フェイク [2009年 レビュー]
「フェイク」(1997年・アメリカ) 監督:マイク・ニューウェル 脚本:ポール・アタナシオ
元FBI潜入捜査官、ジョセフ・D・ピストーネの原作をベースにしたサスペンス。
そして、あのジョニー・デップが極めてまともな人間を演じてる映画でもあります(笑)。
FBIの潜入捜査官ジョー(ジョニー・デップ)は、宝石のバイヤー“ドニー・ブラスコ”としてブルックリンに足を踏み入れ、ある日レフティ(アル・パチーノ)という名のマフィアと出会う。レフティに気に入られたドニーはやがてマフィアの一員となり、本格的な潜入捜査を開始するが…。
ストーリーの概要を聞くとどうしても「インファナル・アフェア」や「ディパーテッド」を想像しがちなんですが、本作を観るのならそのイメージを一旦リセットする必要があります。というのもこれはエンタテインメントに徹したサスペンス映画ではなく、事実に基づいたシリアスなドラマだからです。
先の2作と「フェイク」の決定的な違いは「家族」の存在。
「潜入捜査官最大の葛藤は、仕事で成果を挙げるということは家族を蔑ろにしてしまうこと」
これぞ実話の重み。
CIA誕生の舞台裏を描いた「グッド・シェパード」も、ドラマの一辺を主人公と家族の関係に砕いていましたが、このシークエンスがあるから本作も面白いのであって、ハラハラドキドキのサスペンスを期待してしまうと、おそらく物足りなく感じてしまうでしょう。
また本作における最大のテーマは「情愛」です。
ひとつは、他人に成りすますことで見失いがちなアイデンティティーのため、絶対に手放せなかった「家族」に対する情愛。
もうひとつは、よもや潜入捜査官とは知らず自分を信頼し、愛情をかけ、盃まで交わした「レフティ」に対する情愛。
仕事で成果を挙げれば挙げるほど、家族とレフティを裏切ることになるジョーの葛藤は、少々言葉足らずな描写ですが、じわじわと観客の胸に染み入ってくるでしょう。そしてジョーが究極の“板ばさみ”に立たされたとき、ドラマは大きく展開します。
エンディングは極めてシニカル。
人を人として認めているのはFBIかマフィアか。観れば明らかな答えが126分後に待っています。
本編のジョニー・デップは久し振りに観たまともな演技(笑)。「ディパーテッド」のディカプリオは、このジョニデを参考にしたんじゃないかと思うほど、かなり印象が似ていました。
アル・パチーノ。かつて「ゴッドファーザー」を演じた彼が落ち目のヤクザを演じているのは、ある意味で凄いなと感心します。なんたって彼を差し置いて出世する仲間の名前が「ソニー」だし、否応にも思い出しますって(笑)。
さて気になったのはこの映画の見かた。
僕は原作者の素性をちゃんと知って観るのがいいと思うので、ひとつネタバレを披露します。
「多くのマフィア摘発に貢献したピストーネの首に、マフィアが50万ドルの懸賞金を掛けている」
彼がどれほどの仕事をしたかが分かろうというもの。その思って観たほうがきっと楽しめます。
元FBI潜入捜査官、ジョセフ・D・ピストーネの原作をベースにしたサスペンス。
そして、あのジョニー・デップが極めてまともな人間を演じてる映画でもあります(笑)。
FBIの潜入捜査官ジョー(ジョニー・デップ)は、宝石のバイヤー“ドニー・ブラスコ”としてブルックリンに足を踏み入れ、ある日レフティ(アル・パチーノ)という名のマフィアと出会う。レフティに気に入られたドニーはやがてマフィアの一員となり、本格的な潜入捜査を開始するが…。
ストーリーの概要を聞くとどうしても「インファナル・アフェア」や「ディパーテッド」を想像しがちなんですが、本作を観るのならそのイメージを一旦リセットする必要があります。というのもこれはエンタテインメントに徹したサスペンス映画ではなく、事実に基づいたシリアスなドラマだからです。
先の2作と「フェイク」の決定的な違いは「家族」の存在。
「潜入捜査官最大の葛藤は、仕事で成果を挙げるということは家族を蔑ろにしてしまうこと」
これぞ実話の重み。
