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ホテルビーナス(2004年・日本) [2011年 レビュー]

ホテルビーナス」  監督:タカハタ秀太 脚本:麻生哲朗

 公開当時、全く観る気がしなかった映画を、7年後の今、止ん事無き理由により観る。

 フジテレビの深夜番組「チョナン・カン」のスピンオフ企画である。
 だからセリフはオール韓国語。ところがメーンのロケ場所はウラジオストックで、なのに主題歌は英語と日本語で歌うLOVE PSYCHEDELICOと来ている。なんだこりゃ。何がしたいんだ。
 しかもオープニング曲の「Everubody needs somebody」は始まって15分経っても流れている。僕はいつまでプロローグなのか、あるいはいつ本編に入ったのかまったく分からずイライラしていた。そして曲の使い方もしつこかったせいで、なおさらラブサイが古臭く聴こえた。
 僕は思った。
 2011年現在、この映画の賞味期限は完全に切れている。


 流行歌は時代を映す鏡と言われる。
 裏を返せば「寿命が短い」ということである。
 「ホテルビーナス」の賞味期限がとっくに切れているのは、これがテレビから派生した流行歌ならぬ“流行映画”だからだろう。オープニングとエンディングに端役で出演したでつんく♂もそう。映画が生まれたきっかけを知らずにこれから観る客は、つんく♂が出ている意味すら理解出来ないはずだ。

 今までの日本映画にはなかった“無国籍映画”ではある。
 しかし何のために無国籍風にしたのか、その真意は図りかねる。
 例えば宍戸錠の「稼業シリーズ」など、60年代に数多く作られた日本の無国籍映画は、欧米の映画に負けまいと独自の娯楽性を追求し、いくつかの法律(と言っても主に銃刀法だけど)を無視して作り、結果として国籍不明の映画になった。それは良い意味で「観客が望むもの」でもあり、実際にヒットもした。
 本作の場合は、韓国語もウラジオストックも観客が望んだものではない。韓国語は仕方ないとして、なぜロケ地はウラジオだったのか。なぜソウルじゃダメだったのか。まさか「オシャレだから」じゃないと信じたい。

 賞味期限切れはこのタイミングで観た僕のせいもある。
 ただ根本的に、オトナが観る映画じゃなかった。
 「人は一人では生きて行けない」という普遍的なテーマではあるが、その綴られ方がとにかく昭和の少女マンガ並みにおセンチで、独り善がりで、前進速度の遅いドラマなのである。これは家族との向き合いを真剣に考え始める中学生レベルの映画だと思う。僕は挿入歌のカバー版「DESPERADO」を聴きながら(この選曲のセンスもベタで気持ち悪かったけど)、コレを中学のときに観ていたら、意外と感動したんじゃないかと思った。

 他に残念だったのは音の処理。
 曲の使い方も下手なら、キーとなるチョナンのタップを踏む音の処理も下手。タップのリズムは現場で録った音をノーマルで使うんじゃなく、きちんとスタジオで録った音を使うべきだったと思う。
 結論。すっかりオジサンの僕はまったく受け付けなかった。

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コメント 2

Sho

ああ・・そうでしたか・・
私はこれ、絶対すごくいい作品だと思い込んでたんですよね。もちろん、
まだ観ていないので、自分の感想はまだないんですけど。
チョナンカンとつながっていたとは知りませんでした。
なんかテレビで予告が流れていて、「ああ、絶対泣けてしまいそうだ」と思ってました。女の子の泣き顔の場面です。
いつか観て、自分がどう思うか確認したいです。
by Sho (2011-07-10 18:23) 

ken

映画は自分が感じるものがすべてです。
ぜひShoさん自身で確認してみてください。
by ken (2011-07-10 23:06) 

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