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見逃していたら絶対オススメの20本~2005年版~ [2005年 ベスト20]

 2005年は過去最高の246タイトルを観ることが出来ました。
 いや~よくもまあ沢山観たもんだなあと我ながら感心します、ホントに(仕事しろよ)。
 と言いつつ、今年はまだあと数日残っているわけですが、実は我が家は先週末から
 「ひとりスター・ウォーズ祭り」
 に突入しておりまして、「エピソードⅠ」「Ⅱ」「クローン大戦VOL.1」「VOL.2」とこれまで観て、
 明日以降「Ⅲ」「Ⅳ」「Ⅴ」「Ⅵ」と観る予定なので、本数としては246で確定したと言うワケです。

 そんな沢山の映画の中から今年もベスト20を選出しました。
 まあこれだけ沢山の映画を観ていると「オ
ススメ映画も沢山あるでしょう?」と聞かれますが、
 実際には観れば観るだけハードルも上がっちゃうのでオススメって意外と少ないんです。
 ちなみに、246本の中から1次予選を通過したのは(どんな大会なんだ)わずか25本。
 「だったらベスト25でいいじゃないか」と突っ込まれそうですが、そこはそれ。
 自分で決めたルールだし(笑)。
 ちなみに製作国別リストはこんなバランスになりました。

 アメリカ 97本
 日本 62本
 韓国 24本
 香港 10本
 フランス 9本
 イギリス 5本
 中国 4本
 スペイン 2本
 アイルランド、イタリア、イラク、ギリシャ、タイ、デンマーク、ドイツ、各1本
 その他合作 26本

 並べて驚いたのは日本映画の数字。まさか邦画を62本も観ることになるなんて!
 というわけで、いよいよこの中から選んだベスト20の発表です!
 ちなみに紹介順イコールランキングではありません。
 順位なんて付けられないので、僕が今年観た順番に並んでいます。

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オペラ座の怪人 [2005年 ベスト20]

オペラ座の怪人」(2004年・アメリカ/イギリス) 監督:ジョエル・シューマカー

 
「オペラ座の怪人」がホラーサスペンス映画だったことを知る人は近い将来いなくなるだろう。
 1986年。薄気味悪かった古典映画は、イギリスが生んだ天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの手によって豪華絢爛なミュージカルに生まれ変わり、そして2004年には「ミュージカル映画」としても歴史に名を残すことになったのだ。
 幸運にも【劇団四季版】と【映画版】の両方を観た僕は、まさに歴史が塗り替えられた瞬間に立ち会ったことになる。
 …と、こう書くと未見の人には僕の言葉がいささかオーバーに聞こえるかも知れない。でも僕は一時の勢いで言っているわけではない。これでも言葉は慎重に選んだつもりだ。

