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最高の人生の見つけ方(2007年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:THE BUCKET LIST
監督:ロブ・ライナー
脚本:ジャスティン・ザッカム

 ドキュメンタリー映画「エンディングノート」がヒットして、日本でも注目を集めるようになった、いわゆる「最後の覚書」。アメリカでは首吊りをする人が足下のバケツを蹴るところから「バケットリスト」と呼ばれているそうです。
 本作は「スタンド・バイ・ミー」や「恋人たちの予感」など構えの小さな作品を得意とするロブ・ライナーが60歳のときに手がけた作品。

 実直な自動車修理工カーター(モーガン・フリーマン)と、豪放な実業家エドワード(ジャック・ニコルソン)は共にガンで余命半年と診断され、入院先の病院で偶然同室となる。手の施しようも無い状態の2人は、「バケットリスト」を書き出し、それを実現する旅に出る。

 公開時のキャッチコピーが「余命6ヶ月、一生分笑う」だったので、本編のラストには当然2人の死があるはずと想像した僕は、どうしても積極的に観ようとは思えませんでした。理由は(多くの人がそうだと思いますが)、行き先が分かっている物語にあまり興味を持てないからです。
 ところが、ロブ・ライナーは僕より1枚上手でした。本作はドラマのエンディングからスタートし、しかもカーターがストーリーテラーを務める構造だったのです。つまりエドワードは死に、カーターはまだ生きているかのようミスリードが効いていましたこの演出のおかげで、僕はすんなり入り込めた気がします

 ちょっと突飛で意外だったのはエドワードがとんでもない金持ちという設定だったこと。

 カーターは彼の小型ジェットに乗ってあちこち旅するわけですから、ちょっと非現実だなあと。中でもピラミッドの頂上で2人が話し込むシーンでは、いくらなんでもそりゃないだろう、と思ってしまい(だって今は登れないし、登れたとしても年寄り2人頂上まで行けるはずもない)若干気持ちも萎え気味に。
 ただしバケットリストの大事なところは、「やり残したことをやり遂げること」であって、「やりたいことをやる」のではないと後半で教えられこの着地点には納得しました。
 
「世界一の美女にキスをする」というエドワードの願いがまさにそれで、これが「やり残したことをやり遂げた結果」だったとき、観客の心は一気に温かくなります。これ以上の美女もいないだろうという納得感も含めて、とてもいいエピソードだったと思います。

 この作品が教えてくれるのは、「人間、意固地になってはつまらない」ということ。自分も相手も「赦す」ことで、人は幸せになれる気がしました。
 でも一番驚いたのは、これがたった97分の映画だったことかも(笑)。

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Sho

たとえば「終の信託」もそうかと思いますが、「人生をどう終えるか」「人生の最期をどうするか」というテーマが、少しずつ増えて来ているように思います。
この顔ぶれはものすごく豪華ですよね!!
でもタイトルがよくわからない(笑)
私は最初、おじいさん二人が「最高の人生」を見つけてそれを楽しむ映画かと思ってしまいました(笑)
レビューを読ませていただき、いろいろ心惹かれる部分があり、見てみたいと思いました。
by Sho (2012-11-24 13:17) 

ken

ちょっともったいないタイトルでしたね。
原題が訳しにくいというのも問題だったのでしょう。
nice!ありがとうございます。
by ken (2012-11-26 13:39) 

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