SSブログ

自転車泥棒 [2006年 レビュー]

自転車泥棒」(1948年・イタリア) 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ

 「鉄道員」を観たからにはコレも観ておくべきだろうと選んだ未見の1本。
 この作品のプロフィールはちょっと面白くて、脚本を書いたチェザーレ・サヴァッティーニが1949年度のアカデミー脚色賞にノミネートされ、作品自体は同年のアカデミー特別賞を受賞しています。
 実はこの「特別賞」は現在の「外国語映画賞」に当るもので、1947年から49年までは「特別賞」、1950年から55年までは「名誉賞」と呼ばれ、1956年から現在の「外国語映画賞」となりました。
 ちなみに創設から55年までの受賞歴は以下の通り。
 
 【特別賞】
 1947年 「靴磨き」 ビットリオ・デ・シーカ(イタリア)
 1948年 「聖バンサン」 モーリス・クローシュ(フランス)
 1949年 「自転車泥棒」 ビットリオ・デ・シーカ(イタリア)

 【名誉賞】
 1950年 「鉄格子の彼方」 ルネ・クレマン(フランス)
 1951年 「羅生門」 黒澤明
 1952年 「禁じられた遊び」 ルネ・クレマン(フランス)
 1953年 (受賞なし)
 1954年 「地獄門」 衣笠貞之助
 1955年 「宮本武蔵」 稲垣浩

 ついでに書いてしまうと本作の監督ビットリオ・デ・シーカと言う人はスゴイ人で、見てお解かりの通り初年度も「靴磨き」で受賞し、さらに1964年「昨日・今日・明日」、そして1971年「悲しみの青春」で都合4回の外国語映画賞を獲得するのです。
 こんな快挙を達成した人はこの人だけだろうと思ったら、実は「道」や「フェリーニの8 1/2」で知られるイタリアの名匠、フェデリコ・フェリーニ監督もタイ記録。イタリア映画人は優秀だったんだねえ。

 「自転車泥棒」は「鉄道員」
同様、貧しいイタリア庶民の生活を描いた作品でした。
 その内容は芸術的というよりも極めて道徳的。人間とはいかに弱い生き物であるかを慈悲に溢れた目線で描いています。特にラスト10分間はあまりにせつなくてチクチクと胸が痛むのですが、エンディングの潔さに救われているような気がします。この展開の早さは今でも見習う価値のある絶妙な幕引きと言えるでしょう。
 映画マニアにとっては「鉄道員」よりも観る価値のある作品です。
 恐るべし、ヴィットリオ・デ・シーカ。

自転車泥棒

自転車泥棒

  • 出版社/メーカー: アイ・ヴィー・シー
  • 発売日: 2002/07/25
  • メディア: DVD

nice!(3)  コメント(5)  トラックバック(1) 

nice! 3

コメント 5

ecco

このあたりになると多少強気でものが言える私でした(笑)
自転車泥棒のラストってどんなだったか
思い出せずにいます。
今回の記事に出てきた作品は3本とも見てます!
これって私としてはかなりの快挙。
フェリーニはいいよな~
8 1/2はいいよな~
デ・シーカはどうなの。自転車泥棒はどうなの。
っていわれそうですが・・・(笑)
by ecco (2006-06-02 00:04) 

こんばんは~
最後のシーンの猛烈な切なさが忘れられない作品でしたね。
生涯忘れられない映画です。
と言いつつ、意外と隅々までは覚えてなかったりして。また観てみよう。
by (2006-06-02 03:28) 

ken

>eccoさん
 今回は僕が無口になる番です。
 実はフェリーニ監督作品って一本も観てません!(>_<)
 いつか観てみようと思います。nice!ありがとうございます。

>トチオさん
 そう。どんなに痛烈な印象を残した映画でも隅々まで覚えておくのは
 不可能ですよね。だから何度も楽しめるんだと思います。
 人間って「忘れる」ことで幸せになる生き物ですから。
 nice!ありがとうございます。
by ken (2006-06-02 15:28) 

Naka

こんばんは。
ラスト、私はまさかこう来るとは思いもよらなかったので、
結構なショックでした。辛かった(;;。
と同時に、リアリズムに徹した作り方が素晴らしいと思いました。
私にとっても、ずっと心に残る映画です。
by Naka (2006-06-03 00:29) 

ken

きれいごとばかりでは生きていけない時代の悲しい物語ですよね。
でも決して遠い過去の話ではなく、今に通じる話でもあると思いました。
nice!ありがとうございます。
by ken (2006-06-03 11:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。