がんばれ!ベアーズ [2005年 レビュー]
「がんばれ!ベアーズ」(1976年・アメリカ) 監督:マイケル・リッチー 脚本:ビル・ランカスター
ウォルター・マッソーとテイタム・オニールの共演で大ヒットしたファミリーコメディ。
今年リメイク作品が全米で公開され、その余波でこのオリジナルもDVD化されたのだろう。大好きな映画だったので躊躇なく購入して久しぶりに楽しむ。
今回この映画を観るのは10数年ぶりだと記憶しているが、オープニングからまもなく僕は軽いショックを受けた。なぜなら、映像もテンポも決定的に「緩い」のだ。
「でも」…と僕は思う。
でも、昔はこんな映画がたくさんあった。
瞬きを忘れるような凄まじい映像と音の連鎖でなく、何気ない風景と優しい音楽。
それは「これからどんなことがはじまるんだろう」と僕たちの胸を躍らせる「緩やかな助走」でもあった。
助走のパフォーマンスが大きければ大きいほど観客の興味は引く。同時に結果に対する観客の期待も大きくなる。期待に応えるためには莫大な金が必要になる。
反対に緩やかな助走の選手に観客は大きな期待をしない。しかしそんな選手がちょっとした成績を残すと、「意外にやるじゃないか」と好印象を残す。
60年代後半から70年代にかけてはメジャーに所属しない独立系のプロデューサー達が低予算で映画を作り、ヒットさせてきた時代でもある。例えば「俺達に明日はない」(1967)、「卒業」(1967)、「イージーライダー」(1970)などがそうだ。もちろん低予算映画のすべてが緩い作りだとは言わないが、少なくとも計算された「緩さ」が存在したのは事実だろう。
しかし、緩い映画は消えてしまった。「一体いつからだろう?」と考えたら、答えは単純だった。
1977年。
この年を境にして緩い映画は消えて行くのだ。ニューオーリンズを壊滅に追い込んだ「リタ」のように、過去の総てをご破算にしハリウッドの在り方すら変えた巨大ハリケーン「スター・ウォーズ」の登場である。
「がんばれ!ベアーズ」はスター・ウォーズという名のハリケーンが全米を襲う前年の作品だ。ここには古き良き時代の映画の面白さがたくさん詰まっている。そしてオリジナル版から約30年。「スター・ウォーズ後」のカテゴリーに入る今年のリメイク作がどんな作品に仕上がっているのかも興味深い。
内容について。
今回改めて気がついたのは、観客である親と子に対して別々のメッセージが込められていたことだ。
親には「子供は出来るだけ早いうちに挫折を味あわせるべき」と語り、子供には「夢を見ることと理想を追うことはすべての子供に平等に与えられた権利である」と教えている。
昨今のピクサー映画にも通じる、ファミリー映画のお手本のような構造だ。
こんな計算し尽くされた作品が、作り手の力不足で「緩い」わけがないのだ。
懐かしいですねぇー。。私がうーんと子供の頃見ました。大好きだったのでDVDで観ようと思います。思えばこれを見て野球を…女の子もプロ野球選手になれると信じて頑張っていた私です(笑)
by (2005-09-26 23:56)
姉さん、野球もやってたんかーい!(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2005-09-27 00:55)
監督役がウォルター・マッソーってところが
緩さの原因のひとつかも、、、
by ELEY (2005-10-08 00:21)
ウォルター・マッソーの功績ということならまったく賛成です。
by ken (2005-10-08 01:07)