007/ダイ・アナザー・デイ [2010年 レビュー]
「007/ダイ・アナザー・デイ」(2002年・アメリカ/イギリス)
シリーズ40周年の20作品目。そしてピアース・ブロスナンがボンドを演じた最後の作品。
まず、ここまで観てきた中で一番シリアスなプレタイトルだった。
ボンド21世紀最初の任務は、武器の密輸を行う北朝鮮ムーン大佐の抹殺。派手な攻防戦の末、任務は果たすもののボンドは大佐の父であるムーン将軍に捕らえられ拷問に遭う。タイトルは水攻めに遭うボンドのアップから突入するのだ。
タイトル明け、さらに驚くのが「14ヶ月後」の文字。ボンドはすっかりヒゲもじゃのロン毛オヤジになり、イギリス紳士の見る影も無い…。
今までの作品とは明らかに趣が異なっている。このタッチはどちらかというと後に続く「カジノ・ロワイヤル」以降の作風に近く、ボンド映画の方向転換はこの辺りから始まっていたと見るのが打倒だろう。
MI6(というよりもM)が囚われの身になったボンドには恐ろしく冷たいという設定もよかった。
中でも、捕虜の交換という形で帰国したボンドに、Mが「青酸カリはどうしたの?」と問い質すシーンがある。これは「捕虜になった瞬間、なぜ自害しなかったの?」という意味だが、さらに言うなら「007と言えども捕虜になってしまえば所詮“捨て駒”」と言い放ったも同然。
「消されたライセンス」のとき。00(ダブルオー)を剥奪しておきながら、ボンドに対する信頼は失わずにいた前任のMとは決定的に違う。
ボンドと向き合うジュディ・デンチの冷たい視線が緊張感を生む。そして、ここでのボンドとMとの関係性は「カジノ・ロワイヤル」に受け継がれていくのだ。
本作の脚本を手がけたニール・バーヴィスとロバート・ウェイドはいい仕事をしたと思う。この2人はそのまま「カジノ・ロワイヤル」の脚本も担当し、加えてアカデミー賞脚本家ポール・ハギスの参加によって、ニュー・ボンド映画は誕生するのだが、21作目のハナシはさておき。
とまれどんな映画にもリアリティを求める僕にはまずまず面白かった。ただシエラレオネ産のダイヤモンドに触れるなら、もっと丁寧にストーリーに盛り込んで欲しかったと思う。
シリーズ20本を一気に観直してきたおかげで愉しめた点もある。それがこれまでの作品から引用した場面や設定。
ボンドガールのジンクス(ハル・ベリー)が海から登場するシーンは「ドクター・ノオ」。レーザーによる処刑は「ゴールドフィンガー」。そしてQの部屋にあるアイテムはワニ型潜水艇やナイフ付きの靴、ボンドが空を飛んだジェット・パック等など懐かしい。時代に合わせてボンド映画は変わろうとしているけれど、それぞれの時代で人気を集めた過去の作品は永遠に色褪せないことを教えてくれる。
ボンド・ガールは実にゴージャス。組み合わせも良かった。
今まではボンドとナニする相手が必要だからってテキトーに用意された女子もいたが、ハル・ベリーはアメリカ国家安全保安局(NSA)のエージェント役、無名のロザムンド・パイクはMI6のエージェント役と、2人とも意味ある重要な役どころなのがいい。そして2人とも正統派の美女。組み合わせとしては過去最高だったかも。
JAMES BOND WILL RETURN.
