ロング・ライダーズ [2009年 レビュー]
「ロング・ライダーズ」（1980年・アメリカ） 監督：ウォルター・ヒル
「ジェシー・ジェームズの暗殺」のあと、いくつか資料を読み、この映画を観て驚いた。
僕はこの映画の面白さを半分も分かっていませんでした。
劇場公開時は、ギャング団の兄弟を本物の兄弟俳優が演じている、ということで話題になっていました。そして当時高校生だった僕は南北戦争の詳細も知らず、おそろいのグレーのコートに身を包んだギャングたちと、ライ・クーダーのスライドギターに心酔していただけ。無知って恐ろしい（笑）。
本作は「ジェシー…」を観る前の予習編として持って来いの作品です。
とにかく北軍を忌み嫌う南軍の思いが、とても分かり易く描かれているから。「ジェシー…」で抱いた不満の大半はここで形になっていました。唯一残念だったのはフォード兄弟との関わり合いがほとんど描かれなかったこと。ジェシーはミネソタ、ノースフィールドで仲間の大半を失った後フォード兄弟と合流するのですが、そこからの展開が少々早過ぎました。
ただし、大好きなウォルター・ヒルなんで一応弁護しておくと、これは純然たる商業映画。だから上映時間は100分。ちなみに彼の映画で120分を超えるものはほとんどありません。とにかく「早い、安い、美味い」って吉野家の牛丼みたいな映画を撮る人なので、本作もエンタテインメントに徹した結果だったと思います。何も知らないバカ高校生だった僕が、当時「スゲーおもしれー！」ってなったのは、まさにその証でしょう（笑）。
ジェシーの生涯を知ると、本作がその史実に基づいて作られていることがよく分かります。
彼らが働いた最初の銀行強盗では無抵抗の行員一人が射殺されていること（結果的にこの行員は北軍出身だったらしい）。ジェシーたちを追う探偵社がジェシーの実家に手りゅう弾を投げ込み、15歳の弟が死亡していること。そしてノースフィールドのファースト・ナショナル銀行を襲撃した際、北部住民の激しい抵抗に遭い、結果6人の仲間を失ったこと。
本編にはこれらすべてが折り込まれていて、この辺りエンタテインメントに徹するとは言え、無用な脚色はしないウォルター・ヒルの良心が表れているような気がします。
それでもひとつだけ注文をつけるなら、なぜ兄であるフランクは、弟ジェシーに従うようになるのか。その力関係の芽生えだけは描いて欲しかったなと思いました。
ジェシー暗殺のシーンを見比べるだけでも面白いですが、まずは「ロング・ライダーズ」を観て、続けて「ジェシー・ジェームズの暗殺」を観ると、ハリウッド映画の進化も確認出来てなかなか面白いと思います。
![ロング・ライダーズ [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Ftiy5p7WL._SL160_.jpg "ロング・ライダーズ [DVD]")
「ジェシー・ジェームズの暗殺」のあと、いくつか資料を読み、この映画を観て驚いた。
僕はこの映画の面白さを半分も分かっていませんでした。
劇場公開時は、ギャング団の兄弟を本物の兄弟俳優が演じている、ということで話題になっていました。そして当時高校生だった僕は南北戦争の詳細も知らず、おそろいのグレーのコートに身を包んだギャングたちと、ライ・クーダーのスライドギターに心酔していただけ。無知って恐ろしい（笑）。
本作は「ジェシー…」を観る前の予習編として持って来いの作品です。
とにかく北軍を忌み嫌う南軍の思いが、とても分かり易く描かれているから。「ジェシー…」で抱いた不満の大半はここで形になっていました。唯一残念だったのはフォード兄弟との関わり合いがほとんど描かれなかったこと。ジェシーはミネソタ、ノースフィールドで仲間の大半を失った後フォード兄弟と合流するのですが、そこからの展開が少々早過ぎました。
ただし、大好きなウォルター・ヒルなんで一応弁護しておくと、これは純然たる商業映画。だから上映時間は100分。ちなみに彼の映画で120分を超えるものはほとんどありません。とにかく「早い、安い、美味い」って吉野家の牛丼みたいな映画を撮る人なので、本作もエンタテインメントに徹した結果だったと思います。何も知らないバカ高校生だった僕が、当時「スゲーおもしれー！」ってなったのは、まさにその証でしょう（笑）。
ジェシーの生涯を知ると、本作がその史実に基づいて作られていることがよく分かります。
彼らが働いた最初の銀行強盗では無抵抗の行員一人が射殺されていること（結果的にこの行員は北軍出身だったらしい）。ジェシーたちを追う探偵社がジェシーの実家に手りゅう弾を投げ込み、15歳の弟が死亡していること。そしてノースフィールドのファースト・ナショナル銀行を襲撃した際、北部住民の激しい抵抗に遭い、結果6人の仲間を失ったこと。
本編にはこれらすべてが折り込まれていて、この辺りエンタテインメントに徹するとは言え、無用な脚色はしないウォルター・ヒルの良心が表れているような気がします。
それでもひとつだけ注文をつけるなら、なぜ兄であるフランクは、弟ジェシーに従うようになるのか。その力関係の芽生えだけは描いて欲しかったなと思いました。
ジェシー暗殺のシーンを見比べるだけでも面白いですが、まずは「ロング・ライダーズ」を観て、続けて「ジェシー・ジェームズの暗殺」を観ると、ハリウッド映画の進化も確認出来てなかなか面白いと思います。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
「ジェシー・ジェームズの暗殺」は見ていませんが、、
「ロング・ライダーズ」は公開後しばらくして横浜の二番館で見ました。
良い映画ですが、ロードショーでは記録的な不入りだったそうです。
ジェームズ・ギャング（というバンドもありましたっけ）映画では「ミネソタ大強盗団」が一番好きかな。
by きさ (2009-05-10 08:58)
西部劇って、女性からは敬遠されそうですもんね。
するとデート映画としては成立していないってことだから、
不入りになるのも分かる気がします。
「ミネソタ大強盗団」はロバート・デュバルがジェシーを演じているんですね。
フィルップ・カウフマンが監督を務めているのも興味深いです。
情報&nice！ありがとうございます。
by ken (2009-05-10 09:09)
当時は今以上に西部劇が衰退していたし、確かまともに広報もされずに公開されたんで、もったいなかったですね。
「ミネソタ大強盗団」はクリフ・ロバートソンのコール・ヤンガーが主役です。 ロバート・デュバルは良かったですね。
カウフマン監督は好きなのですが、「ライトスタッフ」は日本公開時に無断でカットされたし、色々不遇な感じがしてしまいます。
by きさ (2009-05-10 09:29)
「ミネソタ大強盗団」はDVDを探すのに骨が折れそうですw
by ken (2009-05-10 09:50)
「ミネソタ大強盗団」昔テレビ放映で見たのですが、テレビ東京では何回かやっていたと思いますが、日本では一度もビデオソフト化されていないらしいです。
ところでkenさん良く映画見られてますね。
私の「読んでいるブログ」に追加させていただいてもいいでしょうか？
今後も訪問させていただきます。
by きさ (2009-05-10 09:55)
ソフト化されていないのですね。納得。wowowに期待しましょう。
今後ともよろしくお願いします。
by ken (2009-05-10 13:25)