SSブログ

ドラリオン 東京追加公演 [ショウより素敵な商売はない]

 「アレグリア2」以来のシルク・ドゥ・ソレイユ。
 前回は妻の誕生日に行った。
 と言っても、そのときは結婚どころかまだ付き合ってもいなかったけれど。
 今回は僕の誕生日だった。
 場所も同じ。テントの色形は若干違うものの、ロビーも会場もさほど変化は無く
 「なんだか懐かしいねえ」
 と、2年2ヶ月前のことをそれぞれ振り返る。



 開演前に登場するクラウンが3人。
 客席のあちこちで観客の笑いを誘う中、1人のクラウンがある男性客を客席へと誘導する。
 これが実はある演目の重要な伏線になっている。
 クラウンたちの活躍で場内が暖まると、いよいよ開演だ。
 
 僕たちは「アレグリア2」を観ているから、シルク・ドゥ・ソレイユがどういうものかを知っている。
 だから前回ほどの驚きは無いものの、技の一つ一つにはやはり感嘆の息が漏れる。
 冒頭の演目「フット・ジャグリング」からそうだ。
 仰向けになった女性が両手両足で5本の傘を回す。
 文字にすると何でもなく思えてしまうのが歯がゆい。
 実際には、しばらく両足で1本の傘を回すのだけれど、その技のしなやかさに唖然とする。
 こんなものを見てしまうと、続く「ジャグリング」なんてフツーにしか見えないのが可哀想。
 いやいやそれも大した技なんだけど。

 一幕最大の見せ場は「トランポリン」。
 ステージに設置された壁とトランポリンを有効に使い、まるでスパイダーマンのような動きを見せる。
 壁の頂上から落下して再び頂上へ。ときには壁の途中へ。
 重力を無視したような動きは、まるでフィルムの逆回転を見るようだ。
 音楽とパフォーマンスが合致したステージに心を奪われていると1時間なんてあっという間。
 インターミッションを告げられたときには「もう1時間経った?」と驚く。
 けれど前作1幕最後の演目「スノー・ストーム」が凄かっただけに、ちょっと物足りない気も。

 シルク・ドゥ・ソレイユの優れている点は3次元でショウを見せるところだ。
 中でも、青い布を使って空中でのパフォーマンスを見せる「エアリアル・パ・ド・ドゥ」は圧巻。
 一組の男女が飛んだり、舞ったり、落下したり、旋回したり…。
 きっと肉眼でスーパーマンを観ることがあったら、こんな気分なんだろうなと思う。
 もちろん、そんなことないけど(笑)。

 人間が生でやるパフォーマンスだから、当然失敗もある。
 映画「マッハ!」を思い出させる「フープ・ダイビング」。
 台の上に乗せた大小のフープ(輪っか)を10人の少年たちがくぐり抜けていく。
 この日は、1人の少年が立て続けに失敗をした。
 失敗をするとフープが倒れる。それを何事もなかったように設置しなおす少年たち。
 また同じ少年が失敗する。
 音楽に合わせて観客の手拍子が続く。多くの観客が心の中で「ガンバレ!」とその少年に叫ぶ。
 そして、成功。
 観客の拍手は一層大きくなった。
 やさしいな、と僕は思った。
 成功させた少年は誇らしげに腕を挙げた。
 それもまた素直で可愛かった。

 シルク・ドゥ・ソレイユは子供に見せるべきイベントだと思う。
 なぜなら、ここで「人間の可能性」を目撃することが出来るからだ。
 「人間は努力しだいで、スゴイことが出来るようになる」
 そう思ってくれると嬉しい。
 そして、そんな人たちを敬う気持ちを持ってくれたらもっと嬉しい。

 ショウのあと帰宅し、
手を洗うために結婚指輪を外そうとしたら、なかなか外れない。
 一瞬不思議に思ったがすぐに合点がいった。
 単なる拍手のし過ぎだった。
 
 いい誕生日だった。


nice!(3)  コメント(6)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇

nice! 3

コメント 6

蓮花

8月の終わりに大阪でドラリオンを娘と観たことを懐かしく思い出しました。
kenさんの記事でひとつひとつの演目が鮮やかに
蘇りましたよ~~!
娘が一瞬たりとも目を離さず、
拍手をしすぎて手が痛くなったことも。
あーまた観たいな~。
by 蓮花 (2008-01-29 19:35) 

ken

蓮花さんって、やっぱりいいお母さんですね!
僕も田舎の甥っ子を連れてもう一度観に行きたいくらいです
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-29 19:49) 

**feeling**

太ったからじゃ・・・なくて?

おめでとうございます~♪
私も子供だからみにいこう~。
by **feeling** (2008-01-30 23:56) 

ken

そんな半日足らずで太りますかいな。
いや、…太るか。
子供は観に行けー。
by ken (2008-01-31 00:15) 

こんにちは。昨年の東京公演を子供たちと観に行きました。
すごいことばっかりで、大感激でしたよ。
そのときの感想に、来年も行きたいと書いてましたが
上の子も中学生になり、なかなか揃って出かけられないので
あの時観といて良かったな~と思います。
by (2008-02-03 10:07) 

ken

子供と一緒に出かけられるのは小学校の間で終わりですね。
僕も自分の子供の頃を振り返ってそう思います。
一緒に行けて良かったですね!
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-03 19:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

幸福のスイッチさくらん ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。