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歓喜の歌 [2009年 レビュー]

歓喜の歌」(2007年・日本) 監督・脚本:松岡錠司 脚本:真辺克彦

 久し振りの更新。
 ブログ開始以来こんなに間が空いたのは初めてじゃないかと思います。
 じゃ何をしていたかと言うと実は引っ越しをしていたのですが、ここへ来てようやく新居も片付きつつあり、やっと自宅で映画を観る気になって、溜まりに溜まったwowowの録画の中から、まず選んだのは「志の輔らくご in PARCO/歓喜の歌」。映画じゃなくて落語ね(笑)。

 「志の輔らくご」をきちんと聴くのはこれが初めて。中でも「歓喜の歌」はウワサに違わず実に面白い人情噺で、僕は途中2度泣きました。構成もバツグンに巧いし、これを映画にしたくなる気持ちは分かるんですけど、まあどうやったって原作は超えられないだろうな、と。なんたって落語の“間”は、映画で再現することは出来ません。それは「噺家のその日のリズム」と「観客の反応」によって作られたその場限りの“間”であって、観客に一方的に投げるだけになってしまう映画で、落語の“間”を再現することは不可能なのです。
 と、認識した上で僕は映画版「歓喜の歌」を観ました。
 結論から言えば、本編はまったく原作を超えていません。ただ超えられないと知りつつ、あえて挑戦した勇気は讃えたいと思います。というのも落語に原作を求めるというスタイルは日本映画にしか出来ないことで(これが初めてじゃなかったけれど)、今後に繋がる道筋をつけたように思うからです。
 
 さて約1時間の落語を、どうやって2時間弱の映画に膨らませるのかと思ったら、落語の中では大きく端折られた、2つのコーラスグループが合同でコンサートを行うことにした経緯が、やはり厚く作られていました。そこしか無いよなあ(笑)。
 映画で一番ダメだったのは、時間経過が分かり難いこと。原作は12月30日から31日にかけてのハナシですが、映画はストーリーを“水増し”する関係で12月中旬からスタートしているようです。おかげで原作の「切羽詰った感」が出せていないのは残念。
 映画オリジナルの設定もいくつか難ありだったと思う。例えば主任(小林薫)が200万円の借金を抱えるエピソードも効いていなかったし、途中突然現れる「子供を亡くした母親」というキャラも緩かった。脚本はもっともっと煮詰める必要があったと思うのに、準備稿くらいの段階で撮影してしまったのがもったいない。

 観るなら志の輔らくご。映画は興味のある人だけ。

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コメント 4

**feeling**

志の輔らくごは、物凄く人気が高いですね。利用が多いのにもうなずけます。なかなか出てこないのでもう・・・・かと思いました。合掌でもしようかと。

祝!><!引越しそば!><!
by **feeling** (2009-04-12 09:45) 

ken

いやいやご心配かけました。
あ、そういや引越しそば食べてないなあ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-04-12 15:08) 

non_0101

こんにちは。
私もどこかへお引越ししたいです~
映画は観たのですけど、やっぱり原作のほうが面白そうですね。
頭の中にメモして置きます(^^ゞ
by non_0101 (2009-04-14 12:53) 

ken

落語の味は見事です。さすが志の輔。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-04-14 21:28) 

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