さて、これで「007シリーズ」コンプリートである。いや~長かった(笑)。
いつか総括記事を書く予定。でもそのためには「ネバーセイ・ネバーアゲイン」も観なければなるまい。ふぅ。
シリーズ40周年の20作品目。そしてピアース・ブロスナンがボンドを演じた最後の作品。
まず、ここまで観てきた中で一番シリアスなプレタイトルだった。
ボンド21世紀最初の任務は、武器の密輸を行う北朝鮮ムーン大佐の抹殺。派手な攻防戦の末、任務は果たすもののボンドは大佐の父であるムーン将軍に捕らえられ拷問に遭う。タイトルは水攻めに遭うボンドのアップから突入するのだ。
タイトル明け、さらに驚くのが「14ヶ月後」の文字。ボンドはすっかりヒゲもじゃのロン毛オヤジになり、イギリス紳士の見る影も無い…。
今までの作品とは明らかに趣が異なっている。このタッチはどちらかというと後に続く「カジノ・ロワイヤル」以降の作風に近く、ボンド映画の方向転換はこの辺りから始まっていたと見るのが打倒だろう。
MI6(というよりもM)が囚われの身になったボンドには恐ろしく冷たいという設定もよかった。
中でも、捕虜の交換という形で帰国したボンドに、Mが「青酸カリはどうしたの?」と問い質すシーンがある。これは「捕虜になった瞬間、なぜ自害しなかったの?」という意味だが、さらに言うなら「007と言えども捕虜になってしまえば所詮“捨て駒”」と言い放ったも同然。
「消されたライセンス」のとき。00(ダブルオー)を剥奪しておきながら、ボンドに対する信頼は失わずにいた前任のMとは決定的に違う。
ボンドと向き合うジュディ・デンチの冷たい視線が緊張感を生む。そして、ここでのボンドとMとの関係性は「カジノ・ロワイヤル」に受け継がれていくのだ。
本作の脚本を手がけたニール・バーヴィスとロバート・ウェイドはいい仕事をしたと思う。この2人はそのまま「カジノ・ロワイヤル」の脚本も担当し、加えてアカデミー賞脚本家ポール・ハギスの参加によって、ニュー・ボンド映画は誕生するのだが、21作目のハナシはさておき。
とまれどんな映画にもリアリティを求める僕にはまずまず面白かった。ただシエラレオネ産のダイヤモンドに触れるなら、もっと丁寧にストーリーに盛り込んで欲しかったと思う。
シリーズ20本を一気に観直してきたおかげで愉しめた点もある。それがこれまでの作品から引用した場面や設定。
ボンドガールのジンクス(ハル・ベリー)が海から登場するシーンは「ドクター・ノオ」。レーザーによる処刑は「ゴールドフィンガー」。そしてQの部屋にあるアイテムはワニ型潜水艇やナイフ付きの靴、ボンドが空を飛んだジェット・パック等など懐かしい。時代に合わせてボンド映画は変わろうとしているけれど、それぞれの時代で人気を集めた過去の作品は永遠に色褪せないことを教えてくれる。
ボンド・ガールは実にゴージャス。組み合わせも良かった。
今まではボンドとナニする相手が必要だからってテキトーに用意された女子もいたが、ハル・ベリーはアメリカ国家安全保安局(NSA)のエージェント役、無名のロザムンド・パイクはMI6のエージェント役と、2人とも意味ある重要な役どころなのがいい。そして2人とも正統派の美女。組み合わせとしては過去最高だったかも。
JAMES BOND WILL RETURN.
さて、これで「007シリーズ」コンプリートである。いや~長かった(笑)。
いつか総括記事を書く予定。でもそのためには「ネバーセイ・ネバーアゲイン」も観なければなるまい。ふぅ。
シリーズ20本観たとは・・・
脱帽です!!
すごい体力です。
by 漣花 (2010-08-01 22:38)
私の知ってるボンドは
ショーン・コネリーにロジャー・ムーア。
ピアース・ブロスナン・・・わかりません。
シリーズものって
第1作から順番に見たいし。
どういうタイミングで見たらいいんだろか。
by ecco (2010-08-02 00:12)
>漣花さん
我ながらよくやったと、自分で自分を褒めてやりますw
nice!ありがとうございます。
>eccoさん
もちろん第1作から観て下さい。でないと面白さは半減します。
観るタイミングは…本当は出かけるのがおっくうになる梅雨じきでしたか。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-08-02 21:49)
完走お疲れさまでした。
これ、結構好きです。
シリーズ批評的な脚本が好きで、つまりは007になりたかった男が悪役ですね。
by きさ (2010-08-07 08:43)
この作品はニール・バーヴィスとロバート・ウェイドが脚本を手掛けたことで
007映画が大きな転換をした意味ある一作だったと思います。
このシリーズにお付き合い頂きありがとうございました。nice!も。
by ken (2010-08-07 15:33)