ジェシー・ジェームズの暗殺：ナニミル？～DVD日記～：SSブログ

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ジェシー・ジェームズの暗殺　[2009年レビュー] [編集]

「ジェシー・ジェームズの暗殺」（2007年・アメリカ）　監督・脚本：アンドリュー・ドミニク

　要予習映画。
　素材そのものは実に面白いです。ところが仕上がりはまったく良くない。詳しくは後述するとして、それでも観る価値のある作品なので、まずは予習すべき項目から。

　そもそも「ジェシー・ジェームズとは一体何者か？」から入らなければなりません。
　実在の人物です。ブラピを主演に据えて金儲けを企んだインチキ西部劇ではありません。
　ジェシー・ジェームズは南北戦争（1861－1865）終結後、兄や従兄弟たちと強盗団を結成して銀行や列車を襲い、数々の殺人を行った重罪人です。ところが南部の民衆からは義賊的な扱いを受け、ヒーロー視されていました。なぜならジェシーは戦時中、南軍のゲリラ組織に属していて、襲撃する銀行は主に北部系。列車強盗を働いても元南軍兵士からは何も奪わなかったと言われ、北軍に抵抗する南軍の象徴として見られていたからです。
　そんなジェシーに憧れ、彼に取り入って強盗団の一味に加わり、やがてジェシーを殺すことになるロバート・フォード（ケイシー・アフレック）が本作の主人公。つまり「ジェシー・ジェームズの暗殺」というタイトルでありながら、これはロバート・フォードの生涯を描いた作品なのです。まずこれを知って観るだけでも作品の理解力はかなりアップすると思います。

　さて仕上がりに関してですが、なんと言っても2時間40分は長過ぎ。
　実は2時間15分辺りからエンディングまでの約25分間は素晴らしく面白いんです。なんたって途中があまりにも面白くないので、この25分間は目が覚めるほど面白い。だったら「このシークエンスを冒頭に持って来ればいいのに！」と激しく思いました。だってタイトルに「暗殺」って打ってあるし、アメリカ人なら誰もが知ってる結末なんだし、一番はボブがジェシーを暗殺したあとのエピソードがかなり効いていて、その部分を最後にとっておけるので、暗殺シーンを冒頭に入れても大丈夫なはずなんです。とにかく僕はジェシー・ジェームズを知らなかったので、2時間15分は映画の見方が全く分からず、ずーっと困惑してました（笑）。それで仕方なくエンドマークを観たあと、もう一度流し観したら、なるほど意味が分かったところもあれば、それでも意味不明のところもある。これは折り込むエピソードをもっと分かり易いもの（特に南部の人間に優しくしたエピソードなど）にして、さらに尺を刈り込んだら、かなり見応えのあるドラマになったんじゃないかと思います。うわー、もったいない！

　ところで僕は「ジェシー・ジェームズのことを知らない」と書きましたが、正しくは「忘れていた」でした。僕が大好きなウォルター・ヒル監督の「ロング・ライダーズ」はまさに彼らの物語だったのです。うわい、そりゃマズイ。と言うわけで何年振りかで観直して見ることにします。
　「ジェシー・ジェームズの暗殺」は彼の経歴をすべてインプットしたあとで観てみて下さい。後半25分のために2時間15分をガマンする価値があります。