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雲南の花嫁 [2009年 レビュー]

雲南の花嫁」(2005年・中国) 監督:チアン・チアルイ

 少数民族を描いた映画は面白い
。知られざる文化と風習を知るだけでためになるし、想像もつかないドラマがそこにあるからだ。
 本作は雲南省の少数民族、「イ族」の結婚にまつわる風習がテーマ。その風習とは「結婚をしても3年間は同居してはならない」というもの。念願かなって結婚をした幼なじみのアーロンとフォンメイも、もちろんそのルールを守るようにと言われるが、特に新妻のフォンメイがそのしきたりを何かと破ろうとする。結果、村全体を巻き込んだ騒動に発展し、やがて2人の関係もギクシャクし始める…。

 テーマは面白いけれど、展開が面白くない。そもそも「なぜ3年間は同居が許されないのか」の答えがどこにもないのだ。しかも物語が進むにつれ、同居どころか同じ村にいることも、2人きりで会うことも許されないということが明らかになる。なのにその理由は一言も語られない。これは映画として致命的な欠陥だ。
 映画そのものはコメディでもある。が、笑いを誘引するテクニックは未熟。脚本のセンスもカット割りも音楽もどれも拙い。笑わせようとしているシーンで笑えないことほど観ていて辛いことはない。
 唯一、見応えのある設定は夫アーロンに想いを寄せる女子が妻フォンメイの近くにいること。もちろんドロドロの展開なんかにならない。極めてプラトニックである。この娘の想いが一途であればあるほど、「3年同居不可」という設定が効いてくるのだが、その理由が明らかにならないためにせっかくの展開も尻すぼみに終わっている。

 もしもこの映画を弁護するなら、「中国当局の検閲を受け、認可された映画」という点か。
 中国では台本から撮影後まで何度もチェックを受け、ときにフィルムはズタズタにされることもあると聞く。本作の場合も、どうにも繋がりの悪いところが何箇所かあり、当局の判断でカットに及んだのではないかと思われる。もしもそんなことがひとつもなかったら、それは編集のセンスの無さの表れになってしまうのだが…。

 少数民族映画として楽しめるのは、赤を基調とした女子たちの民族衣装。これほど鮮やかな脚本だったらどれほど良かっただろう。と、つい思ってしまった。
 一応「雲南の少女 ルオマの初恋」も観てみるか。

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コメント 2

Sho

>そもそも「なぜ3年間は同居が許されないのか」の答えがどこにもないのだ。しかも物語が進むにつれ、同居どころか同じ村にいることも、2人きりで会うことも許されないということが明らかになる。なのにその理由は一言も語られない
いや、これじゃもう何がなんだか全然わかんないですよね(笑)
残念。
by Sho (2009-12-26 11:41) 

ken

久しぶりに絶句しましたw
by ken (2009-12-26 19:16) 

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