アース [2009年 レビュー]
「アース」(2006年・ドイツ/イギリス) 監督:アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド
ここ10年で最高のネイチャー・ドキュメンタリー。
「北極のナヌー」を観たときに、「(しょうがない)アースも観てみるかあ」と軽い気持ちで書いたのが恥ずかしくなるくらいの出来栄えでした。
作品のテーマは地球温暖化によって進行しつつある生態系の崩壊。
参考までに、「不都合な真実」で印象的だった溺死するホッキョクグマのエピソードは、「アース」によって最もリアリティのある映像が公開された、と言っても過言ではありません。実際に溺死シーンがあるわけではありませんが、僕が知る限りにおいて最も深刻な映像がここにありました。
さて僕が本作を「ここ10年で最高」とした理由はいくつかあります。
まず家族で観るのに何の障害もないこと。
ネイチャーモノでときどき困るのは、生々しい生殖活動と弱肉強食の残酷な描写が盛り込まれていることです。ありがたいことに本作にはそれがありません。特に前者はまったくありませんし、後者も血を見せることがありません。これは特筆すべきポイントだと思います。
感心したのは、オオカミがトナカイの子どもを襲うシーン。
逃げるトナカイの子と、追うオオカミ。「どちらかがミスをした瞬間、勝負が決まる」というナレーションにリードされ、手に汗握る攻防戦を観ることになるのですが、その結末も勝負がついた瞬間にカット。必要以上に余計なシーンを見せない配慮がされているのです。子どもは想像力を働かせてトナカイの子の運命をイメージすればいいし、分からないことがあれば大人に聞けばいい。すべてを見せて絶句させるよりも、親子の会話によって完結させる構造のほうがよっぽど良心的だと思ったのです。
もうひとつの理由は、わずか96分間に北極、海中、砂漠、空中と多岐に渡るフィールドのバリエーションに富んだ生物を織り込み、まったく飽きさせることなく、また中途半端なエピソードで終わることもなく(唯一ペンギンを除いて)ゴールする見事な構成です。
もちろん映像も素晴らしく、僕はキリンが水の中を歩く映像に驚き(そんなの観たことなかった!)、雪山を行くオオヤマネコの表情に哀愁を感じ、ゴクラクチョウの変身ぶりにはあっけにとられ、ヒマラヤ山脈を命がけで越えるアネハヅルに涙してしまいました。これままさに動画の動物図鑑。子を持つ親は絶対に観たほうがいいと思います。
個人的に気になるのはメイキング。
一部ネット上に公開されているホッキョクグマと撮影クルーとの攻防が迫力満点で、「こりゃDVD買うしかねーな」と思った次第です。ややや、ブルーレイかなあ(笑)。
ここ10年で最高のネイチャー・ドキュメンタリー。
「北極のナヌー」を観たときに、「(しょうがない)アースも観てみるかあ」と軽い気持ちで書いたのが恥ずかしくなるくらいの出来栄えでした。
作品のテーマは地球温暖化によって進行しつつある生態系の崩壊。
参考までに、「不都合な真実」で印象的だった溺死するホッキョクグマのエピソードは、「アース」によって最もリアリティのある映像が公開された、と言っても過言ではありません。実際に溺死シーンがあるわけではありませんが、僕が知る限りにおいて最も深刻な映像がここにありました。
さて僕が本作を「ここ10年で最高」とした理由はいくつかあります。
まず家族で観るのに何の障害もないこと。
ネイチャーモノでときどき困るのは、生々しい生殖活動と弱肉強食の残酷な描写が盛り込まれていることです。ありがたいことに本作にはそれがありません。特に前者はまったくありませんし、後者も血を見せることがありません。これは特筆すべきポイントだと思います。
感心したのは、オオカミがトナカイの子どもを襲うシーン。
逃げるトナカイの子と、追うオオカミ。「どちらかがミスをした瞬間、勝負が決まる」というナレーションにリードされ、手に汗握る攻防戦を観ることになるのですが、その結末も勝負がついた瞬間にカット。必要以上に余計なシーンを見せない配慮がされているのです。子どもは想像力を働かせてトナカイの子の運命をイメージすればいいし、分からないことがあれば大人に聞けばいい。すべてを見せて絶句させるよりも、親子の会話によって完結させる構造のほうがよっぽど良心的だと思ったのです。
もうひとつの理由は、わずか96分間に北極、海中、砂漠、空中と多岐に渡るフィールドのバリエーションに富んだ生物を織り込み、まったく飽きさせることなく、また中途半端なエピソードで終わることもなく(唯一ペンギンを除いて)ゴールする見事な構成です。
もちろん映像も素晴らしく、僕はキリンが水の中を歩く映像に驚き(そんなの観たことなかった!)、雪山を行くオオヤマネコの表情に哀愁を感じ、ゴクラクチョウの変身ぶりにはあっけにとられ、ヒマラヤ山脈を命がけで越えるアネハヅルに涙してしまいました。これままさに動画の動物図鑑。子を持つ親は絶対に観たほうがいいと思います。
個人的に気になるのはメイキング。
一部ネット上に公開されているホッキョクグマと撮影クルーとの攻防が迫力満点で、「こりゃDVD買うしかねーな」と思った次第です。ややや、ブルーレイかなあ(笑)。
アースのブルーレイ持ってます!
全てのシーンが感動ものです!
ですが、メイキングはDVDしか無いんですよね。そのうちブルーレイでも2枚組を出して、もう1回買わせようというギャガの思惑を感じます。
出たら絶対買っちゃいますけどね^^
by pandahead (2009-01-20 23:09)
「ホワイト・プラネット」で寝てしまったのでこれはパスしてたんですが、kenさんのレビュー読んだら見たくなっちゃいましたw
by tomoart (2009-01-21 10:12)
コレ、ブルーレイの映像の素晴らしさは圧倒的ですよ。
そろそろいっちゃいますか(笑)。
by 脳外科医 (2009-01-21 10:49)
>pandaheadさん
いい情報いただきました!
そうですか。メイキングはDVDだけなんですね。
じゃあDVD買おうかなあ。
nice!ありがとうございます。
>tomoartさん
「ホワプラ」は僕も完全にイマイチでした。でもコレはいいですよ!
nice!ありがとうございます。
>脳外科医さん
あちゃー!やっぱブルーレイでなきゃダメですかあああ。
奥さんと相談しますw
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-01-21 12:51)
「ディープブルー」がトラウマになっていて、なんとなく自然ドキュメンタリーモノに苦手意識を持ってしまったのですが・・・。kenさんのレビューを読んですごく観てみたくなりました!
by カオリ (2009-01-21 20:58)
「ディープ・ブルー」
僕は嫌いじゃないけど、作品としてのクオリティは低かった印象があります。
でもそれに比べたら、コレは断然良かったですよ!
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-01-22 01:56)