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エベレスト3D(2015年・アメリカ) [2015年 レビュー]

原題:EVEREST
監督:バルタザール・コルマウクル
脚本:ウィリアム・ニコルソン、サイモン・ボーフォイ

 この作品を3Dに仕立てて、タイトルに3Dと打ったのは戦略として勝ちだ。
 このタイトルだけで、たとえ内容がどうであろうと「観てみたい」と思わせるチカラがある。もちろん僕もただそれだけで劇場へ行った。

 フタを開けてみたら「事実に基づくストーリー」だった。
 観終わってみると、何の予備知識も持たずに行ったのが良かったのか、それとも悪かったのかは正直悩ましい。予備知識を持たないからこそ展開にはハラハラしたし、予備知識を持たないからこそ今ひとつ理解し切れないところがあったからだ。ただし今日で一旦腹を決めることにする。
 「予備知識は入れた方がいい」
 その方が2度観なくて済む(笑)。本作のベースとなったのは、1996年に起きたエベレスト登山史上最悪の遭難事故である。

 個人的な話になるけれど、僕は2014年に「ジョージ・マロリー」の伝記番組を作ったので、エベレスト登山がいかに過酷な仕事であるか多少の知識は持っていた。ただそれはあくまでも登頂経験者の話や著作物からといった間接的に仕入れた情報でしかなくて、リアルな体感によって得た知識ではない。しかし本作は「エベレストの恐ろしさ」を限りなくリアルに近い肌感覚で教えてくれる。どこまでリアルなロケで、どこからがそうじゃないのかなんて分からなくなるくらい僕は息が詰まりそうだった。3Dの効果も良かったと思う(3Dメガネをかけることによって、輝度が落ちる以外は)。
 予備知識を入れておいた方が良かったと思った点は、登頂を目指す主要登場人物たちの“背景”である。
 「なぜ彼らは命を賭けてまで世界最高峰を目指すのか」。
 ここを理解できないと、単なる無謀な人たちの愚かな挑戦にしか見えないからだ。本編ではこの動機がほぼ全員について語り尽くせていない。否フィクションなら「語り尽くせていない」と作り手のせいに出来るのだけれど、ノンフィクションであるからには観る側の問題もある。だから「予備知識は入れた方がいい」という結論に至った次第である。

 この作品は、エベレストの怖さの“見本市”でもある。
 エベレスト登山の際に肝を冷やす、いろんなケースが描かれている。高所恐怖症の僕にしてみれば「そんなところへ行くなんて頭がおかしい」と切り捨てたくなるほどだ。だからこそやっぱり最後は「なぜ、あなたはエベレストに登るのか?」と考えてしまう。
 しかし、空調の効いた快適な劇場でリアルなエベレストを体験した僕は、頭と身体が完全に乖離し、ますます何の答えも出せないまま今もぼんやりとしているのである。こんな体験も悪くない。


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