ラッキーナンバー7：ナニミル？～DVD日記～：SSブログ

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ラッキーナンバー7　[2007年レビュー] [編集]

「ラッキーナンバー7」（2006年・アメリカ）　監督：ポール・マクギガン　脚本：ｼﾞｪｲｿﾝ・ｽﾏｲﾛｳﾞｨｯｸ

　豪華な顔ぶれ（ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、ルーシー・リュー、モーガン・フリーマン）が交錯するスタイリッシュな予告編と、何やら縁起の良さそうなタイトルに、「オーシャンズ11」か「スナッチ」みたいなもんかしら？と軽く惹かれたそこのアナタ。…お気をつけ下さい。この映画はR-15指定のちょっとタダモンじゃない映画です。だいたいこの「ラッキーナンバー７」って邦題ですから。原題は「LUCKY NUMBER SLEVIN」。このタイトルからすでに謎解きのひとつになってます。

　僕は公開初日に、何の前情報も持たず、ほとんど「sneak preview（覆面試写会）」状態で観てしまったのでこの内容にはかなり面食らいました。少なくとも「オーシャンズ11」でも「スナッチ」でもありません。じゃあ何かというと…これがネタバレになっちゃうので何も書けない（笑）。
　大まかなストーリーを書くと、仕事をクビになり、恋人に浮気され、強盗にまで襲われた不運な男スレブン（ジョシュ・ハートネット）が、今度は友人のニックという男に間違われてギャングに拉致され“無理難題”を押し付けられる、という物語です。

　映画マニアを自負する方にはオススメ。善いも悪いも含めていろんな反応があると思いますが、決してつまらない映画じゃない。では一体どんな映画なのか？のヒント。
　主演のジョシュ・ハートネットと監督のポール・マクギガンはこれが2度目のコンビとなります。
前作は知る人ぞ知る名作、「ホワイト・ライズ」。これが一体どんな映画だったかを知ると想像がつくかも知れません。なかなかのハードボイルドだと覚悟して楽しんで下さい。
　では観た人だけ、この先へどうぞ。

　映画のテーマそのものが“隠し”になっている作品は、そのテーマが明らかになるまでが映画としての勝負どころだと思います。
　と言うのも、真のテーマが隠れたまま物語が進行している間は、観客は物語のゴールが想像できず、アタマの片隅に小さな「？」マークを持っています。このハテナマークが途中からどんどん大きくなって、「だから何が言いたいワケ？」と観客がイラついたら映画の負け。その逆で観客のハテナマークが消えそうなくらい途中も魅せてくれたら映画の勝ち、だと思います。その好例は同じくブルース・ウィリスが出演していた「シックス・センス」ですが、この「ラッキーナンバー7」の場合、完全なる映画の勝ち、とは言い難い。その理由は冒頭のフリと途中のネタに脈絡が無さ過ぎて、観客のアタマの中に割りと早くから大きめの「？」マークが出っ放しになっているからです。確かにオチを知れば合点が行く伏線だらけで面白いんだけど（特にスレヴンがリンジーを殺さなかった理由をグッドキャットに話す空港ロビーの件は個人的に最高のカタルシスを感じた）、ちょっと複雑すぎたんじゃないでしょうか？

　映画の後半、僕はパク・チャヌク監督の「復讐3部作」を思い出していました。
　こんな復讐モノの映画もあるんだなと思いつつ、やはり「復讐」というテーマは永遠不滅のエンタテインメントなんだなと。もちろん実際の世界における“暴力の連鎖”は無くなるべきなんだけど。
　それにしても、かなり映画通向けの作品でした。