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三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船(2011年・フランス/アメリカ/イギリス/ドイツ) [2011年 ベスト10]

原題:THE THREE MUSKETEERS  監督:ポール・W・S・アンダーソン

 今年も待ちに待った東京国際映画祭のシーズンがやって来た。
 1本目は公式オープニング作品。依田チェアマンが会長を務めるギャガ配給作品である(他意はない)。僕は劇場に入る直前、スタッフにメガネを渡されて初めて、これが3D上映だと気付くとんまぶりを発揮したが、それはともかく。結論から言ってしまうとこの作品は「当たり」だった。娯楽作品としてまったく申し分なしである。

 正直に言うと「ハリー・ポッター」もどきの邦題はどうかと思っていた。
 日本の映画会社はハリポタ人気に便乗して、ファンタジー系の未公開映画をストレートDVDとして何本もリリースした。当然その邦題にはハリポタ風サブタイトルが与えられ、これが「B級映画の印」のように見えるようになってしまったのだ。
 例を挙げよう。
 「ソード・オブ・ザ・ファンタジー/勇者と聖なる剣」(2002年・オーストラリア/アメリカ)
 「リトル・ウィッチ/ビビと魔法のクリスタル」(2002年・ドイツ)
 「ジョゼフィンと魔法のペンダント」(2005年・デンマーク)
 「レジェンド・オブ・ドラゴンホース/古龍・麒麟と秘められし魔法」(2006年・タイ)
 「ウルフハウンド/天空の門と魔法の鍵」(2007年・ロシア)
 「トレジャー・ランド/謎の古代人と秘密の笛」(2007年・アメリカ)
 「ムーンプリンセス/秘密の館とまぼろしの白馬」(2008年・イギリス)
 「セレスティアム・キングダム/天空の城と魔法の剣」(2010年・アメリカ)
 「ミノタウロスの秘宝/シンドバッドと迷宮の獣神」(2011年・オーストラリア)
 これらはいずれも劇場未公開のストレートDVDタイトルである。まるで「ドラクエ」が大ヒットした後、雨後の筍のように生まれたクソゲーRPGを見るようだ。こんな状態だから、僕に「王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」というサブタイトルはまったく刺さらなかったのだ。


 ところが、食わず嫌いにならなくて本当に良かったと思った。それくらい面白かった。
 では何が良かったかと言うと、第1に「配役」である。
 主要登場人物は全部で11人いるのだけれど、俳優全員が見事にハマっていて“座組”として完璧だった。フツー主要キャストが11人もいると、1人や2人は「ミスキャスト」と言いたくなる配役があるものだが、本作に限ってそんな不満は皆無。個人的には「オーシャンズ11」以来のハマり具合だったと思う。
 なにより肝心のダルタニアン役、ローガン・ラーマンが方々の紙媒体で見かけた写真からは想像も出来ないほど愛らしいマスクで、かなり好感が持てた。
 三銃士もそれぞれ素晴らしい。
 アトスのマシュー・マクファデインは、ラッセル・クロウを思わせる存在感があってクール。
 アラミスのルーク・エヴァンスは、若干オーランド・ブルームとキャラが被っているけれどスマート。
 ボルトスのレイ・スティーヴンソンは007を卒業した後のショーン・コネリーを彷彿とさせる。
 そして何より僕を熱くさせたのは、アンヌ王妃の侍女コンスタンスを演じたガブリエラ・ワイルド。この娘が登場した瞬間、僕の身体に電気が走った。そして純粋に「この映画、観て良かった!」と思ってしまった。それくらい「久しぶりに出会った美女」だったのだ。
 「映画は美女を眺めるものである」
 これは僕の映画哲学だが、本作はその典型と言っていい。

 第2は「テーマが純粋だった」ことにある。
 三銃士の舞台は17世紀。若き王、ルイ13世の命を受け宰相となったリシュリュー枢機卿(クリストフ・ヴァルツ)の陰謀を重要なプロットとしているものの、大テーマとして掲げているのは「愛に活きる」である。
 時にこの手の作品はプロセスにこだわる余り、「そもそも何のためにこんな大変な思いをしてたんだっけ?」と思い返すことがある。そんなときに動機が入り組んでいたりすると突然冷めたりするものだが、動機そのものが「愛に活きる」だとブレようがないし、忘れようもない。だから良いのだ。


 第3は「アンダーソン監督の手堅い演出」だろう。
 愛妻ミラ・ジョヴォヴィッチが立ち過ぎてる感はあったが、それでもアクション映画のツボはちゃんと心得ていて、見せ場の置きどころと時間の割き方が絶妙だった。111分という上映時間も良心的で、観客は中だるみすることなくエンドロールまで導かれるだろう。 
 それにしても役者が揃うと芝居は本当に面白い。
 これは良い意味でのスターシステム映画。デート映画のチョイスとしては完璧。
 続編もあるでよ。

_1_image_size_330_440_dn.jpg スクリーンで観るともっとカワイイよ♬

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コメント 4

Sho

今回のレビューも楽しませていただきました。
TVで予告を見る限り、全然面白そうじゃなかったんですが、印象変わりました。
この女の子ですか。宮崎あおいに似てる感じがしました。
by Sho (2011-10-29 21:11) 

ken

アクションを重視したPRスポットになっているので、
この作品の面白さは充分伝わっていない気がします。
冒険アドベンチャー映画としては、ここ数年でトップクラスの出来だと思います。
by ken (2011-10-30 22:32) 

きさ

なかなか楽しく見ました。
ただ、結構創作が多いので三銃士原理主義の人には勧められないかも。
冒頭の本筋に関係のないヴェネチアでダ・ヴィンチの飛行船の設計図を
奪うくだりが良かったです。
三銃士+ミレディでインディ・ジョーンズみたいな仕掛けを突破していくって
のいうのが。
本筋に入ってからは意外と原作に忠実で、おおっと、思いますが、色々あっ
てクライマックスの飛行船どうしの対決は海賊もの冒険活劇の乗りでこれまた楽しい。
これでアンダーソン監督の演出にもうちょっとキレがあればなあ。

演出の弱さを役者さんがカバーした感じで、ローガン・ラーマンの新鮮なダルタニアンを始め三銃士もいいし、クリストフ・ヴァルツのリシュリュー、マッツ・ミケルセンのロシュフォールと悪役も魅力的。
ミケルセンがいいので最後のダルタニアンとのちゃんばらが盛り上がります。
でもやはりミラ・ジョヴォヴィッチのミレディが目立ってますね。
嫁褒め映画ですね。
おっしゃる通りガブリエラ・ワイルドのコンスタンス、可愛かったです。

by きさ (2011-11-10 05:37) 

ken

コンスタンス観たさにDVD買う気がします。
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-11-20 11:49) 

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