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マリーゴールド・ホテルで会いましょう(2011年・イギリス/アメリカ/アラブ首長国連邦) [2012年 レビュー]

原題:THE BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL
監督:ジョン・マッデン
脚本:オル・パーカー

 東京国際映画祭が始まった。今年で25回目。
 毎年TIFFが始まるとを感じ、終わる頃に冬の到来を感じるイベント。今年は都合がつかず何本も観られないけれど、雰囲気を愉しみに何度か足を運ぶ予定でいる。

 本作の監督は「恋にちたシェイクスピア」のジョン・マッデン。主演は同作でアカデミー賞を受賞したジュディ・ディン。さらにジュディを含めたイギリス人男女7人の物語と聞いて観ることにした。

 「インドなら物価が安く、豪華なホテルで余生を送れる」とそそのかされ、7人の年金生活者たちがイギリスからインドへ渡る。しかしそれは甘い幻想に過ぎなかった。7人は衝撃的な異文化の洗礼を受け、明日をも知れぬ生活に突入していく…。

 人は誰しも歳を重ねると固定概念の塊になる。そんな世代の環境適応能力を楽しむ映画
 ジュディ・ディンチ、トム・ウィルキンソン、ビル・ナイ、マギー・スミスといったロートル俳優キャスティングが豪華で、それぞれの競演には見応えがあり、またスラムドッグ$ミリオネのデヴ・パテルがホテルのオーナー役に配され、いいアクセントになっている。

 イギリスでまったくつながりの無かった7人が、同じ飛行機に乗り、デリーに到着し、いきなりトラブルに遭うという展開ロードムービー好きとしてはワクワクするシチュエーションだ。ホテルに着いたら着いたで、見せられたパンフレットとは似ても似つかぬボロホテルだった、という展開も面白い。けれど僕は若干リアリティに欠けた映画だなと思って途中から観ていた。
 一番はお金に関するやりとりが端折られていたことだ。

 受給年金額に対して、インドでの滞在費はいくらなのか。そういったディテールの説明がなければ、この映画のお客さんは納得しないんじゃないかと思う。この映画のお客さんとは言うまでもなく年金生活者とその予備軍である。
 この手のシルバー世代を描いた作品は、これからの日本で欠かせない商品になるだろう。劇場サイドからするとシルバー世代は昼間の空席を埋めてくれる上客である。そんな人たちを満足させる作品は、きっと何本あっても困らないだろう。

 しか固定概念の塊が相手だけに、筋が通っていないとそっぽを向かれる可能性は高い。特に「年金の有効利用」という題材シビアなだけあって、中途半端な扱いは許されないだろう。少なくとも僕個人は「収支はどうなってるわけ?」いう疑問がアタマから離れずに困った。

 「人生を豊かにするのは金でも環境でもなく自分の考え方ひとつ」

 本作のテーマはこれだ。
 だから素晴らしく優等生な映画である。充分すぎるキャリアを積んだ俳優陣も「こんな役をやりたかった」とすんなり契約書にサイン出来た脚本だっただろう。でも、だからこそ僕は不満が残った。確かに「いいハナシ」ではあるがキレイにまとまり過ぎているのが不満。ジョン・マッデンってナルシストだったか?
 「恋愛適齢期」のようなぶっ飛んだ展開があれば、もっと笑えてもっと泣けたはずなのに。ちょっと残念。
 


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coco030705

こんばんは。
私自身にも少し先に起こりそうな出来事です。(汗)
俳優陣が豪華なので観に行こうかなと思います。
by coco030705 (2012-10-27 21:05) 

ken

僕たちの世代が年金世代になったとき、お金がもらえるかどうか不安で
ドキドキしながら観てましたw
俳優陣の演技はハッキリ言って見物です。ぜひ楽しんで来て下さい!
あ、公開は来年です♪
nice!ありがとうございます。
by ken (2012-10-31 21:15) 

rosemary

面白そうですね。
さらに、
「タイなら物価が安く、豪華なホテルで余生を送れる」とそそのかされ、7人の年金生活者たちが日本からタイへ渡る。しかしそれは甘い幻想に過ぎなかった。
なんていうリメイクがちょっと観てみたいかも。
by rosemary (2012-11-03 19:57) 

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