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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 [2007年 レビュー]

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」(1995年・日本) 監督:押井守

 今週月曜。
 2008年夏に新作「スカイクロラ」を発表する押井守が主役のボイスキャストに著名な日本人女優を選んだ、とある筋から聞かされた。
 公式発表前なので女優の名前は明かせないが、個人的には大いに興味をそそられるキャスティングで、聞けばオファーするに至った経緯もなかなかドラマチックだった。このニュースを聞いた瞬間から僕は「押井守」という監督にはじめて興味を持つことになった。
 もちろん「攻殻機動隊」の名前も知っていたし、「イノセンス」も知ってはいたが、いずれも僕の守備範囲ではなく、管轄外の事件に興味を示さない怠慢な刑事同様、その内容もプロフィールも知ろうと思ったことは一度も無かった。

 「攻殻機動隊」がウォシャウスキー兄弟に多大なる影響を与え、結果「マトリックス」が生まれたというエピソードは今回初めて知った。観ている途中はその逆なんだろうと見下していたが、事実と知ると「これは只事ではない」と心が粟立つ。確かに「マトリックス」が世に出るのはこの4年後だ。
 「マトリックス風だな」と呑気に眺めていたすべてのカットは、マトリックスを見直し「攻殻機動隊風だな」と改めなければならない。これはもはや管轄外などと言っていられない。「攻殻機動隊」そのものが重大な「事件」である。

 しかしこの世界観だけはまったくついて行けない。
 原作をスルーして本編を理解するなど不可能だと言っていい。だからストーリーについては触れないことにする。本作はアメリカでも爆発的なヒットを飛ばしたと聞いたが、その最大の理由はディティールと映像だろう。
 今となっては12年前(!)の作品だが、デジタルとアナログを巧みに融合、駆使した映像のオリジナリティと完成度は未だ劣化の気配すらない。また、リアリティの無い近未来SFという設定の中で銃器やコンピュータといったディテールにこだわり、大人の視聴に耐えうるクオリティを確立したと言う点で本作は、アニメーション映画の文化的ランクを少なからず底上げすることに成功した重要な一篇だったと言っていいだろう。

 原作を読まない者にとってエンディングは不可思議。
 「イノセンス」がどう展開するのか、それでも楽しみだ。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD

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tomoart

すいません・・・守備範囲直球ど真中な作品なので、コメント出来ません!(爆)
なので(?)トラバさせていただきます・・・・よろしくお願いします。
by tomoart (2007-12-01 19:32) 

satoco

実は私は原作者士郎正宗の作品を、同人時代からほぼリアルタイムで全部読んでいます。
で、この映画も「イノセンス」も映像はキレイですが、世界観もストーリィも原作より大分詰めが甘く人物像もおセンチになっていてちょっといただけておりません...。ストーリィが分かりにくいのは原作をお読みになっていないからだけではないと思いますよ。コアな原作ファンの私から見ても、映画は実はちょっとしたところで論理的じゃなくなっていて判りにくくなっちゃったところがあります。

TVシリーズだった「攻殻機動隊 S.A.C」の方が原作の良さも生きてますし、普通に面白く出来てるのでスキです。

ところでマトリックスに影響を与えた本作の映像ですが、素子のキックのシーンなどではゲーム「バーチャファイター」から影響を受けているそうです。絵コンテにも「バーチャファイターのPPPKのキック」等と指示が書かれているそうですよ。
by satoco (2007-12-01 21:33) 

ken

>tomoartさん
 のちほどお邪魔いたします。nice!ありがとうございます。

>satocoさん
 TVシリーズはコミカルなところも多々ある、と聞きました。
 原作がどんな雰囲気なのか、ちょっと立ち読みしたい気分ですw
 「バーチャファイター」のパクリとは面白いですね。
 多かれ少なかれそういうのってどこにでもありますけどねw
by ken (2007-12-02 10:55) 

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