愛の神、エロス [2006年 レビュー]
「愛の神、エロス」(2004年・アメリカ/イタリア/フランス/中国)
「2046」のウォン・カーウァイ。「オーシャンズ11」のスティーブン・ソダーバーグ。そして製作時すでに91歳だったイタリアの巨匠、ミケランジェロ・アントニオーニによるオムニバス映画です。
配給会社は“カンヌを制した3人の名匠”と呼んでました。
1本目はウォン・カーウァイの「THE HAND」。
邦題「若き仕立屋の恋」も分かりやすくていいタイトルなんですが、ここは「THE HAND」というタイトルを念頭に観ましょう。60年代の香港に生きる高級娼婦(コン・リー)と、その娼婦のドレスを作る若き仕立て屋(チャン・チェン)の2人の「手」がこのドラマの重要な鍵になっているからです。
結論から言うと3本の中では「THE HAND」がベスト。
この作品はプラトニックな不倫を描いたウォン・カーウァイ2000年の作品「花様年華」に勝るとも劣らない傑作でした。ドラマの設定も背景もとても良く練り込まれているので一度は原作モノかと思ったのですが、ウォン・カーウァイのオリジナル脚本だそうです。うひー。
コン・リーも実に素晴らしく、落ちぶれて行く高級娼婦の悲哀を見事に演じていました。この人の佇まいを代わって表現できる女優は今のアジアにはいないでしょうね。
必見です。
2本目はスティーブン・ソダーバーグの「Equilibrium(均衡)」。
邦題は「ペンローズの悩み」です。
夢の中で見る女の姿が一体誰なのか思い出せずに悩む広告クリエイターのハナシ。
短編特有の「投げっ放し」な感じがすごく強い作品で、期待した割には面白くありませんでした。でも僕は「オーシャンズ11」のソダーバーグをイメージして観てしまったのが失敗だったと思います。この人は今だってインディーズの雄なんですよね(笑)。せいぜい「フル・フロンタル」くらいのもんだろう、と思って観ればよかった。
唯一面白かったのは、主人公が目覚まし時計の「スヌーズ機能」を思いつく設定だったこと。こういうところはソダーバーグの上手いところだなと感心しました。
3本目はミケランジェロ・アントニーニの「Il filo pericoloso delle cose」
「危険な道筋」という邦題が付けられていました。が、僕には一番難解な作品でした。
公式HPで解説を読めば監督が何を言わんとしているのか判らなくもないのですが、映画って無理に理解しようとするものでもないし(と、最近特にそう思う)、巨乳ネエチャンの無修正ヌードを見せられて喜ぶ歳でもないので(笑)これはパスです。
結論。
「愛の神、エロス」は「若き仕立屋の恋」だけ観て下さい。
こんにちは~。いやー、ほんとに偶然にも見た映画が一致しましたね。(^^)
kenさんは最近、目の手術を受けられたのですね。怖くて記事が読めませんでした。順調に回復されているご様子なので、安心しております。くれぐれもお大事に!
「愛の神、エロス」でも意見が一致しましたね。今更ながら、ウォン・カーウァイの才能に惚れ惚れしています☆
by coco030705 (2006-07-31 16:05)
coco030705さんのブログをのぞいたときは驚きましたよ~。
「THE HAND」はサイコーです!
nice!ありがとうございます。
by ken (2006-07-31 23:01)
カーウァイの描く濃厚な愛の世界、陶酔しました~。
このお陰で、後の2本の印象が薄まった気がするというか(^^;
一本でお腹一杯になっちゃいました。
ソダーバーグは、インディーズの雄なんですね(笑)。
初期の作品は好きなので、頑張って欲しいですー。
by Naka (2006-08-06 01:13)
1本目はまさに陶酔、ですよね~。
ソダーバーグはハリウッドセレブ熱に冒されちゃったのかしら???
nice!ありがとうございます。
by ken (2006-08-06 03:26)
第一作目は「花様年華」を思い浮かべずにはいられませんでした。
私はこの一作品のみに「エロス」を感じました。あとの二作品は、いっそいらないのでは?と思いました。
マギー・チャンもきれいだったけど、このコン・リーも、本当に美しかったですね。
by Sho (2006-08-06 22:50)
ソダーバーグとアントニーニの作品は完全にカーウァイの引き立て役に
なっちゃってましたね(笑)。ちょっと可哀相な気がしました。
by ken (2006-08-07 00:02)