかと生徒たちの別れのシーンも「所詮ウソ」になっちゃって、どーでもよくなっちゃう。
もうひとつ僕が決定的にダメだったのは、小百合(南海キャンディーズ、しずちゃん)が父親の臨終に立ち会えなかった責任をまどかが取ろうとするシーン。本来ならハワイアンセンターの責任者である吉本(岸部一徳)が一言二言発言すべきところ、“ドラマ的な事情”によって、まどかが見得を切るシーンになってしまっているのが腑に落ちない。
ここもまた作品全体のリアリティを失った致命的なシーンだったと思います。
しかし蒼井優がいい。
まるで湧き出たばかりのミネラルウォーターのような瑞々しさ。そして透明感。
彼女と並んで演技をするはめになった松雪は可哀想だが、その資質はあまりに違い過ぎた。
ラストのダンスシーンも見事で、よくぞフラをあそこまでマスターしたものだと思う。
蒼井優のキャリアを確認する上では絶対に外せない一本。
松雪泰子の砂を噛むような演技を、今や“映画女優”と呼ぶにふさわしい蒼井優が救った佳作。
これは「第2回ゆる会」のとき話題に上がった作品のひとつで、食わず嫌いで観ていなかった僕に誰かが「あれは観ても損しない」と言ってくれた記憶があります。はっきり覚えてないけど(笑)。
僕が今日まで「フラガール」を観なかった最大の理由は、「常磐ハワイアンセンターの成り立ちに何の興味もなかった」からです。そもそも行ったことも無いし、これからだって行こうと思わないし。つまりプレスリーに興味のない人がプレスリーの映画を観ないのと一緒なわけです。
でも観てみたらそこそこ面白かった。
なぜならこれは「パッチギ!」のヒットに気を良くしたシネカノン李鳳宇による「昭和回顧ムービー第2弾」という位置づけの作品だからです。
仮に常磐ハワイアンセンターに興味がなくても、「懐かしい昭和の暮らし」に興味がある人は多い。
つまり「フラガール」は「パッチギ!」の客を再び獲りに行った企画なんですね。
この客層は映画館に来て金を払い、DVDになったらまた金を払ってくれる層ですから「採算は十分に合う」と確信したんでしょう。だから中味もまさに「そんな客」向けの、ちょっとベタな展開をしてます。
個人的には実話をベースにしたドラマでありながら、リアリティに欠ける設定に閉口。
まずは炭鉱の娘たちにフラを教える平山まどか(松雪泰子)。
元松竹歌劇団のダンサーという設定までは許しても、寺島進演じる“借金取り”が現れた瞬間、「この設定ってウソなんじゃん」と気付いてドン引きしました。そうなるとまどかと生徒たちの別れのシーンも「所詮ウソ」になっちゃって、どーでもよくなっちゃう。
もうひとつ僕が決定的にダメだったのは、小百合(南海キャンディーズ、しずちゃん)が父親の臨終に立ち会えなかった責任をまどかが取ろうとするシーン。本来ならハワイアンセンターの責任者である吉本(岸部一徳)が一言二言発言すべきところ、“ドラマ的な事情”によって、まどかが見得を切るシーンになってしまっているのが腑に落ちない。
ここもまた作品全体のリアリティを失った致命的なシーンだったと思います。
しかし蒼井優がいい。
まるで湧き出たばかりのミネラルウォーターのような瑞々しさ。そして透明感。
彼女と並んで演技をするはめになった松雪は可哀想だが、その資質はあまりに違い過ぎた。
ラストのダンスシーンも見事で、よくぞフラをあそこまでマスターしたものだと思う。
蒼井優のキャリアを確認する上では絶対に外せない一本。
私もこの映画みて「違和感」を感じたクチです。
ひきこまれそうになるたびにトヨエツやら松雪やらで現実に引き戻されるという連続でした。富司 純子はよかったなあ。
正直展開のあざとさ、製作者側による「泣かせどころ」設定が丸見えだったりするのは閉口なんですが、それはある意味「安心感」「安定感」と置き換えることも可能だったりするので、なんともはや。
おっしゃるようにとにかく蒼井優がよかったですね。その一言でした。
by 瑠璃子 (2007-06-25 17:04)
あざといと分かりつつも、最近涙腺が緩いので何度か泣きました(笑)。
特に大人の都合で子供が翻弄されると泣けますね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-06-25 17:49)
私も観ました、先週の日曜日(笑)
平山まどか先生は今でもフラダンスを教えてるんですよね。きっとまじめな方なんでしょうに、ベタな設定で逃げてきたことにされていてお気の毒でした。実はワタシ、トヨエツは蒼井優の義父役だと思ってました、途中まで。富司順子が年下の男と結婚したから家にいづらかったのかと。。。でも面白かったです。
by カオリ (2007-06-26 00:36)
義父とは!またドエライ勘違いをしたまま観てましたねー(笑)。
超ウケました。
by ken (2007-06-26 01:25)
うわあ、次回かその次あたりに借りる予定だったんだけど、
「懐かしい昭和の暮らし」に全く興味ない人はやめといた方がいいかしら。
by (2007-06-26 10:24)
いやあ、その辺りの確認をしてみたく、ぜひ借りてみて感想を
お聞かせ頂きたい次第でして…ハイ(笑)。
by ken (2007-06-26 13:02)
わたしもそろそろ観ようかと思っていましたが・・・うーん・・・
by (2007-06-26 19:23)
映画館で見た~!!
しかも錦糸町で確かに見た。
フラガール始めはいかがなものかとしり込みしていたんだけど、でも面白かった~!!
