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蛇鶴八拳(1977年・香港) [2011年 レビュー]

原題:蛇鶴八歩/SNAK&CRANE ARTS OF SHAOLIN
監督:チェン・チーホワ

 ジャッキーの出世作「酔拳」以前(いわゆるロー・ウェイプロダクション時代)の作品の中では比較的おもしろいと認知していた1本。それを今回28年ぶりに観てみたのだけれど、確かに他と比べるとまずまずの出来映え。その一番の要因は「監督がロー・ウェイじゃない」ということかも知れない。

 少林寺八大流派の師範が集まり、最強の拳「蛇鶴八歩」が編み出された。ところが師範たちは何者かによって毒殺されてしまう。しかも「蛇鶴八歩」の奥義をまとめた秘伝書も持ち去られてしまった。
 多くの流派が「蛇鶴八歩」を我がものにしようと捜索をしていたとき、秘伝書を持った若者がとある酒場に現れた。彼の名はシー・インフォン(ジャッキー・チェン)。めっぽう強いその若者は肩にアザのある男を捜していると言う…。

 本作の監督をロー・ウェイがやらなかったのは、スケジュールの問題じゃないかと思う。
 「蛇鶴八拳」が香港で公開されたのは1978年3月8日。この1本前のジャッキー作品「成龍拳」は1977年7月22日に公開されている。この2作を見比べると面白い発見があって、実はロケ場所を何カ所もシェアしているのだ。もちろん正しくは「『蛇鶴八拳』が『成龍拳』のロケ場所を使い回した」ということなのだが、こんなことは僕自身、永らく映画を観て来て初めての発見だった。
 なぜこんなことが起きたのかと言うと、
 1)ロー・ウェイは人の手を借りてでも多くのジャッキー映画を作りたかった。
 2)しかし自分が監督をするわけじゃないので、予算にはシビアだった。
 3)となると制作スケジュールをコンパクトにせざるを得ない。
 4)撮影にかかる日数は大幅に削れないので、準備期間を削るしかない。
 5)そこでロケハン日数を大幅に削減。前作のロケ現場を流用することにした。

 これが僕の推理だ。当たってようと外れてようとどうでもいいが(笑)、最低でも3カ所は「成龍拳」のロケ場所が使い回されているのは事実。ロー・ウェイのジャッキーに対する入れ込み方が伝わってくるようだ。

 「成龍拳」に比べるとフィルムを逆回転にしたり、スピードを上げたりと言った姑息な演出が減り、ジャッキーの純粋なポテンシャルが楽しめる。特にオープニングのタイトルバックで見せる「槍使い」との組み手は、素晴らしい身のこなし。本編のアクションよりも一見の価値ありである。
 ブルース・リーからカンフー映画にのめり込んだファンには、ノラ・ミャオとの競演も見どころ。しかもまずまずのアクションを見せるから驚きだ。

 ジャッキー自身、コミカルカンフー路線には目があると確信した1本だろう。ファンに撮ってはジャッキー映画を語る上でゼッタイに見逃せない1本。

蛇鶴八拳 デジタル・リマスター版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD

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