 「ミュージカル『オペラ座の怪人』はその過去を無き者にするほどの目も眩むような傑作である」

 製作・脚本・作曲、アンドリュー・ロイド=ウェバー。
 23歳にして「ジーザス・クライスト=スーパースター」を書いた現代のモーツァルト。「オペラ座の怪人」の主役は彼の書いた楽曲だ。
 「OVERTURE」からエンディングの「LEARN TO BE LONELY」まで、初めて聴く者を一瞬で虜にする魅惑のスコア。
美しい映像を従え時に清流のように時にマグマのように流れ行く劇的なメロディ。これを傑作と呼ばずして何と呼ぶ。当たり前の話だが「捨て曲」なんてひとつもないのだ。
 少し具体的な話をしよう。
 物語はバレエダンサーのクリスティーヌ(エミー・ロッサム)がプリマドンナ(ミニー・ドライヴァー)の代役務めるところから大きく展開し始める。ここで歌われる「THINK OF ME」がまず美しい。メロディも、リハーサルから本番へと移行するさまをワンカットで見せるシーンも、そしてエミー・ロッサム自身も。
 無事大役を果たしたクリスティーヌがファントムに導かれるシーン。ここではクリスティーヌとメグ(ジェニファー・エリソン)による小鳥のさえずりのようなデュエットが愛らしい。「ANGEL OF MUSIC」と歌うクリスティーヌの「誤解」が心にチクリと痛い。
 「THE PHANTOM OF THE OPERA」と「THE MUSIC OF THE NIGHT」はファントムの2面性を歌い上げた表裏一体の曲。ここではジェラルド・バトラーの歌唱を存分に堪能しよう。
 ファントム、クリスティーヌ、ラウルに対する“裏主役”とも言うべき3人、プリマドンナのカルロッタ、劇場支配人のフィルマン(シアラン・ハインズ)とアンドレ(サイモン・キャロウ)による「PRIMA DONNA」も聴き応え充分。本作中では唯一コミカルな演出を含んでいて楽しく観ることが出来る。
 「ALL I ASK OF YOU」はクリスティーヌとラウルが婚約するに至る美しい愛の歌だ。しかしファントムの気持ちを思えば心の痛む曲でもある。2人のデュエットに続いて、ファントムが一人で歌うパートはあまりにせつない。
 舞台で映える最大の見せ場は仮面舞踏会のシーンだ。再び“裏主役”の3人が導入部を引っ張る「MASQUERADE」は最もミュージカルらしい名場面。ここを中盤の山場にして物語は急展開して行く。
 「WISHING YOU WERE SOMEHOW HERE AGAIN」はクリスティーヌのソロ。雪の中、迷える心を携えて亡き父の墓前にたたずむクリスティーヌは美しいが、パフォーマンスとしては若干「出力不足」じゃないかと思う。
 個人的には「オペラ座の怪人」で最高の楽曲だと思うのが
「THE POINT OF NO RETURN」。ファントムとクリスティーナのデュエットが、ラウルだけでなく観客の心までも惑わせる。ありえないことだけど、「もしかしたら今日は違う結末になるんじゃないか?」と。
 そしてドラマは「DOWN ONCE MORE」でフィナーレへ。ジェラルド・バトラー渾身のパフォーマンスに心置きなく涙しよう。

 繰り返すけれど、ミュージカル「オペラ座の怪人」は歴史に名を残す傑作である。
 しかし、2004年のアカデミー賞。数ある部門の中でこの作品がノミネートされたのは歌曲賞、撮影賞、美術賞の3タイトルのみだった。
 主要部門にノミネートが無かった理由は知らないけれど、図らずも【映画版】のプロジェクトがスタートしたとき、監督のジョエル・シューマカーはこう語っていた。


 「『オペラ座の怪人』を観たくても劇場に行けない人が世界中に何百万人もいる。アンドリューの音楽を愛するその人々に映画版をプレゼントできると思った」

 映画「オペラ座の怪人」はそういう使命を帯びた作品なのだ。
 それはクリスティーヌを想うファントムの「自己犠牲」の精神と同類なのかもしれない。

オペラ座の怪人 通常版

オペラ座の怪人 通常版

  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2005/08/26
  • メディア: DVD

オペラ座の怪人

オペラ座の怪人

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • 発売日: 2005/07/27
  • メディア: DVD

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ミリオンダラー・ベイビー [2005年 ベスト20]

ミリオンダラー・ベイビー」(2004年・アメリカ) 監督:クリント・イーストウッド 脚本:ポール・ハギス

 映画を観終えて一番感心したのはパブリシティにおける「情報制限」の巧みさだった。
 その最たる例は予告編だが、改めて観てもその巧さが光っている。公開まもなく本編を観た客たちは一様に驚いたことだろう。
 
まさかそんな展開になるなんて…」
 
 断言しておく。
 僕はアカデミー作品賞を獲った「許されざる者」(1992)も「ミスティック・リバー」(2003)も大嫌いだ。その理由はただひとつ。「救いが無い」からである。
 そんな個人的な事情で、イーストウッドの新作がアカデミー4冠(作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞)を獲ろうとも別段観ようとは思わなかった。そもそも「許されざる者」も4冠(作品・監督・助演男優・編集)だったのだ。ことイーストウッド作品に関してはアカデミー賞をいくつ獲ろうと僕には何の意味もない。

