サン・ジャックへの道 [2008年 ベスト20]
「サン・ジャックへの道」(2005年・フランス) 監督・脚本:コリーヌ・セロー
以前「見逃していたら絶対オススメの映画ベスト20」に推したサスペンスコメディの傑作、「女はみんな生きている」の監督コリーヌ・セローが4年ぶりに撮った作品。
母親の遺産相続の条件である“聖地巡礼”にしぶしぶ向かった仲の悪い兄弟3人と、同じツアーに参加した面々が次第に心を通わせていくロードムービーです。
一部の方は「ウェス・アンダーソンの『ダージリン急行』に設定が似てね?」と思うかもしれませんが、作品のテイストは全く違いますから安心して下さい。しかも面白いです(笑)。
タイトルの「サン・ジャック」は、一行が向かうキリスト教の聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」のこと。wikipediaによるとここは「聖ヤコブの遺骸が祭られているため、古くからローマ、エルサレムと並んでカトリック教会で最も人気のある巡礼地」なのだそうです。ちなみに一向はフランスからスペインの西の果てまで約1,500キロを踏破することになる…。
と、これらの情報をインプットした上で本作を観ると、序盤余計な「?」に気を削がれることもなく、純粋に作品を愉しむことが出来ると思います。
ところで。
僕の記憶が正しければ、ロードムービーとは一人、あるいは二人で旅するものが多かった。
10年も仲たがいしていた兄を訪ねるためトラクターで旅する73歳の弟「ストレイト・ストーリー」
親友と共にバイク一台で旅に出た若きチェ・ゲバラ「モーターサイクル・ダイアリーズ」
終わらない夏を求めて世界中を旅した二人のサーファー「エンドレス・サマー」
バイクでの世界最高速を出したかったおじいちゃん「世界最速のインディアン」
そして、失恋の痛手を癒す旅に出たノラ・ジョーンズw「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
彼らは小さなコミニュティから出て、旅先で出会う人たちとの交流によって大きく成長し、人生の意義を見出した訳ですが、「サン・ジャックの道」の場合はこれに当てはまりません。
旅をするのは全員で9人。彼らは数か月に及ぶ旅の中で互いの理解を深めていくというストーリーです。一番の見どころは遺産欲しさに旅する兄弟3人の葛藤ですが、フランスからスペインを旅する道程のロケーションも見応えがあります。観客はその変化に目を奪われ、やがて10人目の旅人となって映画に没入することになるでしょう。
実はこの作品と同系統のロードムービーに「リトル・ミス・サンシャイン」があります。
興味深いのは2つの作品の移動手段。
「リトル…」はクルマで、「サン・ジャック…」は徒歩でした。
前者の“クルマ”は「たとえどんなに仲違いしようと家族はひとつ」を表し、後者の“徒歩”は「たとえ人種や社会的地位に差があっても、神の前で人間は平等」を表していたように思います。
観る人によって感情移入する登場人物は異なります。
それがこの映画の本当の面白さ。
「本当に必要なものを手に入れるためには、今持っているものを手放さなきゃならない」
僕はそんなことを教えられました。できるかどうかは別ですけど、今はかなり悩んでいます(笑)。
以前「見逃していたら絶対オススメの映画ベスト20」に推したサスペンスコメディの傑作、「女はみんな生きている」の監督コリーヌ・セローが4年ぶりに撮った作品。
母親の遺産相続の条件である“聖地巡礼”にしぶしぶ向かった仲の悪い兄弟3人と、同じツアーに参加した面々が次第に心を通わせていくロードムービーです。
一部の方は「ウェス・アンダーソンの『ダージリン急行』に設定が似てね?」と思うかもしれませんが、作品のテイストは全く違いますから安心して下さい。しかも面白いです(笑)。
タイトルの「サン・ジャック」は、一行が向かうキリスト教の聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」のこと。wikipediaによるとここは「聖ヤコブの遺骸が祭られているため、古くからローマ、エルサレムと並んでカトリック教会で最も人気のある巡礼地」なのだそうです。ちなみに一向はフランスからスペインの西の果てまで約1,500キロを踏破することになる…。
と、これらの情報をインプットした上で本作を観ると、序盤余計な「?」に気を削がれることもなく、純粋に作品を愉しむことが出来ると思います。
ところで。
僕の記憶が正しければ、ロードムービーとは一人、あるいは二人で旅するものが多かった。
