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JSA [2007年 レビュー]

JSA」(2000年・韓国) 監督:パク・チャヌク

 韓流直前の名作、と認識していた「JSA」を初見の妻と共に観直してみる。
 これはのちに「復讐三部作」で名を成すパク・チャヌクの監督デビュー作でした。

 南北分断は韓国映画ならではの大テーマ。
 韓国での興行成績ランキング(韓国映画のみ。2006年末データ)を見ると、そのうち半分は対北朝鮮がテーマ(★印)になるくらいの「鉄板ネタ」なんですね。

   1位 グエムル 漢江の怪物
   2位 王の男
 ★3位 ブラザーフッド
 ★4位 シルミド
   5位 友へ チング
 ★6位 トンマッコルへようこそ
 ★7位 シュリ
   8位 頭師父一体2
 ★9位 JSA
  10位 殺人の追憶
 
 日本人が南北分断ネタの面白さを知ったのはもちろん「シュリ」。
 その興奮冷めやらぬ翌年日本上陸した「JSA」は「シュリ」以上に緊張感の高い題材だっただけに、当時の僕たちはいささか過大評価した感がありますね。と、言うのも今回改めて観てみたら「映画としてのクオリティは決して高くないな」と思ったのです。
 一番は脚本の構成が上手くない。
 冒頭38度線の共同警備区域(JSA)で射殺事件が起きる。ドラマの縦軸はこの事件の真相を解明していくことなんですけど、まず「事件の謎」そのものが整理されていないのです。それが無いまま中立国監督委員会から派遣された捜査官(イ・ヨンエ)の説明に時間を費やしてしまうために、観客はストーリーの波にうまく乗れないまま勝手に進んでいく印象を受けてしまう。
 事情聴取から回想へと進む展開も否定はしませんが、途中何度か事情聴取のシーンに戻す必要があったと思います。イ・ヨンエのセリフを借りて事件の矛盾点を整理していけば、観客はもっと謎解きに入り込めたと思うんですけどね。

 改善すべき点はたくさんある映画ですが妻は充分楽しんでました。残酷なシーンを除いて。
 ただ人の名前が覚えられないとアウトな映画です。交流する南北の兵士たちが「兄貴」と呼ぶシーンがやたら多くて名前を覚えにくいにも拘わらず、肝心なところで兵士の名前がひょいと語られるのです。皆さんも心して観て下さい。
 個人的にはイ・ヨンエに見とれてたら終わった感じ。彼女のコスプレ映画と言ってもいいかも知れません。不純だけど(笑)。
 ラストショットではパク・チャヌクの非凡な才能を見ることが出来ます。思い返せばいい伏線が引いてありました。

JSA

JSA

  • 出版社/メーカー: 東芝デジタルフロンティア
  • メディア: DVD

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mouse1948

こんにちわ。
私は「シュリ」と「トンマッコルへようこそ」が韓流でもあり好きです。
by mouse1948 (2007-12-24 11:16) 

ken

ベスト10の中では、日本未公開を除いて「王の男」だけ観てません。
というか、先日冒頭の15分だけ観たのですが、あまり興味を持てずに
wowowで録画したのも消しちゃいました(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-12-24 13:43) 

デクノボー

以前にリクエストしていたJSAの記事だ!と喜びながらも、kenさんの記事を読んで再度この作品を観てからコメントしようと思っていたら2ヶ月も経ってしまいました・・・。
この作品、映画館で1回、DVDで7回くらい観ています。たしかに初見のときは、kenさんがおっしゃるように、前半の話の流れについていけなかったなと思い出しました。名前もホント覚えにくいっ! ソンシクって誰だったっけ? となりながら観た記憶が。
そして、あのラストショットは何度観ても嘆息ものです。何ともいえないやりきれなさの余韻にひたらせてくれます。

何度も観ているのはイ・ビョンホンのせいだったのですが(笑)、今回久しぶりに観て、やはりソン・ガンホは素晴らしい俳優さんだなと思いました。

ところで、イ・ヨンエと原田知世はなんとなくイメージがかぶりますね。ニヤニヤ。

by デクノボー (2008-03-01 23:21) 

ken

2ヶ月かけてコメントをしに戻ってきていただいてありがとうございますw
それにしてもかなり辛口な記事を書いちゃってましたね、僕。
「ソン・ガンホは素晴らしい役者」には、全くの同感。
イ・ヨンエと知世のイメージが被る???
なんだか自分でも気付かなかったツボを突かれた気がしますw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-03-01 23:47) 

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