 しかし。
 「ミリオンダラー・ベイビー」は面白かった。
 …いくつか整理してみよう。
 
 ボクシング映画に必要不可欠なもの。それは「敗戦」だ。主役が負けないボクシング映画は無いと断言してもいい(あったら教えて)。ところがこの作品は「もしや主役が負けない映画なのか?」と思わせる展開をする。「もしも負けない映画だったらすごいことだ」と僕は思った。その矢先に事故が起きる。ここからがいわゆる「情報公開制限」の引かれた箇所に当たるわけだが、
ここから先はボクシング映画ではない。実に単純な愛の物語である。そう言いながら過去を振り返ってみれば、ボクシングを題材にした映画はすべてが「愛の物語」であったような気もするが。
 いずれにしてもこの先の師弟関係を超えた展開は「遠くの親戚より近くの他人」という言葉を思い出させる。そう、人は独りでは生きていけないのだ。
 
 悔いの残る点も少なくない。
 老トレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)が、31歳のボクサー、マギー(ヒラリー・スワンク)に心を開いていく過程は描写が甘すぎる。「それくらい言わなくても分かれよ」と言うイーストウッドの声が聞こえてきそうだが言葉が足りないのは事実。観客に行間を読ませる作業はこのあとにとっておくべきなので、ここは映像的にも雄弁になるべきだった。その逆でこの2人が初対面するシーンはフランキーが無意味に雄弁過ぎたと思う。このシーンは脚本家の驕りだった。フランキーはそれ以降ウィットに富んだセリフを一言だって発していないのだから。
 

 最も感動的なのはフランキーがマギーのガウンに刺繍したゲール語、「モ・クシュラ」の意味を教えるシーンだ。
 「試合に勝てば教えてやる」というセリフの伏線も効いていて、マギーにとっての人生は「勝ち」だったのか「負け」だったのかを観客にジャッジさせる絶妙なシーンに仕上がっている。また言葉の意味を聞かされたときのヒラリー・スワンクが最高の演技をするのだ。僕はこのワンシーンの演技だけでアカデミー主演女優賞に相応しいと心から思った。

 僕にとっては「救いのない」映画を撮ってきたクリント・イーストウッドが、「自分の行為は救われないと知りつつ、愛する者を救うために罪を被る」というテーマを撮ったことについては評価する。しかし2004年・第77回のアカデミー賞が、作品賞に「ミリオンダラー・ベイビー」を、外国語映画賞に「海を飛ぶ夢」を選んでいる意味がよく分からない。どちらもまったく似たようなテーマを扱っていて、しかも人間の尊厳については「海を飛ぶ夢」のほうが深く掘り下げられているのだ。どうしてこんな選出をするのか聞けるものなら聞いてみたいと思った。それとも今のアカデミー会員はこういった問題を抱えている人間が多いのだろうか?

 モ・クシュラ。
 「愛する者よ、お前は私の血だ」
 
 僕はこのシーンがもう一度観たくてDVDを買いました。
 そして「生きる意味」を自問したいと思います。


ミリオンダラー・ベイビー

ミリオンダラー・ベイビー

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/10/28
  • メディア: DVD
 

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クローサー [2005年 ベスト20]

クローサー」(2004年・アメリカ) 監督:マイク・ニコルズ 脚本:パトリック・マーバー

 最近スカばかり引かされた「人気戯曲の映画化」ってヤツです(観ながらそんな気がしてた)。
 監督は「卒業」(1967)のマイク・ニコルズ。脚本はオリジナル戯曲の原作者でもあるパトリック・マーバー。これはロンドンでめぐり合った4人の男女が複雑に絡み合う恋愛ドラマなのですが、この映画は久々のヒットです。予想以上に面白かった。
 一番は良かったのは台詞です。登場人物たちの会話がクールで、リアルで、ストレートで、スタイリッシュ(全部カタカナかよ)。残念ながらこの映画の台詞、僕には一行たりとも書けません。
 時間軸を微妙にずらした構成も巧い。
 これは戯曲のいいところをそのまま残したような気がしますが、ダラダラ余計な説明を必要としない見事な台詞があるからこそ可能なテクニックなんだと思います。

