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ユア・マイ・サンシャイン [2006年 レビュー]

ユア・マイ・サンシャイン」(2005年・韓国) 監督・脚本:パク・チンピョ

 たとえば「韓国の女優で誰が好きか?」と聞かれたら、時と場合によって僕は「シム・ウナ」と答えたり、「イ・ヨンエ」と答えたり、「ペ・ドゥナ」と答えたりしますが、実は本作の主演女優チョン・ドヨンが一番好きです。
 ちなみに今、チョン・ドヨンのプロフィールを確認してみたら、僕はデビュー作「接続 ザ・コンタクト」(1997年・日本未公開)以外の映画、
全部観てて我ながらちょっとビックリ(笑)。
 
 「我が心のオルガン」(1999年)
 「ハッピーエンド」(1999年)
 「私にも妻がいたらいいのに」(2001年・日本未公開)
 「スキャンダル」(2003年)
 「初恋のアルバム~人魚姫のいた島~」(2004年)
 
 韓国の女優にしては(という言い方が適切かどうかは分からないけれど)とびきりの美人じゃないし、ボディはスレンダーだからセックスアピールも特に無し。なのに僕が彼女のことを好きなのは、「きっと毎日眺めいても飽きないだろうな」と思わせるほど喜怒哀楽の表情が豊かで(中でも笑った顔は素晴らしくキュート)、天真爛漫な役から汚れ役までなんなくこなすほど演技の幅も広く、女優としては最高の資質を持ち合わせているからだと思います。

 と、ここまでベタ惚れの僕がこの作品を客観的に批評できるかどうか分かりませんが(笑)、チョン・ドヨンファンとしての感想は後回しにして、まずは一映画ファンとしての感想から。

 上映時間122分は「長い」と思います。
 仮にどんな内容かまったく知らずにこの映画を観たら、きっと前半の1時間弱は「だから何が言いたいの?」とイライラします。もちろん何も知らずに観るなんてこと、そうそうないと思うんですけど、「はたしてスニーク・プレビュー(覆面試写会)だったら、どう思うか?」が僕の中でのひとつの物差しなので、ここは譲れません。完全なマイナスポイントです。だって大まかな内容を知って観た僕ですら「展開が遅すぎる」と思ったんですから。
 じゃあ90分くらいの作品にすればいいか、というとこれがそうでもない。
 重要な登場人物の1人、主人公ウナ(チョン・ドヨン)の“過去を知る人間”(ネタバレ自主規制)の背景描写が緩すぎるので、ここに少々時間を費やす必要がある。
 それで100分台でまとめられれば、かなり良かったんじゃないかと思います。
 この作品は、主人公ソクチュンを演じたファン・ジョンミンが
素晴らしい。役作りのために体重を10キロ以上も増減させたそうですが、これはもう「役者魂」というものを超えていたような気がします。僕は男ですから当然ソクチュンに感情移入して観ていましたが、クライマックスでは久しぶりに号泣しました。どうやって劇場から出ようか躊躇するほどに(笑)。
 
 さて、チョン・ドヨンです。
 実は映画が始まってしばらくは、この僕でさえ「あまり可愛くないな」と思っていました。
 でもあるシーンを境にして、「あまり可愛くない」んじゃなくて、「あまり可愛く撮ってなかった」あるいは「あまり可愛く演じてなかった」ように思います。というのも、ウナがソクチュンを気にし始めた瞬間、具体的には喫茶店の窓越しにソクチュンを振り返るウナの表情がそれまでとはガラリと違って、恐ろしいほど美しいのです。これは紛れもなく監督の狙いで、チョン・ドヨンの女優としての実力が発揮された瞬間だったように思います。あのワンシーンは感動的でした。

 作品のテーマについて。
 HIVに対する偏見がいかに根強く、また人を傷つけているかが手に取るように分かる作品です。
 「ウナはHIVに感染した。では夫のソクチュンはどうなのか?」
 観客はどうしてもこの点に興味が行きます。しかし監督はなかなかこの結果を明らかにしません。これも完全に狙いだったと思います。
 「HIVに感染していることは罪ではない。感染者を差別することが罪なのだ」
 これが僕の素直な感想です。
 また暗くなりがちなテーマを最後は明るく仕上げた監督の演出も良かったと思います。

 「ユア・マイ・サンシャイン」は
作品の出来不出来を語る以前に、観る価値のある一本です。
 そう思えば、この作品がR-15指定なのはちょっと残念でした。

ユア・マイ・サンシャイン

ユア・マイ・サンシャイン

  • 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
  • 発売日: 2007/04/18
  • メディア: DVD

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コメント 2

おじゃまします。
すごい数の映画をご覧になってるんですね。
それも私のように偏らずに、色んな国の色んなジャンルの作品を。
1作品1作品をしっかりじっくりみているのが、
ブログの記事からうかがえました。^^
by (2008-02-19 00:56) 

ken

がりさん、ようこそ。
こと映画に関しては「雑食」という言葉が一番しっくり来るかもしれません。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-19 01:57) 

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