成龍拳(1977年・香港) [2011年 レビュー]
原題:剣・花・煙雨江南/TO KILL WITH INTRIGUE
製作・監督:ロー・ウェイ 脚本:クー・ルン
ジャッキーがコミカル路線に走る直前の至ってマジメな復讐劇。
製作は1977年だが日本で公開されたのは1984年。「プロジェクトA」公開の3ヶ月後で、原題からほど遠い邦題の「成龍」は言わずと知れたジャッキーの中国名。タイトルからしてジャッキー人気にあやかろうとする映画会社の商魂が見え見えである。それでもダマされたつもりで観に行ったジャッキー・ファンは本当にダマされてビックリしただろう。
中国・江南の山岳地帯。ある夜、総督の還暦祝いが開かれていた。
その頃、総督の息子であるシャオレイ(ジャッキー・チェン)は妊娠していた恋人に冷酷な別れを告げ、さらには父のために集まった大勢の客に無礼にも「夜も更けた」と帰宅を迫る。しかしそれには理由があった。実は15年前、総督が成敗した盗賊団「人面桃蜂党」の生き残りが今夜、復讐にやって来ようとしていたのだ…。
と、ここまでのストーリーラインはまともだが、この一歩先からおかしなことになる。
復讐に現れた人面桃蜂党の首領は初代首領の娘で、その娘が敵役の息子であるシャオレイに一目惚れしてしまうのだ。一方シャオレイは両親を殺され、自身も大きな痛手を負い、生きる気力を失い、冷たく突き放した恋人チェンチェンを求めてさすらう展開となる。
「はあ?」である。
桃蜂党の首領は、そんなシャオレイをストーカーのように追い続け、自分に何の興味を示さないシャオレイに「そろそろ私の名前も聞いてよ!」と逆ギレする。
マジで「はあ?」である。
僕は途中、ストーリーの流れが理解出来なくなって「もしかして途中寝ちゃったか?」とリモコンを手に巻き戻しをしたほどだ。それほどヒドい。
当時ロー・ウェイはジャッキーを第二のブルース・リーにしようと意気込んでいた時代である。なのにフィルムの逆回転を多用したアクションや、早回ししてスピード感をアップさせる技法はあまりに小手先過ぎてガッカリ。
一方ジャッキーはブルース・リーのコピーでは成功はないと思い始めていた時代である。本作はやがて仲違いする2人の晩年の仕事ということ以外に観る価値はない気がする。完全にマニアックなファン向け。
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