 ドラマとして面白いのは、観客自身が「自分の恋愛観と向き合うことになる」ところでしょう。
 例えば新しい恋人と付き合い始めるに当たって、相手の過去を知りたいか知りたくないか。ちなみに僕は「知りたくない派」なのですが、この作品の場合は「知りたい派」であるが故に自滅していく話でもあります。仮に相手が質問に答えてくれたとしても、それが事実かどうか確認する術などないのに。このあたりの展開はゾクゾクするような面白さでした。

 「ナショナル・トレジャー」のときに、「クローサー」はデートで観るには不向きだろう、と書きましたが、僕はこの映画を一緒に観てぶっちゃけトークの出来る彼女が欲しいと思いました(笑)。
 
 大人の恋愛を経験した人なら、きっと誰が観ても面白いと思います。オススメ。


closer / クローサー

closer / クローサー

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2005/09/07
  • メディア: DVD 

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阿弥陀堂だより [2005年 ベスト20]

阿弥陀堂だより」(2002年・日本) 監督・脚本:小泉尭史 主演:寺尾聰、樋口可南子

 昨今なかなか見なくなった情緒的な日本映画「雨あがる」の小泉尭史監督、2作目。
 その「雨あがる」を観たときに、僕はこんなことを書きました。

-----------------------------------------------------------------------------
 「退屈でおもしろくない」という人もいるかも知れませんが僕はとてもいい映画だったと思います。
 
なにより「誰も知らない」のときに強く思った「人が生きていく上で本当に必要なものは何か?」の答えがこの映画の中にあったような気がしました。
-----------------------------------------------------------------------------

 前回僕はその答えを「思いやり」と書いたのですが、今日それを改めたいと思います。

 ですが、その前に。 
 売れない小説家の孝夫(寺尾聰)とその妻で内科医の美智子(樋口可南子)は、美智子の病気をきっかけに東京を離れ、夫の故郷である信州のとある村で生活を始める。
 阿弥陀堂とはその村の死者を祭る場所。その阿弥陀堂には96歳になるおうめ婆さん(北林谷栄)が一人で住んでいて、そこへときどき喋ることの出来ない難病の少女・小百合(小西真奈美)がやってきておうめ婆さんの話を聞いていた。その話を短くまとめ、村の広報誌に掲載していたのが「阿弥陀堂だより」だった…。

 「阿弥陀堂だより」ってタイトルはあとから見れば悪くないんですけど、物語を想像しにくいタイトルだと思う
んですよね。僕自身もluna-louさんの記事を読むまでは観ようという気になれなかったので、まだ観ていない方のためにタイトルの意味だけ書かせてもらいました。
 
 さてこの映画には2つの感動があります。
 まずひとつは、「こんな波風の立たない静かな映画を、よくもまあ1年もかけて撮らせてくれたもんだ」という驚き。
 もうひとつは、9年ぶりの映画出演だった樋口可南子さんと、映画はこれが最期だろうと自ら語った北林谷栄さんのピュアな演技。それは隣にいる寺尾さんが芝居染みて見えてしまって可哀想なくらいでした(笑)。

 映画は、村で生活を始めた夫婦がさまざまな人とふれあう様子を淡々と描いたものです。ドラマとしては大きな波風が立たないのにそれでも飽きることなく観ていられるのは不思議でした。もしかしたらこれが4時間のドラマでも観ていられるんじゃないかと思ったくらい。それはきっとこの映画に悪人が出て来ないことと、ほんの少しずつだけど「良い事」が起きるからでしょう。
 渓流釣りをしたら一匹だけ岩魚が釣れたり、村の子供たちが摘んだ花をくれたり、阿弥陀堂から遠くの山々がきれいに見えたりします。こんな何気ないことを「良い事」と感じるのは、心を病んでいた美智子が少しずつ元気になっていく様と同調しているからです。このうつろいを樋口さんが実に上手く演じていました。
 当然のことながら派手なクライマックスも何もありません。ですが思わず泣いてしまったセリフがひとつありました。孝夫から小説家という仕事がどんな仕事かを聞き納得したおうめ婆さんがこんな話をします。

