SSブログ

ロビン・フッド [2010年 レビュー]

ロビン・フッド」(2010年・アメリカ/イギリス) 監督:リドリー・スコット

 タイトルを聞いて僕がまず思い出すのがコレ。

ロビンフッド [DVD]

ロビンフッド [DVD]

  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • メディア: DVD

 ピーターパンとどこか違うのか分からない衣裳を付けた、ディズニーお得意の擬人化アニメ。
 ロビンフッドという架空の人はイングランドの圧政に苦しむ庶民を助けるため、ジョン王子から奪い返した税金を人々にばらまく“義賊”ということになっている。日本で言うと「ねずみ小僧」のようなキャラクターだが、ラッセル・クロウが演じるロビン・フッドは“義賊”ではなく、庶民の自由を勝ち取るために横暴な王と戦い、またフランス軍から国を守ろうとする“ヒーロー”として描かれている。つまりこれまでのロビンフッドとはスケールが違うのだ。
 僕はキツネのロビンが頭の隅にあったせいで、なかなかラッセル・ロビンに乗れなかった。僕と同じ過ちを犯さないためにも、これは「ロビン・フッド」ではなく、劇中で使用される「ロビン・ロングストライド」という名の男の英雄譚として観るのがいいだろう。

 リドリー・スコットの「実写」にこだわる映像が見ものだ。
 CGを使ったカットが無いわけではないが、実写で行けるところはとことん実写で絵を作ろうとする、その心意気が良しである。
 エキストラの数や揃えた衣裳と持ち道具の数など、想像するだけで気が遠くなるシーンを観ていて僕は、「アナログ世代の映画監督だからこそ作れる“血の通った”映像」なんじゃないかと思った。
 確かにアナログは面倒で金もかかる。けれど、そのカロリーは確実に映像に反映される。本作でも実写映像とCG映像の差は明らかである。多くの人が、その温度差に気付くと思う。僕はそんな「人の感性」もスゴイと思った。見た目では一瞬だまされても、のちに湧き上がって来る違和感は、人が持っている「心眼」によるものだろう。僕たちは「心眼」で「真贋」を見極めているのだ。
 例えば「スター・ウォーズ/エピソードIV」と「エピソードI」の持つ力の差。それは人の手によって創られたものと、デジタルよって創られたものの差もあったと思う。つまりホンモノの持つ力を使えば、より多くの人を感動させられるということだ。

 しかし個人的には「所詮これも戦争映画でしかないな」と思っていた。
 かつて誰かが「世界中が地球平和を謳う一方で、作られる映画の半数は戦争映画である」と話していた。僕はそれを聞いたときに愕然とした。それから、何のために戦争映画は作られるのか、その理由を知りたいと思っていた。
 本作の舞台は12世紀末のイングランド。この時代の武器は至近距離用の「剣(または鉄を加工したその類)」と、遠距離用の「弓矢」の二つである。近代戦争では使わない武器の威力がスクリーンから痛々しいほど伝わってくる。ちなみに火薬を使用する武器が登場するのは15世紀ごろと言われているが、それにしても「人間は古くから戦(いくさ)をしてきた生き物なんだなあ」と半ば呆れ気味に思ってしまった。
 なぜ戦は起きるのか。その理由も、俯瞰すると実はひとつしかないように思う。「侵害」である。分類すると「領土」と「人権」の侵害ということになるだろうか。侵害する理由は?何者かの「欲望」のためである。では再度自分に問い質す。
 「戦争映画はなぜ作られるのか?」
 今の僕には上手く答えられない。

 本作は他人のために何かを成そうとする人間の「義」を描いたものである。そして「矛盾」に対して行動を起こすことの重要性を説いている。志は高いがそれが観客の胸に届くかどうかは若干疑問が残る作品だった。
 ただし映像は本当に美しい。作品に興味があるなら劇場で観ることを勧める。

ロビン・フッド ディレクターズ・カット版(2枚組) [Blu-ray]

ロビン・フッド ディレクターズ・カット版(2枚組) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • メディア: Blu-ray

nice!(4)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 4

コメント 6

ecco

私はこのディズニーのロビンフッドを
どれくらいみたでしょう!
きっとkenさんのお家でも
ディズニー物増えるでしょうね~^^
by ecco (2010-12-13 21:53) 

ken

おかげさまでwowowでいくつか放送をしているので、
すでに何本か録画しています。
「不思議の国のアリス」、「シンデレラ」、「ホカポンタス」…これはまだ早いかw
早く娘と一緒に観たいです。まだ4ヶ月ですけど。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-12-14 04:13) 

てくてく

こんにちは^^
考えてみたら家の娘なんか
映画のすごいシーンを観ても「これってCGなんやろ?」って言いますもん。
私の子供の頃はまだ一生懸命、知恵を絞って特撮やってた時代。
それをリアルに覚えている世代っていうのも、
貴重になって行くんでしょうね^^
by てくてく (2010-12-23 13:25) 

ken

お嬢さんの世代のように、CGのある時代に生まれた人たちは
アナログ時代のスケールの大きな映画を観たら驚くでしょうね。
僕はもっとそういう映画を発掘したいです。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-12-23 22:30) 

spika

良かったでした。

ラッセル・クロウとケント・ブランシェットの組み合わせは
良かったですね。。もう安定感があって大人の映画という感じでした

自宅のブルーレイで見ましたが、色がきれいで
また、ブルーレイならでは?の特定映像や監督や役者の
インタビュウーが楽しくて・・

長生きは本当にするもんだと思いました(笑)

by spika (2011-04-19 20:10) 

ken

亀レス申し訳ありません!
最近僕はあまりに忙しくて、特典映像まで観るような余裕がありません(泣)
面白かったり、気に入った映画の特典映像を観るのって楽しいですよね~。
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-05-01 22:27) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

リトル・ロマンスオーケストラ! ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。