蒲田行進曲 [2009年 レビュー]
「蒲田行進曲」(1982年・日本) 監督:深作欣二 原作・脚本:つかこうへい
新年1発目は何を観ようと考えていたら、wowowのラインナップにコレがあった。
1982年の日本アカデミー賞を総なめにし、キネマ旬報ベスト・テンでは第1位に選ばれた作品。
公開された当時僕も劇場で観たんだけど、実は周囲が言うほど「面白かった」という記憶が無く、どちらかというと「なんだかしんどい映画だったなあ」という薄ぼんやりした印象だけがあって。
ならば。いい機会だと思って元旦の夕方から観る。
したらば、これがもう、素晴らしく面白かった。
特に松坂慶子、最高。
劇場公開当時僕はまだ19歳で、たとえば「清濁併せ呑む」って言葉は知っていても、その苦々しさを知らない小僧に本作の面白さは理解不能。僕はそれを27年後の今日知った。いやぁ、46歳を目前に観直して良かった(笑)。
では19歳の小僧が感じた「しんどさ」とは何だったのか。それは“階段落ち”を引き受けることにしてからのヤス(平田満)の荒れっぷりに尽きる。特に小夏(松坂慶子)に辛く当たる件は「何もそこまでしなくたって」と両親の激しいケンカを見る子供の心境に近かったと思う。ケンカが暴力沙汰になれば子供は当然母親の味方をする。そんなとき「なぜ父親は暴力を振るうに至ったか?」まで頭が回らないものだ。19歳の僕はまさしくそれだった。
ヤスの場合。
銀四郎(風間杜夫)の都合で手に入れた幸せを、再び銀四郎のために失うことになった大部屋俳優は「結局、オレは誰の人生を生きているんだ」と激しく悩む。ヤスの荒れ具合は出来損ないの男がはじめて1人前の男になった証。27年前の僕が「しんどい」と思った箇所は、実はこの映画の「一番の見どころ」だったのだ。まさかクライマックスの「銀ちゃん、カッコイイ」で泣けるとは思わなかった。
再発見はほかにもあった。
まず「悪人不在」だったこと。そして日本映画最大のウリである「人情」に溢れていたこと。
これから世界のマーケットを視野に入れたとき、ゼッタイに忘れるべきじゃない日本映画の原点とも言うべき“味わい”がこの映画には詰まっている。
日本映画の歴史に名を残す永遠の傑作。
新年1発目は何を観ようと考えていたら、wowowのラインナップにコレがあった。
1982年の日本アカデミー賞を総なめにし、キネマ旬報ベスト・テンでは第1位に選ばれた作品。
公開された当時僕も劇場で観たんだけど、実は周囲が言うほど「面白かった」という記憶が無く、どちらかというと「なんだかしんどい映画だったなあ」という薄ぼんやりした印象だけがあって。
ならば。いい機会だと思って元旦の夕方から観る。
したらば、これがもう、素晴らしく面白かった。
特に松坂慶子、最高。
劇場公開当時僕はまだ19歳で、たとえば「清濁併せ呑む」って言葉は知っていても、その苦々しさを知らない小僧に本作の面白さは理解不能。僕はそれを27年後の今日知った。いやぁ、46歳を目前に観直して良かった(笑)。
では19歳の小僧が感じた「しんどさ」とは何だったのか。それは“階段落ち”を引き受けることにしてからのヤス(平田満)の荒れっぷりに尽きる。特に小夏(松坂慶子)に辛く当たる件は「何もそこまでしなくたって」と両親の激しいケンカを見る子供の心境に近かったと思う。ケンカが暴力沙汰になれば子供は当然母親の味方をする。そんなとき「なぜ父親は暴力を振るうに至ったか?」まで頭が回らないものだ。19歳の僕はまさしくそれだった。
ヤスの場合。
銀四郎(風間杜夫)の都合で手に入れた幸せを、再び銀四郎のために失うことになった大部屋俳優は「結局、オレは誰の人生を生きているんだ」と激しく悩む。ヤスの荒れ具合は出来損ないの男がはじめて1人前の男になった証。27年前の僕が「しんどい」と思った箇所は、実はこの映画の「一番の見どころ」だったのだ。まさかクライマックスの「銀ちゃん、カッコイイ」で泣けるとは思わなかった。
再発見はほかにもあった。
まず「悪人不在」だったこと。そして日本映画最大のウリである「人情」に溢れていたこと。
これから世界のマーケットを視野に入れたとき、ゼッタイに忘れるべきじゃない日本映画の原点とも言うべき“味わい”がこの映画には詰まっている。
日本映画の歴史に名を残す永遠の傑作。
確か十数年前に見たような記憶があります。
出てくる人がみんないじらしかったような・・
もう一度見てみたいです。
>日本映画最大のウリである「人情」
これは本当に大事にしてほしいです。
by Sho (2009-01-02 11:30)
古い映画を見直す大切さを新年早々実感しました。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-01-02 19:19)
kenさん、あけましておめでごございます。
この映画はテレビ放映ですごく昔に見たきりですが、
女から観ると勝手な男もいる一方で、体を張る男もいるんだな、
と思ったような記憶がありますが、これも20年くらい前の話ですし(笑)
中年になった自分が今みたらどう思うのか、、、
kenさんの記事を読んだら堪らなくまた観たくなりました。(^^)
by うつぼ (2009-01-02 20:46)
明けましておめでとうございます
なつかしい映画ですね
当時まだ売れていなかった風間杜夫、平田 満を大役に起用したこの映画、松坂慶子さんが出なかったらきっと松竹は作ってくれなかったのではないかと思いました。
26年前には「斬新」ということばがピッタリの映画で、私も大好きな作品です。
by マヌカン☆ (2009-01-02 21:21)
>うつぼさん
あけましておめでとうございます。
銀の字には銀の字の、ヤスにはヤスのプライドがちゃんとあって
この2人の扱いはとても公平に作られた、観やすい映画でした。
ぜひリトライしてみて下さい!
nice!ありがとうございます。
>マヌカン☆さん
あけましておめでとうございます。
松坂さんの功績は大きいですねえ。風間さんと平田さんを押したのは
もしやつかさんかも?、と思いました。この2人意外に出来ない役ですもんね。
by ken (2009-01-03 02:11)
あけましておめでとうございます☆
久々知ってる映画だったので
コメントしなくてはと思いましたが
なにせ見たのははるかかなたの話で・・・
思いつくのは、蒲田駅の発車の音楽が
蒲田行進曲で、しかも上りと下りでは
違うフレーズだってことです・・・^^;
by ecco (2009-01-03 15:24)
いや~ん照れる。私の慶子は松坂慶子からもらったの~。
by **feeling** (2009-01-03 19:50)
>eccoさん
あけましておめでとうございます!
蒲田駅の上りと下りでフレーズが違う?確認したくなりました…w
nice!ありがとうございます。
>**feeling**さん
関係ないやーん!
by ken (2009-01-03 21:05)