 「私はね、この歳まで生きてきたけど、もうせつねえ(せつない)話はうんと聞いたから、いい話だけ聞きてえでありますよ。誰もせつねえ話聞くためにわざわざ金出して本買うのはヤだもんなあ。わしゃエエ話聞いて、エエ気持ちになりたいでありんすよ」

 おうめ婆さんの長い生涯を、たったこれだけのセリフに凝縮してみせた小泉監督の才能に感服しました。僕はこのセリフを聴けただけでもこの映画を観た価値があったと思います。
 
 さて結論。
 「
生きていくうえで本当に必要なもの」とは何か。
 僕は「信頼」だと確信しました。
 全幅の信頼を寄せる人が近くにいれば、多くの困難は克服できると思います。
 「雨あがる」のように貧しくとも。
 「阿弥陀堂だより」のように病んでしまっても。
 「誰も知らない」のように親に捨てられても。
 
 僕がこの3作品に心揺さぶられたのは、自分に欠けたものがあったからかも知れません。

阿弥陀堂だより 特別版

阿弥陀堂だより 特別版

  • 出版社/メーカー: アスミック
  • 発売日: 2003/06/06
  • メディア: DVD

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マーサの幸せレシピ [2005年 ベスト20]

マーサの幸せレシピ」(2001年・ドイツ) 監督・脚本:サンドラ・ネットルベック

 映画にもときどき「ひとめぼれ」することがあります。
 まだ始まったばかりなのに「あ、この映画もしかしたら好きかも」ってまれに思う。
 今日がまさにそんな日でした。

 この作品は、ハンブルグのレストランに勤める女性シェフの物語。

 僕はシーン2、カット1、「エプロンのひもを縛る(ウェストのみのアップ)」で完全に一目惚れしました。こんな気持ちになれるなんて、もうそれだけで幸せです。
 このカットに続く厨房のシーンもいい。
 下ごしらえの風景を切り取った映像なのですが、ここは照明が見事で(中でもタマネギの皮をむくカットに感動した!)、またその映像に合わせた音楽が、素材の味を生かすために施された最低限のスパイスのごとく、シンプルでゆったりとしたジャズ。オープニングとしては完璧です。


 でも、
一目惚れのあとに待っている結末は二通りしかありません。
 「さらに好きになるか」、それとも、「興ざめするか」のいずれかです。
 では今回の結末はどうだったのか…。

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バンジージャンプする [2005年 ベスト20]

バンジージャンプする」(2001年・韓国) 監督:キム・デスン 主演:イ・ビョンホン、イ・ウンジュ

 面白いタイトルです。個人的にはこのタイトルに90点。
 でもこのタイトルでは内容がまったく分からない。イ・ビョンホンとイ・ウンジュの2人が映るパッケージ写真を見れば、この2人の恋愛ドラマかと思いますが、話はそんなに単純じゃありませんでした。
 主役2人のどちらかのファンで、恋愛モノが嫌いじゃないという方は、この先を読まずにまずはご覧になってください。きっと自分の恋愛観を見つめ直すことになると思います。
 すでにご覧になった方と、どんな内容なのかを知りたい方はネタバレ覚悟で続きへどうぞ。
 

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スーパーサイズ・ミー [2005年 ベスト20]

スーパーサイズ・ミー」(2004年・アメリカ) 製作・監督・脚本・出演:モーガン・スパーロック

 この作品はいろんな意味で面白かった。
 そのポイントは大きく3つ。せっかくですからひとつずつ解説しますか。

【第1のおもしろポイント~映画とは監督の情熱でのみ作られる~】
 映画制作はチームワークだとよく言います。
 DVD特典映像に収録されたインタビューなど
を観てても、「俳優のおかげ」とか、「原作が良かった」とか、「いい現場だった」とか、どいつもこいつも皆おべんちゃら喋ってますけど、そんなのはウソっぱちです。
 「スーパーサイズ・ミー」を観れば一目瞭然。映画とは「監督の情熱の結晶」に他なりません。
 監督は心血注いで完成させた脚本を手にスタジオを回り、資金提供者を探し、多くの人たちの賛同を得て、やっとのことで制作に入るわけです(もちろん制作に至らない企画が星の数ほどあるのだけれど)。たとえどんな名優でも、優れたカメラマンでも、著名なコンポーザーでも、監督の燃え滾る情熱がなければ、その実力を発揮する場所など永遠に与えられないのです。
 しかも扱うテーマと規模によっては無駄金を喰らう俳優やスタッフを必要とせず、簡単に映画を作ることが出来る、ということを「スーパーサイズ・ミー」は教えてくれます。
 「映画とは監督のもの」
 忘れていた大事なことを思い出させてくれたのが面白かった第一のポイントです。