CIA誕生の舞台裏を描いた「グッド・シェパード」も、ドラマの一辺を主人公と家族の関係に砕いていましたが、このシークエンスがあるから本作も面白いのであって、ハラハラドキドキのサスペンスを期待してしまうと、おそらく物足りなく感じてしまうでしょう。
また本作における最大のテーマは「情愛」です。
ひとつは、他人に成りすますことで見失いがちなアイデンティティーのため、絶対に手放せなかった「家族」に対する情愛。
もうひとつは、よもや潜入捜査官とは知らず自分を信頼し、愛情をかけ、盃まで交わした「レフティ」に対する情愛。
仕事で成果を挙げれば挙げるほど、家族とレフティを裏切ることになるジョーの葛藤は、少々言葉足らずな描写ですが、じわじわと観客の胸に染み入ってくるでしょう。そしてジョーが究極の“板ばさみ”に立たされたとき、ドラマは大きく展開します。
エンディングは極めてシニカル。
人を人として認めているのはFBIかマフィアか。観れば明らかな答えが126分後に待っています。
本編のジョニー・デップは久し振りに観たまともな演技(笑)。「ディパーテッド」のディカプリオは、このジョニデを参考にしたんじゃないかと思うほど、かなり印象が似ていました。
アル・パチーノ。かつて「ゴッドファーザー」を演じた彼が落ち目のヤクザを演じているのは、ある意味で凄いなと感心します。なんたって彼を差し置いて出世する仲間の名前が「ソニー」だし、否応にも思い出しますって(笑)。
さて気になったのはこの映画の見かた。
僕は原作者の素性をちゃんと知って観るのがいいと思うので、ひとつネタバレを披露します。
「多くのマフィア摘発に貢献したピストーネの首に、マフィアが50万ドルの懸賞金を掛けている」
彼がどれほどの仕事をしたかが分かろうというもの。その思って観たほうがきっと楽しめます。
トラボルタとニコラス・ケイジの映画と混同していました。
面白そうですね。観てみたくなりました。
by Sho (2009-03-08 15:10)
この映画のアル・パチーノもジョニー・デップも良かったですね。映画終盤に、アル・パチーノの自宅でのシーンの後ジョニー・デップが拳銃の練習の的を撃つシーンが印象に残りました。
by おぉ!次郎 (2009-03-08 20:10)
>Shoさん
「フェイス/オフ」ですね。あれも大好きな作品です。
久し振りに見ようかな。
>おぉ!次郎さん
あそこは編集も巧かったんですよね~。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-03-08 20:56)
パチーノファンである私は、ラストのレフティの落ちぶれてもヤクザの矜持ある姿に号泣でした。
by satoco (2009-03-08 23:45)
部屋を出て行くときのアルは哀愁たっぷりでしたね。
僕も泣きそうになりました。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-03-08 23:59)
『フェイク』、好きな映画のひとつです!!
ジョニー・デップは、凄いなと思いました。
アル・パチーノも、やっぱりイイですよねぇ〜。
ラスト号泣でした・・・。
DVD後輩に貸してるんで、
早急に回収して、また観たくなりました♪
by u_yasu (2009-03-09 00:59)
意外とご覧になっている方、多いですねえ。
僕にとってこの時代は「失われた10年」なので、観ていない作品が沢山あります。
まだまだ掘り出し物がありそう。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-03-09 01:22)
あたしも大好きです。この映画。
やっぱり、アル・パチーノは凄いと思う。
アル・パチーノは共演した若い役者のレベルを確実に上げて見せてくれる。と思います。
『インサイダー』のラッセル・クロウとの共演や『ディアボロス』でキアヌ・
リーブスと共演した時もそう感じました。
by spika (2009-03-09 22:48)
なるほど。アル・パチーノは共演した若い役者のレベルを上げる、とは
素晴らしい目線ですね。確かにそうだと思います。
by ken (2009-03-10 02:26)