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レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳(1976年・香港) [2012年 レビュー]

原題:新精武門/NEW FIST OF FURY
監督・脚本:ロー・ウェイ 脚本:バン・レイ

 日本では劇場公開されていないので、本作を観ている人は相当少ないと思いますが、ジャッキー・チェンの生涯を語る上で絶対外せない1本です。

 まずはこれがジャッキー・チェン22歳のときの再デビュー作であること。
 ジャッキーは「ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門」(1974)の出演を最後に香港映画界を離れ、両親のいるオーストラリアで暮らしていたのですが、それをロー・ウェイが呼び戻したというのは知る人ぞ知る有名なエピソード。
 ロー・ウェイはブルース・リーの「ドラゴン危機一髪」や「ドラゴン怒りの鉄拳」を監督し、一時ちやほやされるんですが、映画の内容を巡ってブルース・リーとケンカし、しまいにゃゴールデンハーベスト社のレイモンド・チョウともケンカをし、やむなく自らのプロダクションを立ち上げて、新しいカンフースターを探していたんですね。そしたら「少林門」を観たロー・ウェイの嫁さんが「あの子いいんじゃない?」とジャッキーを推薦したのだそうです(大筋はWiki情報。一部脚色あり)。

 もう一点。本作が「ドラゴン怒りの鉄拳」(1971)の正当なる続編であるということ。
 ロー・ウェイはジャッキーをブルース・リーの後継者として育てたかったんでしょう。権利関係がどうなっているのかさっぱり分かりませんが、「ドラゴン怒りの鉄拳」の監督という立場を利用して、“続編”という伝家の宝刀を抜いたわけです。続編だから当然ノラ・ミャオも出て来ます。そしてノラ・ミャオにすごいセリフを吐かせます。
 カンフーには興味がないと言い続けたロン(ジャッキー・チェン)が、横暴な日本人武術家の振る舞いに怒りを爆発させ、精武館のレイ(ノラ・ミャオ)に弟子入りを志願したシーン。レイは兄弟子チェン(ブルース・リー)を思い出したと前置きし、
 「彼の勇敢な振る舞いは兄弟子そのものよ。兄弟子、どうか安心して。あなたの精神はロンが受け継ぐわ。精武館は不滅よ」
 と続けたのです。
 言い換えばこれはノラ・ミャオに「ブルース・リーの後継者はジャッキー・チェン」と言わせたも同然。ロー・ウェイの野望はここで高らかに宣言されたわけです。

 まあロー・ウェイの志はいいんですけど、彼の脚本もハチャメチャなんですよね。
 なんたって「バッド・エンディング」なんです。精武館の面々はジャッキーも含め全員、日本軍に射殺されて終わり。

 ロー・ウェイ、おまえ国賊やったんかー!
 思わずそう叫びそうになりました(笑)。アタマおかしいとしか言いようがありません。

 ジャッキーの再デビュー作ですから目のプチ整形前。相当しょっぱい顔してます。 
 ジャッキーに整形を勧めたのがロー・ウェイだったら、彼の仕事の中で唯一褒められることかも。
 やっぱりこれもコアファン向け。
 それにしてもなんで邦題が「レッド・ドラゴン」なんだか。オマエはレクター博士か。

レッド・ドラゴン 新・怒りの鉄拳 デジタル・リマスター版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD

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