SSブログ

わすれな歌 [2007年 レビュー]

わすれな歌」(2002年・タイ) 監督・脚本:ペンエーグ・ラッタナルアーン

 私事ですが実は昨年末に引っ越しをしまして、それまでは在庫の少ないGEOと渋々2年半もお付き合いしたのですが、引っ越し先にはGEOすらありませんで、私はすっかりレンタルDVD難民になってしまいました。となるとやはりDISCASのお世話になるしかなく、こんなレビューに惹かれて本作を借りて見たのであります。

 のどかなタイの小村に住む青年ペン。
 歌を歌うことが何より好きな純粋で奔放な彼は、かねてから想いを寄せていた村一番の美女サダウとめでたく結ばれる。
 2人は穏やかで幸せな日々を過ごしていたが、サダウの妊娠が分かってすぐにペンが徴兵されてしまう。彼は愛する妻へ毎日のように手紙をしたため、募る思いを“わすれな歌”に込めて歌った。
 そんなある日、ペンの訓練地へ巡業に来た芸能プロダクションが歌謡コンテストを主催。ペンは見事合格する。“プロの歌手になればサダウと暮らせる”と軍を抜けプロダクションについていくペンだったが…。

 このイントロダクションとジャケットのアートワークが良かったので観てみたのですが、想像とはちょっと違うテイストの作品でした。
 僕に言わせるとこれは、“貧しいけれど純朴な好青年の転落の物語”。そう思って観た方が無理がないと思います。
 とにかくもう笑っちゃうくらい悲惨ですから(笑)。不器用でお人好しだから人の罪まで被っちゃう主人公ってありがちなんですけど、正義感に溢れる性格だから転落してしまう、という展開は珍しいと思います。それでも観客はそんな主人公に肩入れして、ハッピーエンドを期待するところですが、実は最後の最後までちょっと不幸だったりする。このニュアンスは日本や欧米の作品にはあまり観られない展開で、個人的にはこのエンディング、好きでした。
 主役の2人も悪くありません。
 ペンを演じたスパコン・ギッスワーンは、「ドラゴン/ブルース・リー物語」でブルースを演じたジェイソン・スコット・リー似の好青年で、成功とは無縁の青年役にピッタリ(笑)。
 ヒロイン、サダウを演じたシリヤゴーン・プッカウェートは泣きの芝居が抜群に巧くて(しかも泣き顔が不細工じゃない、という素質にも恵まれている!)、本編を要所要所で締めています。
 
 劇的なドラマを求めている人にはスパイスが足りない気がしますが、日本や欧米にはない風味を求めている人には、いい感じでパクチーが効いている作品かも知れません。
 欧米の影響を色濃く受けた日本や韓国とは違う、素朴なアジア映画もやっぱりやめられませんねぇ。

わすれな歌

わすれな歌

  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • 発売日: 2003/05/30
  • メディア: DVD

nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 4

たいちさん

先日は、コメント有り難うございます。
明日のアカデミー賞のノミネーションを私も楽しみにしています。
私は、阪神タイガースの大ファンです。
by たいちさん (2007-01-23 16:51) 

ken

凛子さん、ノミネートされましたね^^
発表が楽しみです。
by ken (2007-01-24 00:50) 

ミック

おはようございます。
タイの映画は10年前なら、
新宿の区役所通りの裏にあった、タイの人の為の
雑貨屋に行かなければ、手に入らず。
しかも、ビデオ。
今はamazonで手に入り、
Tsutayaでも、借りられるのかもしれないなんて、
便利な世の中になりました。
また、遊びに来ますので、これからも、よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました。
by ミック (2007-01-25 06:15) 

ken

今は本当にいい時代だと思います。
20年前はビデオ1本借りるのに、1000円もしてましたからねえ(笑)。
これからもよろしくお願いします。nice!ありがとうございます。
by ken (2007-01-25 11:59) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。