トイ・ストーリー3 [2010年 レビュー]
「トイ・ストーリー3」(2010年・アメリカ) 監督:リー・アンクリッチ
iTunes storeで映画のレンタルが始まった。気になるそのシステムはこうだ。
storeの映画コーナーで見たい映画を探し、「レンタル」のボタンを押すとダウンロードが始まる。ダウンロードの時間は通信環境によって異なるが、1時間43分の「トイ・ストーリー3」をWifiでダウンロードしたときは約60分。意外とかかる。
レンタル料金は200~400円。レンタル期間は30日間で、30日を過ぎるとデータは自動的に消滅する(スパイ大作戦かよ)。では30日の間なら何度でも観られるかと言うとそうではなく、(ここが最大のポイントだが)1秒でも視聴したら、その瞬間から48時間後にデータは消滅することになっている。つまり何度でも観られるのは48時間の内なら、という条件である。
30日ルールを厳密に言うと、期限切れの1秒前に観始めれば、期限を過ぎても最後まで観ることが出来る。ただし一度でもポーズボタンを押したら、それ以降は観られなくなるから要注意。
こんな新しいシステムで最初に観るのはやはり「トイ・ストーリー」が相応しい。
僕はこれをMacBookAirの11インチモニターで観たのだけれど、映像の美しさはまったく申し分なかった。そもそもCGが得意とする描写は「人為的に製造されたもの」と僕は認識している。特に合成樹脂で作られたものを再現する能力は100%に近く、だからプラスチックで作られたオモチャの描写はお手のもの。加えてオモチャたちの動きも完璧で(今回はバービー人形の足の動きが気に入った)、この“オモチャらしさ”を損なわないCGの再現力が「トイ・ストーリー」にリアリティをもたらしていると言っていいだろう。
しかし優れているのは技術力だけではない。僕は本作をシリーズ最高傑作だと思った。特に人間の五感にある“感動”という名のツボを的確に押さえた脚本は完璧だ。
1作目から10年後。アンディは17歳になり、大学進学を控えて引っ越しをしようとしていた。
かつて遊んだオモチャを捨てるか残すかを悩んだアンディは、カウボーイ人形のウッディだけ引っ越し先に連れて行き、あとは屋根裏部屋にしまうつもりだった。ところが、ちょっとした行き違いでその他のオモチャはゴミ捨て場に出されてしまう。「このままでは捨てられる!」と思ったバズ以下のオモチャたちは、近くの託児施設行きのダンボールの中に潜り込むが、そこはオモチャにとって地獄のような場所だった…。
まず微笑ましいのは、「オモチャは子どもに遊んでもらえることを何より喜びとしている」という大前提でストーリーが作られているところだ。アンディに遊んでもらえなくなったオモチャたちはすっかり消沈していて、それどころか捨てられるかも知れない、という不安感が今回のドラマを面白くしている。
さらにテーマも一貫している。それは「物と仲間を大事にする心」である。
観ればすべての人が「自分がかつて遊んだオモチャはどこに行っただろう」と考えるはずだ。
僕は大好きだったタイガーマスクのビニール人形をまず思い出した。悪役レスラーたちも、赤き死の仮面、ザ・エジプトミイラ、ミスター・NO、ミスター・カミカゼと揃っていた。
思えば彼らはいつ僕の前から姿を消したのだろう。もし彼らがウッディーやバズのように生きていたら、当時どんな話をしていたのだろう。…そんな想像力を働かせることが出来たなら、「トイ・ストーリー3」のクライマックスは号泣必至だ。自分自身の思い出せない“別れ”が胸に刺さり、まさしく心痛めるからである。
僕はこれまでマーケティングに裏打ちされた“ディズニーらしい”脚本が好きじゃなかったんだけれど、今回は不覚にもそう言えなくなるくらい泣いてしまった。しかも子どもとオモチャの力では抗いようのない“別れ”が描かれていたのも、僕には大きかった。
調べてみたら、今回チーフ・ライターを務めたのは「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー脚本賞を受賞したマイケル・アーントだった。これが初のディズニー・ピクサー作品だったとか。おお、なんだかホッとした(笑)。
最後に、CGキャラクターの表情やアクションの付け方も「3」になって格段に進歩したと思う。セルアニメの時代からディズニーが得意とした飛び跳ねるような表情は、CGになっても受け継がれているところが素晴らしい。
映画の面白さがすべて詰まった文句なしの傑作。
iTunes storeで映画のレンタルが始まった。気になるそのシステムはこうだ。
storeの映画コーナーで見たい映画を探し、「レンタル」のボタンを押すとダウンロードが始まる。ダウンロードの時間は通信環境によって異なるが、1時間43分の「トイ・ストーリー3」をWifiでダウンロードしたときは約60分。意外とかかる。
レンタル料金は200~400円。レンタル期間は30日間で、30日を過ぎるとデータは自動的に消滅する(スパイ大作戦かよ)。では30日の間なら何度でも観られるかと言うとそうではなく、(ここが最大のポイントだが)1秒でも視聴したら、その瞬間から48時間後にデータは消滅することになっている。つまり何度でも観られるのは48時間の内なら、という条件である。
30日ルールを厳密に言うと、期限切れの1秒前に観始めれば、期限を過ぎても最後まで観ることが出来る。ただし一度でもポーズボタンを押したら、それ以降は観られなくなるから要注意。
こんな新しいシステムで最初に観るのはやはり「トイ・ストーリー」が相応しい。
僕はこれをMacBookAirの11インチモニターで観たのだけれど、映像の美しさはまったく申し分なかった。そもそもCGが得意とする描写は「人為的に製造されたもの」と僕は認識している。特に合成樹脂で作られたものを再現する能力は100%に近く、だからプラスチックで作られたオモチャの描写はお手のもの。加えてオモチャたちの動きも完璧で(今回はバービー人形の足の動きが気に入った)、この“オモチャらしさ”を損なわないCGの再現力が「トイ・ストーリー」にリアリティをもたらしていると言っていいだろう。
