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ニッポン無責任時代(1962年・日本) [2012年 レビュー]

監督:古沢憲吾
脚本:田波靖男、松木ひろし

 野田総理の電撃的な衆院解散宣言から政界が揺れている。
 そんな中で一番呆れるのは、議員バッチ欲しさに勝ち馬に乗ろうとする、あるいは沈む船から逃げようとするネズミ以下の連中だ。特に民主党を離党し日本維新の会に合流した奴らは、信念の欠片も無い「政治家」ならぬ「政治屋」である
 どうしてこんなに無責任な連中が国会ノサバっているのかと思ったら、ふとこんな作品が観たくなった。11月10日にクレイジーキャッツのメンバーだった桜井センリさんがお亡くなりになったニュースを耳にしたせいもあっただろう。

 植木等が歌う「無責任一代男」と「ハイ、それまで」がこの作品の劇中歌であることは知っていた。しかし映画そのものは未見で、2つの歌からしてどれほど豪快な内容かと思っていたが、観るとこれがセコい詐欺師のようなハナシで、永年抱いていた想像とは大きくかけ離れた作品だった。

 とある会社をクビになったばかりの平均(たいらひとし/植木等)は、バーで「太平洋酒が乗っ取られそうだ」というハナシを耳にする。それを聞いた均は太平洋酒の社長に近づき情報を提供。均は社長が懇意にしていた政治家の名前まで持ち出して、太平洋酒の社員として会社に潜り込むことに成功する…。

 植木等演じる平は平均的なサラリーマンでもなんでもなく、青島幸男さんが書いた歌詞「こつこつやる奴ァごくろうさん」と高らかに笑い飛ばす尋常ならぬ男である。その植木等を観に行った観客こそ“こつこつやる奴ら”であって、それでもこの作品が(主題歌も)ヒットしたのは、よほど当時のサラリーマンに閉塞感や疲弊感があったのだろう。終身雇用制の功罪かも知れない。社内のヒエラルキーに抗えない彼らは、日頃のうっぷんを植木等に託したとも言えるのだろう。終身雇用制どころか年金制度まで崩壊した(と断言する)今になってこの作品を観ると、当時の日本が社会主義国のように見えるからおもしろい。

 純粋に映画としてのハナシ。
 昭和歌謡ムービーである。植木等やクレイジーキャッツのパフォーマンスが文句なく愉しい。特に植木さんの表情見ていると「笑顔のあるところに幸せがやって来る」という先人の言葉を思い出す。
 勝手に抱いて来たイメージと内容がかけ離れ過ぎて面食らったのも事実だが、サラリーマンでありながら破天荒なところが面白いのだと、観終えてしばらくしてから気が付いた。が、主人公は決して「型破り」なのではなく、ただの「形無し」じゃないかと思っているところに、僕の引っかかりはあるのだけれど。

 それにしても衆院選後の日本が、本当にニッポン無責任時代にならないことを祈る。
 政治家だけではなく国民も。

ニッポン無責任時代 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD

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