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コンフェッション [2005年 レビュー]

 コンフェッション」(2002年・アメリカ) 監督:ジョージ・クルーニー 主演:サム・ロックウェル
 
 ジョージが監督をやると決めたとき、ミラマックスはスティーブン・ソダーバーグ(製作総指揮)にこう言ったそうだ。
 「もしもジョージが無理だとなったら、君に(監督を)やってもらうからな。それでよければ彼に任せよう」
 脚本は「マルコビッチの穴」のチャーリー・カウフマン。1999年から5年間で3度もアカデミー脚本賞にノミネートされた天才ライターだ(無冠だけど)。
 素材は、70年代に全米で名を馳せた伝説のプロデューサー、チャック・バリスがしたためた自伝だ。その内容が衝撃的だった。
 「私はTVプロデューサーであると同時にCIAの工作員でもあった。そして国のために33人もの人間を殺害した」
 まさに、事実は小説よりも奇なり、である。自伝が出版された当時、一大センセーショナルを呼んだ。そして多くのマスコミが彼に質問をした。
 「あの本に書いたことはすべて事実ですか?」 
 チャック・バリスは笑って答えなかった。何も話せない、と。彼は今も生きている。なのに事実か否かが判らない。
 これは大いなる茶番である。
 しかし、ジョージ・クルーニーはこの不透明な部分が最大の魅力だとメイキングで語っていた。注目すべきはこのポイントだ思う。僕がミラマックスの重役ならこう思う。 
 「アイツ大丈夫か?」 
 チャック・バリスのことじゃない。ジョージ・クルーニーのことをだ。だから僕はスティーブンに保険を掛けたミラマックスの気持ちが理解できる。
 「茶番を面白いって言ってるERの役者が監督をするってよ。やらせて大丈夫なのか?」
 
 映画は「あのチャック・バリスが本当に殺人を?」という目線で見せる関係者のインタビュー部分と、実際に殺人を犯すシーンとが交差する。
 自伝そのものがチャックのでっち上げかも知れないのに、映画はそれを真に受けた箇所と、そうでない箇所が入り混じるのだ。観ている我々は混乱する。まったく視点が定まらない。一体どのスタンスで観ればいいんだ???
 例えば「事実か否かを探る物語」、あるいは「一人の男の妄想」。どちらかに絞り込んで作ってくれないと、大衆の理解は得られないはずだ。
 
 TVプロデューサーはCIAの工作員だった。ただこれだけのドラマのほうがよほどエンターテインメントだと思うけど、まあ、もちろんそうじゃない事実があるわけだし、このまま行くわけにはいかない。じゃあ、どうすれば?
 【チャック・バリスの新証言が最後のドンデン返しとして挿入される】
 これくらいしか思いつかないね。
 この映画、ソダーバーグが作ってたらどうなってたかなあ。興味が残るのはただその一点だけだ。
 
 ただし!カメオ出演したブラピとマット・デイモンには笑いました。

コンフェッション

コンフェッション

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2004/02/27
  • メディア: DVD

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