10年も仲たがいしていた兄を訪ねるためトラクターで旅する73歳の弟「ストレイト・ストーリー」
親友と共にバイク一台で旅に出た若きチェ・ゲバラ「モーターサイクル・ダイアリーズ」
終わらない夏を求めて世界中を旅した二人のサーファー「エンドレス・サマー」
バイクでの世界最高速を出したかったおじいちゃん「世界最速のインディアン」
そして、失恋の痛手を癒す旅に出たノラ・ジョーンズw「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
彼らは小さなコミニュティから出て、旅先で出会う人たちとの交流によって大きく成長し、人生の意義を見出した訳ですが、「サン・ジャックの道」の場合はこれに当てはまりません。
旅をするのは全員で9人。彼らは数か月に及ぶ旅の中で互いの理解を深めていくというストーリーです。一番の見どころは遺産欲しさに旅する兄弟3人の葛藤ですが、フランスからスペインを旅する道程のロケーションも見応えがあります。観客はその変化に目を奪われ、やがて10人目の旅人となって映画に没入することになるでしょう。
実はこの作品と同系統のロードムービーに「リトル・ミス・サンシャイン」があります。
興味深いのは2つの作品の移動手段。
「リトル…」はクルマで、「サン・ジャック…」は徒歩でした。
前者の“クルマ”は「たとえどんなに仲違いしようと家族はひとつ」を表し、後者の“徒歩”は「たとえ人種や社会的地位に差があっても、神の前で人間は平等」を表していたように思います。
観る人によって感情移入する登場人物は異なります。
それがこの映画の本当の面白さ。
「本当に必要なものを手に入れるためには、今持っているものを手放さなきゃならない」
僕はそんなことを教えられました。できるかどうかは別ですけど、今はかなり悩んでいます(笑)。
こんばんは。カープのご健闘、何よりです。(^^)
最近私もこの作品をDVDで観ましたが、一緒に歩いているような気分になれました。(勿論実際歩いたら音を上げてしまいそうですが)
兄弟3人が本当に各々トホホな人ばかりなのについつい見入ってしまうというか、最後はきっと、、、と結末を想像しながらも他の参加者の人間模様にも引き込まれてしまいました。
by うつぼ (2008-09-23 23:22)
この作品の巧いところは、兄弟以外の旅人(特に失読症の少年)が
重要な役どころである点ですね。
仕事をほったらかしにして3ヶ月旅が出来るなら、歩いてもいいなあw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-09-24 00:14)
面白い映画でしたね。待ち時間に眠ってしまって、出だし数分間を見逃してしまったので、もう一度見ようと思っていました。歩きたくなります、この映画。
by 江戸うっどスキー (2008-09-24 01:13)
江戸うっどスキーさんの「歩きたくなります」のコメントで
どうしても書きたかったことを思い出しました。
たった今、加筆したところですw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-09-24 01:50)
歩きでの壮大な巡礼の旅ですよね。
大きい荷物を途中で捨ててたのが笑えた(ありましたよね、確か^^)
文明の利器なんて必要ないんでしょうね。
昔の人がしてきたような、旅が出来そう。
あの景色はホントに美しかったです。
by てくてく (2008-09-25 15:54)
荷物、たくさん捨ててましたね。ありましたよ、このシーンw
1500㎞も歩くとなったら、僕も二男と同じ手ぶらを選ぶかも。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-09-25 22:18)
リトル・ミス・サンシャインは家族がテーマですが、こちらは、人生がテーマというかんじですね。「何かを得るためには何かを手放さなきゃいけない」
まさしく今同じことで大騒ぎした後だったので、「やっぱりそうなのかな」という気もしました。覚悟したつもりだったけど、苦しいものですね。
とてもいい映画のようですね。是非見てみたいと思います(^^)
by kacho (2008-09-30 05:52)
人生の折り返し点で、“何か”に悩んでいる人には、
随分“ささるぅ”作品じゃないかと思います。
ぜひご覧になってみて下さい!
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-10-03 22:10)