SSブログ

現代アートにはまる。 [アートの祭り]

 昨年からアートにはまっている。
 それも、現代アート(コンテンポラリーアート)と言われるジャンルのものだ。
 きっかけは、村上隆。
 彼を忌み嫌う人たちは沢山いるけれど、僕は「芸術企業論」を読んで、
 「この人は優れたアーティストであると同時に、素晴らしいプロデューサーなんだな」
 と知って感動したのがすべてのはじまり。

芸術起業論

芸術起業論

  • 作者: 村上 隆
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 単行本

 彼を嫌う人も同じポイントでスイッチが入るらしい。ただし文言は若干変化する。
 「彼はアーティストである前に、商売人である」
 文言は、翻訳を間違えたらこうなった、と言う程度の誤差だが主張は大きく異なる。
 僕の周りにも「オタクの等身大フィギュアがどうして16億円もするんだ」と言う人がいる。
 確かに僕もそう思う。
 そう思ったからいろんな本を読んで、いろんなアートを観てたら、はまってしまった。
 自分で「16億円」の意味を調べない人は、いつまでたっても「なんでなんだ」と怒ってる。別に彼らに何の危害も加えていないし、何の損失も与えたわけでもないのに。
 そういう人たちは大抵の場合、村上隆が16億円をまるまる儲けたと思っている。
 違います。
 村上隆の懐には1円たりとも入っていない。
 あれは「マイ・ロンサム・カウボーイ」という村上作品を持っていた人が売りに出し、オークションの結果別の人が16億円で買った、というニュースなのだ。
 そんなことを知らない人も、あるいは知ってる人も、村上隆を悪く言う人たちの根底にあるものは、なんだかんだ言っても結局「うまいことやりやがって」という妬みじゃないかと思う。

 さて、そんな僕が勉強のためにと思って読んだ中で面白かったのはまずコレ。

日本人は世界一間抜けな美術品コレクター (Kobunsha Paperbacks 121)

日本人は世界一間抜けな美術品コレクター (Kobunsha Paperbacks 121)

  • 作者: 新美康明
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/06/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 いいタイトルですよね。素晴らしい(笑)。
 著者の新美さんはギャラリスト、いわゆる画商さんです。この人は村上隆“否定派”なんだけど、書いてある中身は相当面白いです。
 バブル時代、バカみたいな金額でアートを買った日本企業をこき下ろしつつ、日本人のアートを見る目の無さを嘆いています。
 また、日本には沢山の美術館がありながら、なぜルーブルやMOMA(ニューヨーク近代美術館)のような世界中から観光客が押し寄せる美術館がないのか、その理由も明かしています。基本「日本人は間抜け」路線ですけど(笑)。
 その一方でアートに触れる喜びを初心者に説いてますから、「なんとなくアートって好きだな」って人には、たまならい読み物になっています。
 僕が一番感心したのは現代アートの見方が分からないという人に対する新美さんのアドバイス。
 「じゃあネクタイはどうやって選んでますか?その1本を選んだ理由を明確に言えますか?」
 数あるネクタイの中から選んだ1本だけど、言われてみれば大した理由なんてなかったりする。
 「なんとなく気に入った」
 初心者はそれでいいんだ、と言っています。納得。

 もう1冊は「奈良美智、村上隆を世に送り出した」と必ず紹介されるギャラリスト、小山登美夫さんの著作。

その絵、いくら? 現代アートの相場がわかる (セオリーBOOKS)

その絵、いくら? 現代アートの相場がわかる (セオリーBOOKS)

  • 作者: 小山 登美夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/08/06
  • メディア: 単行本


 タイトル通り、アートの価格に関するさまざまな“謎”が明らかになります。
 アートの価格はいかにして決められるのか?
 日本人はなぜアートを高いと思っているのか?
 現代アートは投資の対象になるのか?
 などなど。
 
 これらの本を読んで僕は「結局一度は買ってみないとアートの本質は分からないな」と思いました。
 金額の大小にかかわらず、完全に「買う気」で挑まないと、真剣にアートを吟味出来ないような気がしたからです。
 そんなわけで僕は、アートを1点買うことにしました。
 「何か買おう」と思って探し始めたら、実に面白いことが分かってきました。
 
 この続きはまた今度。


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 2

コメント 4

ももこ

はじめまして。
村上作品はオモシロイけど、さほど好きではありませんでした。が、芸術起業家を読んで、美術家村上のファンになりまた。
すごく真摯な作家だと思います。紹介されている他の二冊もおもしろそうですね。私もこの数年、現代美術に興味を持つようになりました。いつか作品を買いたいと思うようになったら、アートとお金の関係が気になるようになった次第で。読んでみたいと思います。
by ももこ (2008-11-12 22:43) 

ken

ももこさん、ようこそ。
普段は映画のブログですが、アートも少しずつ扱っていきますw
村上さんのアート。僕も最初は「なんだこれ」と思っていたんですが
今では虜です。金さえあれば一点買いたいくらいw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-13 00:32) 

u_yasu

最近、『芸術起業論』読んだばかりです!

本当に、村上隆さんってアーティストであり、素晴らしいプロデューサーですよね。この本を読んで正直、ビックリしました。

紹介されている他の本も、時間をみつけて読んでみます!!
by u_yasu (2008-11-14 00:10) 

ken

おお、そうですか!
「芸術企業論」は結局何回読んだか分かりません。
久し振りに赤線引いちゃったりしてますw
他の2冊もぜひ。nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-14 01:00) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。