しかし優れているのは技術力だけではない。僕は本作をシリーズ最高傑作だと思った。特に人間の五感にある“感動”という名のツボを的確に押さえた脚本は完璧だ。
1作目から10年後。アンディは17歳になり、大学進学を控えて引っ越しをしようとしていた。
かつて遊んだオモチャを捨てるか残すかを悩んだアンディは、カウボーイ人形のウッディだけ引っ越し先に連れて行き、あとは屋根裏部屋にしまうつもりだった。ところが、ちょっとした行き違いでその他のオモチャはゴミ捨て場に出されてしまう。「このままでは捨てられる!」と思ったバズ以下のオモチャたちは、近くの託児施設行きのダンボールの中に潜り込むが、そこはオモチャにとって地獄のような場所だった…。
まず微笑ましいのは、「オモチャは子どもに遊んでもらえることを何より喜びとしている」という大前提でストーリーが作られているところだ。アンディに遊んでもらえなくなったオモチャたちはすっかり消沈していて、それどころか捨てられるかも知れない、という不安感が今回のドラマを面白くしている。
さらにテーマも一貫している。それは「物と仲間を大事にする心」である。
観ればすべての人が「自分がかつて遊んだオモチャはどこに行っただろう」と考えるはずだ。
僕は大好きだったタイガーマスクのビニール人形をまず思い出した。悪役レスラーたちも、赤き死の仮面、ザ・エジプトミイラ、ミスター・NO、ミスター・カミカゼと揃っていた。
思えば彼らはいつ僕の前から姿を消したのだろう。もし彼らがウッディーやバズのように生きていたら、当時どんな話をしていたのだろう。…そんな想像力を働かせることが出来たなら、「トイ・ストーリー3」のクライマックスは号泣必至だ。自分自身の思い出せない“別れ”が胸に刺さり、まさしく心痛めるからである。
僕はこれまでマーケティングに裏打ちされた“ディズニーらしい”脚本が好きじゃなかったんだけれど、今回は不覚にもそう言えなくなるくらい泣いてしまった。しかも子どもとオモチャの力では抗いようのない“別れ”が描かれていたのも、僕には大きかった。
調べてみたら、今回チーフ・ライターを務めたのは「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー脚本賞を受賞したマイケル・アーントだった。これが初のディズニー・ピクサー作品だったとか。おお、なんだかホッとした(笑)。
最後に、CGキャラクターの表情やアクションの付け方も「3」になって格段に進歩したと思う。セルアニメの時代からディズニーが得意とした飛び跳ねるような表情は、CGになっても受け継がれているところが素晴らしい。
映画の面白さがすべて詰まった文句なしの傑作。
トイ・ストーリー3 ブルーレイ+DVDセット(ブルーレイケース) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- メディア: Blu-ray
自分のおもちゃもそうだけれど
子供たちが遊んだおもちゃを処分するときって
けっこう心が痛みました。
あのおもちゃたちにココロがあったならば
みんななんて言ってたのでしょう。。。
kenさんが泣けるような内容。
見たい様な、やめておこうか迷いますね^^
でも
この作品は1を見たときから好きだったから
こっそり見ちゃうかも(笑)
by ecco (2010-12-19 09:35)
こっそりじゃなく堂々と観てくださいよ(笑)。
子供よりも大人に向けて作ってありますよ。
僕が娘のオモチャを処分するときって来るかなあ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-12-19 14:16)
私も劇場で観たときは号泣でした。
3Dメガネが涙で曇って困りました。
本当にこれは子ども向けではなく大人向けですね。
by silvercopen (2010-12-19 14:23)
3Dらしい演出も随所に施されていましたね。
でもあまりにカラフルでちょっと目が痛くなりそうな気も…w
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-12-19 15:53)
作品も上手に年齢を重ねて
この「3」まで行き着いた・・・と言う感じですね。
号泣必至、とくに大人の方が泣けると思う。
わたしはリカちゃん人形をどうしたのか、思い出せない・・・^^;
by てくてく (2010-12-23 13:31)
ウチの実家にも妹のリカちゃんがいました。
リカちゃんハウスもありましたよw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-12-23 22:26)
こんにちは。「iTunes storeで映画のレンタル」ですか!そういう時代なんですね。どうも機械が苦手なので、どんどん時代遅れになりそうです。
でもこの映画はとてもおもしろそうですね。ぜひ見てみます。(DVDで)
それに脚本のチーフライターがマイケル・アーントなのも嬉しいです!
by coco030705 (2010-12-24 16:42)
ピクサーは完全に「ココ」っていうツボを押してくるんですよ。
上手いなあ、と思いました。ぜひご覧になってください。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-12-25 16:47)
iTunes storeの映画レンタルの仕組み、
そういうことだったんですね!
ありがとうございます!
トイ・ストーリー3、イイ映画ですよネ♪
号泣でした!!
by u_yasu (2010-12-28 02:38)
号泣させられる自分が悔しくもあり、素直なところがあると喜んでみたり。
いろいろ考えさせられますw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-12-28 23:08)