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越路吹雪物語 [ショウより素敵な商売はない]

 日生劇場へ池端慎之介氏の舞台を観に行く。
 千秋楽前日。

 「コーちゃん」の愛称で親しまれた国民的歌手、越路吹雪を公私に渡って支えた岩谷時子の原作を舞台化した作品で、初演は2003年。しかし今年でフィナーレなのだと言う。理由は詳しく知らない。

 20分の休憩をはさんだ3時間の舞台は、その長さを微塵も感じさせない出来栄えだった。
 コーちゃんが好意を寄せていた舞台美術家の真木小太郎の息子は、のちに「バラが咲いた」をヒットさせるマイク真木であったり、ピンキーとキラーズ「恋の季節」の歌詞の裏話であったり、“昭和歌謡のトリビア”とも言うべきエピソードがところどころに出てくる脚本も満足度は高かった。
 終演後、一部スタンディングオベーションになったのも納得。
 「素晴らしい。そして、フィナーレなんてもったいない」
 これが率直な感想だ。

 まず岩谷時子を演じた高畑淳子さんの演技が見事。
 彼女の抑えた演技はピーさんと好対照で、岩谷さんの人柄を充分今に伝えていた。彼女の見せ場は「愛の賛歌」の訳詞を完成させ、朗読する部分だ。歌わずとも観客を感動させるこのシーンは、岩谷さんの訳詞がいかに日本人の心をつかむ“詩”であるかを証明するシーンでもある。
 高畑さんの名演技に思わず泣けた。

 そしてかねがね「コーちゃんが降りた」とウワサされていたピーさん。
 途中の芝居はそうでもなかったが、ラストの歌のシーンは驚いた。
 この人はバケモノだ。
 まさに「越路吹雪、降臨」である。
 特に「愛の賛歌」は本当に本当に素晴らしかった。

 日生劇場のお客さんは年配の女性が多かった。
 失礼ながら拍手し続けるのも大変だろうに、それでも拍手はなかなか鳴り止まなかった。
 こんないい芝居がもう観られなくなるなんて、やっぱりもったいない。

koshiji.gif

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コメント 4

Sho

このお芝居、初演のときから気になっていました。もう終わってしまうとはびっくりで、残念です。
以前ドラマにもなりましたけど、この舞台の配役はいいでしょうね。
もったいないことをしました。
by Sho (2008-05-29 20:30) 

ken

記事にしませんでしたが、実は草刈正雄さんも良かったんです。
これでファイナルとは本当に残念。
by ken (2008-05-29 20:59) 

**feeling**

何回か親は見に行っていて。
この間私も見て。
ピーターの肩の細すぎるぐらいの細さを見ると、なんだか痛々しくさえも感じました。
それだけに、あの舞台はすごかったんだと思います。
越路吹雪 私はその存在をあまりよくは知らないけれど
宝塚の空気。
ジャズ。
その心をピーターと言う人を間に入れて垣間見れた気がします。
あのラストは涙もんです。


by **feeling** (2008-06-01 18:24) 

ken

やっぱり。ある一定の世代にとってはリピートしたくなるほど、
「ささるぅ」題材なんでしょうね。その気持ち、僕も充分分かります。
ホントに良かったもんなあ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-06-02 01:18) 

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