ロレンツォのオイル/命の詩 [2007年 レビュー]
「ロレンツォのオイル/命の詩」(1992年・米) 監督・脚本:ジョージ・ミラー 脚本:ニック・エンライト
僕はいま、AIDSとは違う“ある病気”の取材をしているのですが、その相談に乗ってもらった知人のドクターに「観るといいよ」と薦められた一本。
これは不治の病と言われている副腎白ジストロフィーに侵された息子を救うため、医者に頼らず独自で治療法を見出したある夫婦の“闘いの日々”を描いた実話です。
とんでもなく凄いハナシなんです。
医者もさじを投げた病気の治療法をズブの素人が見つけるってハナシなんですから。
でも、何故か胸が熱くならない…。
“ある仕掛け”が施されたエンドクレジットではさすがにウルっと来ましたが、本編ではダメだったんです。
それはなぜか。
母親役を演じたスーザン・サランドンのせいだったと思います。正しくは「脚本」ですけど。
難病に侵された息子、ロレンツォは発症からまもなく介護が必要な状態になります。父親(ニック・ノルティ)は図書館に籠って病気に関する文献を読み漁る毎日。その一方で母親(スーザン・サランドン)は息子のそばを片時も離れず献身的な介護を続けます。介護生活は何年にも渡り、途中付き添いの看護婦も根を上げるような状態の中、最後まで母親だけが“壊れない”のです。
僕は介護生活を経験しました。
実に短い期間でしたがその生活は深い深い苦悩に満ちたものでした。
そんな生活の中で精神のバランスを失いつつあった母や妹を見ていた僕は、スーザン・サランドンの姿がリアルに見えなかったのです。
「本当なら彼女も壊れているはず」
そう思ったら、冷ややかな目でしか見られなくなってしまいました。
ニック・ノルティはミスキャストでしょう。彼はダーティな役が似合う俳優なのでかなり違和感がありました。
この当時のスーザン・サランドンはまだまだキレイでしたね。だからこそ汚れて、堕ちて欲しかった。
「事実」という重みだけが唯一の救いと驚き。映画としては若干散漫な仕上がりで実に残念。
僕はいま、AIDSとは違う“ある病気”の取材をしているのですが、その相談に乗ってもらった知人のドクターに「観るといいよ」と薦められた一本。
これは不治の病と言われている副腎白ジストロフィーに侵された息子を救うため、医者に頼らず独自で治療法を見出したある夫婦の“闘いの日々”を描いた実話です。
とんでもなく凄いハナシなんです。
医者もさじを投げた病気の治療法をズブの素人が見つけるってハナシなんですから。
でも、何故か胸が熱くならない…。
“ある仕掛け”が施されたエンドクレジットではさすがにウルっと来ましたが、本編ではダメだったんです。
それはなぜか。
母親役を演じたスーザン・サランドンのせいだったと思います。正しくは「脚本」ですけど。
難病に侵された息子、ロレンツォは発症からまもなく介護が必要な状態になります。父親(ニック・ノルティ)は図書館に籠って病気に関する文献を読み漁る毎日。その一方で母親(スーザン・サランドン)は息子のそばを片時も離れず献身的な介護を続けます。介護生活は何年にも渡り、途中付き添いの看護婦も根を上げるような状態の中、最後まで母親だけが“壊れない”のです。
僕は介護生活を経験しました。
実に短い期間でしたがその生活は深い深い苦悩に満ちたものでした。
そんな生活の中で精神のバランスを失いつつあった母や妹を見ていた僕は、スーザン・サランドンの姿がリアルに見えなかったのです。
「本当なら彼女も壊れているはず」
そう思ったら、冷ややかな目でしか見られなくなってしまいました。
ニック・ノルティはミスキャストでしょう。彼はダーティな役が似合う俳優なのでかなり違和感がありました。
この当時のスーザン・サランドンはまだまだキレイでしたね。だからこそ汚れて、堕ちて欲しかった。
「事実」という重みだけが唯一の救いと驚き。映画としては若干散漫な仕上がりで実に残念。
ロレンツォのオイル/命の詩 (ユニバーサル・セレクション2008年第10弾) 【初回生産限定】
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- メディア: DVD
見たのですね。
辛口コメントですね。僕は医療者として、できないことも多いことを知りすぎ
ており、時には患者家族の執念や努力が良い結果を生み出しうることもあ
ること。そのことへの新鮮は驚きの感覚と、実際には大多数の人には「ロレンッオのオイル」はなかなかないことを知るものとして一言。
僕も母は壊れると思います。僕も介護しましたから。
僕が興味を覚えたのは、患者団体が出る部分です。主治医を信じるべき
だ、あるいは新治療を試すべきだという議論がなされる場面。
こうした場面は、どんな医療問題に関わる医療グループでおきている場面でおきていることだろうと思うので、こうした問題に興味を持つ人は
見ておいて損はないと思います。
「映画としては若干散漫な仕上がりで実に残念。」なのでHitしなかった
んでしょうね。
by yamagen (2007-12-21 02:14)
患者会については鮨屋で飲んだときも話しました。
どんな病気についてもああいう議論はなされるものだなと
本編でも興味深く観ました。
事実としては面白い。しかし映画としては面白くない。
そんな部類の映画だと思いました。
by ken (2007-12-21 15:03)
私は小児科医なので、ちょっとちがう意見だなあ・・・。
子供のお母さんはある意味で、子供が病気だという前からみんな「壊れて」いる思います。(言葉が適当でないような気もしますが)非常時になったとき、子供を前にして、いい壊れ方をするのが「母親」で、家族の介護で「普通に」壊れるのが夫や子供たちだと思います。回りくどい言い方ですが、母親は他の人たちと違って、子供の病気を前にすると、一番冷静で、そして一番熱く、一番執拗で、一番タフな人たちだと思います。父親もふくめ、他の家族もどんどん疲れて壊れていく中、お母さんのもつパワーは別なんだと感じる事が多々あります。
家族の介護は本当に大変で、やっているご家族の疲労はいかばかりかと思います。
でも、現実に母親はこうなんだろうな、と私は思いました。
個人的にはこの映画、きらいじゃありません。こういう事もあるんだと、時々思うからです。説明出来ないことや、患者や家族の「気合い」みたいなことが時に私達の力を凌駕する事がホントにあるんだなと思うので。
by snorita (2007-12-24 09:27)
なるほど。子供を介護する母親という視点では考えませんでした。
さすがにそういう経験がないので、判断しかねますが
分からなくもないですね。
by ken (2007-12-24 13:41)