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赤いハンカチ(1964年・日本) [2012年 レビュー]

監督:舛田利雄
脚本:小川英、山崎巌、舛田利雄

 昭和30年代から40年代にかけて数々のヒット作を生み出した日活は日本最古の映画会社で(知らなかった)、今年創立100周年なのだそうだ。それを記念して日活を代表する作品群が世界各地で巡回上映されているのだとか。wowowでも「石原裕次郎30作品一挙放送」という企画を展開していて、僕も久しぶりに何本か観てみることに。

 僕がこれまでに観た裕次郎映画は「太陽の季節」(1956)、「狂った果実」(1956)、「嵐を呼ぶ男」(1957)、「俺は待ってるぜ」(1957)の4本。5年前にNHKBSで日活映画の特集をやったとき、一応デビューから時系列で観ていたのだ。
 この4本を観た感想は「究極のアイドル映画」であること。そして「当時のロケーションに見応えがある」ことだった。ではデビューから8年後の「赤いハンカチ」はどうかと思って観てみたら、これもまた完全なるアイドル映画だった。

 横浜の麻薬ルートを追いかけていた2人の刑事、三上(石原裕次郎)と石塚(二谷英明)。ある日、参考人として取り調べをしていた屋台の親父、平岡が石塚の銃を奪って逃走しようとしたため、三上は平岡を射殺してしまう。過失とは言え、世間の風当たりは強く、やがて2人とも警察を辞めてしまう。それから4年後、北海道のダム工事現場で働く三上のところへ、神奈川県警の土屋警部補(金子信雄)が現れる。土屋は石塚が今は実業家として成功していることと、4年前の事件が関連しているのではないかと持ちかける…。

 裕次郎30歳のときの作品であり、麻薬取引を追いかける刑事という設定でもある故、「さすがにアイドル映画とは言い難かろう」と高をくくってみていたら、刑事を辞職した三上は常にギターを持ち歩き、何かと1曲披露する人になっていて、「これをアイドル映画と呼ばずして何と呼ぶ」と言いたくなるほど、奇妙な見せ場のある映画だった。
 しかし、事件の設定そのものはハードボイルド風(あくまでも「風」である)で悪くない。「三上の射撃の腕前はオリンピック級」という、これまたアイドル映画ならではの“ムチャな設定”は頂けないが、叩き上げの刑事が麻薬取引に手を染めるという展開は嫌いじゃない。それを二谷英明がそつなく演じていたと思う。
 ヒロインは当時24歳だった浅丘ルリ子。とんでもなく可愛く、とんでもなく美人である(裕次郎とともに歯並びだけはイマイチだけど)。脇役として登場する桂小金治もなかなかいい。

 フッテージとしての見どころもいくつかある。
 中でも一番は、港の見える丘公園とホテルニューグランド。周辺は今では考えられないくらい殺風景で、一体何があって何が無いのか、スローモーションにして確認したいくらいだった。

 日活の屋台骨を支えたスター映画の典型。
 ただ「赤いハンカチ」はどこにも出て来なかった(笑)。

赤いハンカチ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 日活
  • メディア: DVD

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コメント 2

きさ

この映画の浅丘ルリ子はいいですね。

by きさ (2012-10-21 09:36) 

ken

確かに良かったです。
by ken (2015-08-04 02:31) 

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