その土曜日、7時58分 [2010年 ベスト20]
「その土曜日、7時58分」(2007年・イギリス/アメリカ) 監督:シドニー・ルメット
こんな邦題で誰が観ると思うか、ソニー・ピクチャーズの諸君。
不愉快になるほど意味不明である。不愉快な理由は原題があまりに詩的で素晴らしいからだ。
「BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD(あなたが死んだことを悪魔が知る前に)」。
ガンズ・アンド・ローゼズがこんな曲を出しててもいいと思うほど美しい。これに比べて邦題のセンスの無さはなんだ。中味が面白いだけに、それを殺しているタイトルに憤慨する。
シドニー・ルメットは70年代に「オリエント急行殺人事件」、「狼たちの午後」、「ネットワーク」と言った名作を手がけた監督だが、82年の「評決」以降は完全に低迷していたらしい。何故かは知らない。プライベートで嫌なことでもあったのか。
ところが2007年に公開された、この「BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD」(邦題で呼ぶ気になれん)は素晴らしく面白い。何かいいことでもあったのか。
娘の養育費を満足に払えないハンク(イーサン・ホーク)は、大手不動産会社に勤める兄のアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)から強盗計画を持ちかけられる。兄は金には不自由していないはずだった。疑心暗鬼になりながらも目先の金に困っていたハンクは計画に乗ることに。話を聞くと兄が狙っていたのは、2人の両親が経営する宝石店だった…。
本作の大きな特徴は、①ひとつのシークエンスを2度以上、②時間軸を入れ替えて、③別の人物の視点で描いていること。これが終盤近くまで繰り返し続き、登場人物たちのおぞましい内面を暴いていく。
この作品を観て強く思うのは、「人はいかに身勝手な生き物であるか」ということと、「人は少なからず誰かを恨んで生きている」ということ。ここで起きる事件は不幸の極みだが、登場人物が抱える問題はとてもありきたりだ。だからこそ身震いがする。
私たちの人生、実は“綱渡り”である。一歩踏み違えただけで奈落に堕ちて行く。それをぜひとも実感して欲しい。
フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、アルバート・フィニー。
この4人の真剣勝負だけでも見応えがある。特にイーサン・ホークの演技は感動的。
これ以上は何も読まず、何も聞かず観ることをオススメする。隠れた名作。
但しR-18。刺激は強い。
こんな邦題で誰が観ると思うか、ソニー・ピクチャーズの諸君。
不愉快になるほど意味不明である。不愉快な理由は原題があまりに詩的で素晴らしいからだ。
「BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD(あなたが死んだことを悪魔が知る前に)」。
ガンズ・アンド・ローゼズがこんな曲を出しててもいいと思うほど美しい。これに比べて邦題のセンスの無さはなんだ。中味が面白いだけに、それを殺しているタイトルに憤慨する。
シドニー・ルメットは70年代に「オリエント急行殺人事件」、「狼たちの午後」、「ネットワーク」と言った名作を手がけた監督だが、82年の「評決」以降は完全に低迷していたらしい。何故かは知らない。プライベートで嫌なことでもあったのか。
ところが2007年に公開された、この「BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD」(邦題で呼ぶ気になれん)は素晴らしく面白い。何かいいことでもあったのか。
娘の養育費を満足に払えないハンク(イーサン・ホーク)は、大手不動産会社に勤める兄のアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)から強盗計画を持ちかけられる。兄は金には不自由していないはずだった。疑心暗鬼になりながらも目先の金に困っていたハンクは計画に乗ることに。話を聞くと兄が狙っていたのは、2人の両親が経営する宝石店だった…。
本作の大きな特徴は、①ひとつのシークエンスを2度以上、②時間軸を入れ替えて、③別の人物の視点で描いていること。これが終盤近くまで繰り返し続き、登場人物たちのおぞましい内面を暴いていく。
この作品を観て強く思うのは、「人はいかに身勝手な生き物であるか」ということと、「人は少なからず誰かを恨んで生きている」ということ。ここで起きる事件は不幸の極みだが、登場人物が抱える問題はとてもありきたりだ。だからこそ身震いがする。
私たちの人生、実は“綱渡り”である。一歩踏み違えただけで奈落に堕ちて行く。それをぜひとも実感して欲しい。
フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、アルバート・フィニー。
この4人の真剣勝負だけでも見応えがある。特にイーサン・ホークの演技は感動的。
これ以上は何も読まず、何も聞かず観ることをオススメする。隠れた名作。
但しR-18。刺激は強い。
観たい,観ようと思いつつ,観逃しつつあった1本.
やっぱり面白いんですね.観なくちゃ.
忘れないように手帳に書いとこ.
by midori (2010-08-24 09:43)
さすがmidoriさん。観ようと思ってたなんて、いい嗅覚してますね。
この映画はオススメです。ただしR-18ですよ。くどいですけどw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-08-24 11:55)
こんばんは^^
何だかよく分からない邦題ですね。
原題の意味を知ると、余計にそう思えます。
面白かった。
けど、後味が非常に苦い映画でした^^
by てくてく (2010-08-26 02:34)
後味はちょっと、クリント・イーストウッド風でしたね。
邦題さえなんとかすりゃ、もっと当たったはずなんですけどねえ。
もったいない。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-08-26 14:27)
これ,面白かったです。
血が繋がってても,・・・
繋がっているほうが,恐ろしいのかもと
思いましたね。
by 漣花 (2010-08-31 23:28)
血のつながりの恐ろしさがよく出てましたね。
愛するが故に憎いって感じ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-09-01 13:59)
イーサン・フォークとフィリップ・シーモア・ホフマンが出ているというだけで
観た映画でしたけど、面白かった。最後がなんとも言えませんね。
by po-net (2010-09-05 17:04)
いい役者は作品を選ぶ、という好例でしたね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-09-05 22:30)
やっと観ました。
「筋は『ファーゴ』だよねぇ。。。」と途中までは
フーンと観ていましたが、途中から、あらあらあらあら
そういうテーマか、と気分的に相当キましたね。
わかるんだよなぁ、お兄ちゃんの気持ち。
寝る前には観ないほうがいい佳作。
by midori (2011-10-03 10:07)
「ファーゴ」観てないんですよねえ。今度トライしてみます。
寝る前に見ると、嫌な夢見ますねw
by ken (2011-10-03 14:03)