【第2のおもしろポイント~はたして自分ならどうするか?~】
 主役は1人ですから観れば当然モーガンに感情移入します。
 極めて健康体だったモーガンがマック生活わずか3日目にして嘔吐する姿はあまりにも衝撃的。「マクドナルドって一体何なんだ?」と誰もが思う瞬間です。
 ターニングポイントは21日目でしょう。完全なるドクターストップを宣言された瞬間、僕は真剣に悩んでいました。
 「僕がモーガンだったらどうするだろう?命を賭けて続けるのか、我が身を案じて止めるのか?」
 映画を観ていてここまで悩んだことも最近ありません。僕が一番ショックだったのは恋人に“セックスが変わった”って証言されたことかな。そんなことになった日にゃ、そりゃ悩むよ!(笑)
 そこまで悩んじゃった自分の存在が2つ目のおもしろポイントです。

 
【第3のおもしろポイント~そして僕はマックを食べるのか?~】
 僕は映画を観ている最中、映画に使う意識とは違う別の意識を総動員して、過去の記憶を手繰っていました。
 「そういえば最後にマックを食べたのはいつだっけ?」
 少なくとも今月は食べてない。じゃ先月は?…もしかしたら食べていないかも。どうせなら出来るだけ遠い昔に食べたことにしてくれないかしら?そう思いたくなりますって(笑)。
 実は僕、ビッグマックもフライドポテトも大好きでした。ただ「高カロリー」という自覚があるから、最後に食べたのがいつだったか分からないくらい敬遠していたのです。
 そもそもこの映画を観るにあたって「食べたくなったらどうしよう」…とドキドキしていました。でもどうやらこの先よほどのことがない限り、僕がビッグマックを口にすることはないと思います。
 人間の「食」に対する意識を変えてしまうほどの面白さ。これが3つ目のポイントです。

 しかし。

 おもしろポイントがある代わりに面白くないポイントもあるわけで。
 何が残念だったって、マクドナルドとの直接対決がなかったのは至極残念。かなり期待したんだけどな。
 さ、ハーブティ飲んで寝よう。


スーパーサイズ・ミー

スーパーサイズ・ミー

  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • 発売日: 2005/07/08
  • メディア: DVD

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五線譜のラブレター [2005年 ベスト20]

五線譜のラブレター」(2004年・アメリカ) 監督:アーウィン・ウィンクラー

 こんなに見どころ満載の映画、最近なかった気がします。コイツはおもしろい!
 
 ドラマの主役は1891年生まれの音楽家、コール・ポーター。
 恥ずかしながら僕はこの人知りませんでした。でも曲は知ってた!
 映画を観ながら、「うわー、この曲を書いた人なんだあ!」と、驚くことしきり。
 例えば「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」(1984年)のオープニングでケイト・キャプショーが歌った「エニシング・ゴーズ」もそう。「五線譜のラブレター」の冒頭でもこの曲が使われています。
 と言うわけで、この映画の【見どころその1】は数々のミュージカルナンバー。僕と同世代の方ならきっと楽しめる楽曲がてんこ盛り!音楽監督が素晴らしいアレンジを施しています。
 【見どころその2】はゲスト出演する豪華ミュージシャンの面々!一気に並べますと

  ・ナタリー・コール (存在感バツグン!鳥肌立ちました)
  ・エルヴィス・コステロ (ちょっと明るい役どころが微妙に笑えた)
  ・シェリル・クロウ (しばらく本人と気付きませんでした。こんなシェリル見たことない!)
  ・アラニス・モリセット (劇中歌った「レッツ・ドゥ・イット」は出色。この人好きです)
  ・ロビー・ウィリアムス (この人は役者としても一流かも?と思いました)
  ・ダイアナ・クラール (コステロと夫婦で出演したことになりますね。ただし共演は無し)

