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ギター弾きの恋 [2008年 レビュー]

ギター弾きの恋」(1999年・アメリカ) 監督・脚本:ウディ・アレン

 ドキュメンタリータッチながら、実は完全なフィクションというウディ・アレンの遊び心溢れる小品。

 ジャンゴ・ラインハルトに次いで世界で2番目の天才ギタリストと自称するエメット・レイ(ショーン・ペン)は音楽的才能に恵まれながら、ミュージシャンとしては遅刻、泥酔、ドタキャンを繰り返すトラブルメーカー。ある日エメットは友人とナンパに出かけ、小柄で口のきけない女性ハッティ(サマンサ・モートン)と出会う。彼女はエメットが聴かせてくれたギターの音色に心動かされ、エメットと行動を共にするようになるが…。

 ショーン・ペンのギターの当て振りだけ目をつぶれれば、映画としては気持ち良くまとめられたいい作品だと思います。ペンのプレイを誰が吹き替えたか知りませんがすごくいい音だし、彼の自堕落な演技も素晴らしくいい。なによりハッティを演じたサマンサ・モートンが最高にキュートです。
 
彼女の表情に見とれていたら、これはウディ・アレン自身の反省の念から生まれた作品じゃないかと思いました。というのもサマンサが分かりし頃のミア・ファローにそっくりだったから。
 もちろんこれがウディ・アレンの物語であろうとなかろうと、世界中の男たちはエメットに自身を投影し、やり直しのきかない人生を呪うのです。

 「あのとき彼女と別れなかったら、自分の人生はどうなっていたのだろう?」

 2人の再会のシーンは絶品。特にエメットの台詞がいい。こういうシーンを書かせたらやっぱりウディ・アレンは上手いなあと思わず溜息が漏れました。
 実にシンプルな映画です。
 徹底して描かれているのは男のバカさ加減。いくつになっても1年前の自分を叱り付けたくなる人には持って来い。人のフリ見て我フリ直しましょう(笑)。

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コメント 6

江戸うっどスキー

ギター弾きの恋という、タイトルは初めて知りました。
「あの時~」、こういうフレーズに弱いので、とても興味が湧きます。
by 江戸うっどスキー (2008-12-18 23:05) 

ken

スイマセン。実はこれ半ばネタバレ記事なんですぅw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-19 05:49) 

クリス

ほんとに。オトコって大切なものに気づくの遅すぎーーー!なんて、ペンのうだつの上がらない天才ぶり、モートンの文字通り寡黙な可憐さがよかったです。ウディの中でもいちばん好きな作品かも。
by クリス (2008-12-20 23:22) 

ken

うわあああ!
…あ、オレが怒られたのかと思ってビックリしたw
僕もこの作品、ウディ・アレンの中ではかなり上位にランクインします。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-20 23:33) 

coco030705

こんばんは。
kenさんがウディ・アレンの映画をご覧になるのは珍しいですね。
この作品もウディらしさが随所にあふれ、おもしろかったです。
ウディもあと何本映画を撮ってくれるのかなと思ったら、ちょっと寂しくなります。
TBさせていただきまーす。
by coco030705 (2008-12-31 19:03) 

ken

やはり食わず嫌いはいけないと思った2008年でしたw
ウディが最近ニューヨークではなく、ヨーロッパで映画を撮ってるのも
面白いなあ、と思ってウォッチングしてました。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-01-01 18:33) 

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