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いずれ絶望という名の闇 [2010年 レビュー]

いずれ絶望という名の闇」(2009年・フランス/ベルギー/ルクセンブルグ) 監督:ジル・ベア

 タイトルのパクリはAVかお笑いと相場が決まっている。
 僕は「たそがれ清兵衛」のDVDレンタルが始ってまもなく、三軒茶屋のTSUTAYAでうっかり「たそがれ助兵衛」というエロ映画を借りそうになったことがある。
 その日30本近く並んでいた「たそがれ清兵衛」はほとんど出払っていて、でも右の端っこに1枚だけあった!と思って手にとったら、それが「たそがれ助兵衛」だった、というワケ。

 まさかTSUTAYAの店員が間違えるはずないので、「だってコレも新作だし」と思った店員のジョークと受け止めているが、つまり「タイトルをパクって許されるのはジャンルの異なるAVかお笑い」というのが僕の認識なのだ。

 ある日の夜。人質事件を強引な方法で解決したマット(ジェラール・ドパルデュー)は上司から謹慎を命じられる。その謹慎中。かつて恋人だった女性警視に呼び出され、1本のビデオを見せられる。それはマットの相棒フランク(オリヴィエ・マルシャル)が情報屋を一方的に殺害するシーンだった…。

 結論から言うと「名作の皮を借りた駄作」である。
 ところが驚いたことに、「あるいは裏切りという名の犬」の脚本を書き、監督を務めたオリヴィエ・マルシャルが脚本と出演に名を連ねていた。
 原題は「DIAMANT 13」。タイトルをパクったのは日本での版権を持つ、タキコーポレーションと思われる。しかも僕は失念していたのだけれど、この作品の前に「やがて復讐という名の雨」という作品もあったのだ。こちらはオリビエ・マルシャルによる脚本・監督作品。明らかに2匹目のどじょうを狙ったと思われる。主演はダニエル・オートゥイユ。
 確かに「あるいは裏切りという名の犬」は名作だった。しかし「やがて復讐という名の雨」も「いずれ絶望という名の闇」も劇場公開されず、ストレートDVDとなっている事実を見逃してはならない。
 ダニエル・オートゥイユもジェラール・ドパルデューも金に目が眩んでこれらの仕事を引き受けたのだとしたら、劇中の汚職刑事並みに同情の余地なしである。

 元警察官という異色のキャリアを持つオリヴィエ・マルシャルだが、彼のダイアローグにはときどき“宝石”がある。オリヴィエとジェラールにこんなやりとりがある。
 「彼女を待っても無駄だと思う」
 「待ってなどいない。待つことの意味すら忘れた」
 カッコ良すぎる。ただしジェラールは太り過ぎていてほとんどのシーンで鼻息が荒い。関取並みの鼻息男に激務の刑事が務まるのかと思ったら、感情移入はさせてもらえなかった。

いずれ絶望という名の闇 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: タキ・コーポレーション
  • メディア: DVD

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CORO

あら、本当に格好いい会話^^
しかしこういうキザな台詞をサラっと吐くのなら、
もうちょっとお腹は引っ込めた方が賢明ですね^^;
by CORO (2010-07-27 00:32) 

ken

おっしゃるとおりです(笑)。僕も引っ込めようと思います。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-07-27 00:58) 

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