 このほか、僕は知らなかったのですが、ララ・ファビアン、マリオ・フラングリース、ヴィヴィアン・グリーン、ミック・ハックネル、レマーといった方々が参加しています。
 すげー。サントラ買おう(笑)。

 【見どころその3】は衣装と特殊メイク。
 コール・ポーターの衣装を担当したのはジョルジオ・アルマーニ。
 映画を観ながら「いいスーツ着てるなあ」と思っていたのですが、まさかアルマーニとは。ますますアルマーニ好きになりそう。
 1920年代から60年代にまたがるストーリーをまったく違和感無く見せたのは特殊メイクのテクニック。僕がこれまでに観てきた「老け顔作り」の中で文句なく最高の仕事をしています。大拍手。

 【見どころその4】は(個人的な趣味ですけど)アシュレイ・ジャッド。
 サイコー!もう大好きです。「パリで最も美しい離婚女性」と謳われたリンダ・リーを見事に演じていました。すいません、結婚してください!(笑)

 【見どころその5】は、なんと言っても全体の構成です。
 死を目前にしたコール・ポーターがガブリエル(お迎えに来た天使)と並んで客席に座り、舞台上で繰り広げられる自分の人生を観る形で物語が進むのですが、極めて似た構成で同じ音楽モノの伝記映画「ビヨンド the シー」よりも判りやすく、メリハリも効いていて、実にバランスの取れた編集だったと思います。
 もちろんコール・ポーターの人生そのものが最大の見どころなんですけどね。
 
 脚本については不満もいくつかあるのですが(自分がゲイであることをリンダに告白させるシーンはインパクトに欠けている)、それでも、終盤ウェットになりがちな素材をキレイにまとめていたと思います。これはウィンクラー監督の手腕でしょう。


 最後に。
 主演のケビン・クラインがほとんどのシーンで自らピアノを弾いていたそうです。
 「どうせ本人は弾いてないんだろ?」と思わせなかった彼のパフォーマンスは素晴らしい。
 ケビンでなければ成立してない作品だったかも知れません。
 邦題はまったくダメですが、映画としてはかなりイケてます。

五線譜のラブレター 特別編

五線譜のラブレター 特別編

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2005/06/03
  • メディア: DVD

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雨あがる [2005年 ベスト20]

雨あがる」(1999年・日本) 監督:小泉堯史 脚本:黒澤明 主演:寺尾聰、宮崎美子

 
実に素朴な映画です。
 「退屈でおもしろくない」という人もいるかも知れませんが
僕はとてもいい映画だったと思います。
 
なにより「誰も知らない」のときに強く思った「人が生きていく上で本当に必要なものは何か?」の答えがこの映画の中にあったような気がしました。

 
 夫の愛に生きている妻は、そのままの生活で満足している。
 
 しかし夫は、貧しい生活が妻を不幸にしていると思っている。
  
もっと出世してもっと楽な生活を送らせようと齷齪(あくせく)している。
 
 妻は、そんな夫を見ているのがつらくて、悲しいのに、夫には妻の心がわからない。
  (黒澤明の覚え書きより)

 
武芸の達人でありながらも不器用であるが故、仕官がかなわない武士、三沢伊兵衛とその妻、たえ。
 
この2人が互いに持ち合わせていたもの、それが先の答えかも知れません。
 
それは、「思いやり」です。

 
劇中、夫婦が向き合ったあるシーンで、僕はまるでカマイタチにあったかのように何の前触れもなく、ボロッと涙がこぼれました。
 
きっと誰もがこんな夫婦の在り方に憧れると思います。
 
特に僕は一度失敗したクチですから、尚更そう思いました(笑)。
 
既婚者で未見の方がいたらオススメします。ぜひご夫婦でご覧になって下さい。

 
と、言いつつ一つだけ不満が…(笑)。
 
ネタバレします。ご注意下さい。
 

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