なんか、常磐ハワイアンセンターの歴史を知っている人からするとかなり泣けるそうです。
そんな話を聞いたことがあります。
興味もなかったのですが、貴重な体験談を聞けて感動しました。
映画はいいよね~蒼井優
お兄さんにははまりますでしょうなあ。
ふふふっ
by **feeling** (2007-06-26 21:31)
>脳外科医さん
いやいや観てもいいと思いますよ。
蒼井優ちゃん狙いで(笑)。
>keiko_keikoさん
逢ったんですよ、蒼井優ちゃん。仕事ですけど。
これがもう、どえりゃー可愛くてどうしようかと思いましたよ。
ハマりましたなあ。うっしっし。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-06-26 23:04)
この「フラガール」と「ALWAYS三丁目の夕日」はその評判のよさほど楽しめませんでした・・・。きっと、私が「懐かしい昭和の暮らし」を新鮮に感じられるほど若くないし、単純に懐かしがれるほど歳をとっていないからなのだと思います。
でも、やはり蒼井優さんはよかったですね。いっそ優ちゃんを主役にすえたらよかったのに~と思ったのですが・・・。
by デクノボー (2007-06-27 01:01)
デクノボーさんは微妙な世代にいるってことですね。
僕はどちらの作品にもノスタルジーは十分に感じて楽しめましたよ。
by ken (2007-06-27 12:40)
ひさしぶりに来ちゃいました。こんにちはー。
いろいろシラける部分もあったけど、わたしも充分に昭和のノスタルジーを感じて楽しみました。
蒼井優ちゃん本当によかったです^^素晴らしかった。フラも動きが美しくてさすが2歳からずっとクラシックバレエをやってる人なんだなぁ、と思いました。
ほんと、滾々と湧き出ている美くて透明なおいしいお水みたいな女優さんですよね。
さすがkenさん、言いえて妙です^^
by banana (2007-06-28 15:35)
kenさんお久しぶりです。
私は映画館で見ました。
確かにヤクザが出てきたあたりで、
ちょっとおかしくない???
と一瞬現実に引き戻されました。
しずちゃんも、なぜしずちゃん?って感じでしたし。
でも、蒼井優が凄く良かった!
蒼井優のフラのためにDVD買おうかと思う位(笑)
それ以来、蒼井優をもの凄くチェックしていますョ
(蒼井優が出ているというだけで<蟲師>見に行きました。
映画はお薦め出来ません)
by メイ (2007-07-01 00:15)
>bananaさん
今思い返せば、「花とアリス」で見せたバレエのシーンもすごく
良かったような気がします。
nice!ありがとうございます。
>メイさん
蟲師はどエライ映画でしたよねえ。あれは今年のワーストランキングに
入るなあ(笑)。
by ken (2007-07-01 00:46)
私ももう一つという気がしました。
しかし蒼井優は、デビュー当時から大好きなので、今回も期待どおりで嬉しかったです。いつもはしゃべりがちょっとふにゃっているのですが、方言を話すと逆にきびきびしているのが面白い..。
kenさんは「花とアリス」のバレエのシーンは長すぎるというご指摘でしたが(たしかに長かったですね)、私はこのバレエのシーンで蒼井優はダンスで何かを訴えられる女優だと確信したのです。
しかしフラガールのクライマックスのダンスはみんなちゃんと踊ったのに、妙にカットが細かくてちょっと残念でした。「シカゴ」のリチャード・ギアのタップダンスのようでした。
後日TBさせてください。
by satoco (2007-07-23 00:35)
今「花とアリス」を観たらどうなんだろう、と一瞬考えましたが、
それでも蒼井優のバレエシーンは長いと思うだろうな、と思いました。
どうしたってそれまでもダラダラ長いから。
全体が締まっていたら、あの長さはありだったかも知れませんね。
フラガールのクライマックスダンスは、確かにルーズショットが少なかった。
ただ、カットを割らないと粗が見えてしまうんですよねえ(笑)。
by ken (2007-07-23 11:56)
初めまして。
蒼井優が非常に良かったのには同感です。
さらに借金取りの話やしずちゃんの話についても同感です。
ただし、パッチギの客層を狙ったわけではないと考えます。
この映画は、最近流行の・・・というか、過去にヒットしたウォータボーイズやがんばっていきまっしょい、スイングガールズ、シムソンズなどの青春ムービーを見に行った客層を狙っていると考える方が自然じゃないでしょうか?
自分もこの映画を観ましたが、パッチギを連想することはありませんでした。
まぁ製作者がパッチギ第二段だと発言されたのだとしたら、製作者の意図はそういうことだったのかもしれませんがが、一般の客は、そう思ってないと思います。
by sato (2007-09-15 23:14)
satoさん、ようこそ。
この映画はパッチギ第二弾じゃありません。
パッチギを観に来た客を狙った映画だと言うことです。
内容的なことじゃなくて、戦略的なことって意味です。
ところで、蒼井優ちゃんは今度、蜷川さんの演出の舞台に登場します。
久しぶりの舞台。観に行こうかと思います。
by ken (2007-09-17 01:50)
どうも古い記事にお邪魔します。
僕は前半かなり泣けたのですが松雪がらみのところですっかり冷めてしまい「アレ?」って感じになったのですが……なるほど、リアリティに欠けるんですねぇ。まどかがやめるシーンも、しずちゃんの「踊らせてくんちぇ」発言がまどかを窮地に追いやった流れになりますもんね……普通なら誰かがフォローするべきです!
by 電人M (2008-05-16 00:38)
古い記事にようこそw
しずちゃんだけは別格で許してもいいかな、と思えるキャラなんだけど
やっぱり無理のある脚本だけは許せないんですよねえw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-05-16 01:19)