大いなる西部 [2009年 レビュー]
「大いなる西部」(1958年・アメリカ) 監督:ウィリアム・ワイラー
オレ的プチ西部劇ブーム到来(笑)。
これはウィリアム・ワイラー監督と、グレゴリー・ペックが「ローマの休日」以来、5年ぶりにタッグを組んだ西部劇です。テーマ曲は聴けば誰の耳にも馴染みのあるスタンダード化した名曲。そんな本編は2時間46分もありますが、実はコレ「大作」と呼ぶほどの映画じゃありません。ストーリーは意外となんてことないんです。じゃあつまらないかと言うと、これがそうでもない(笑)。不思議なことにまったく飽きることなく観られます。ではその理由は?
主人公は東部育ちのリベラルな青年ジェームズ(グレゴリー・ペック)。
彼が西部育ちの女性と結婚をするため、彼女のテキサスの実家を訪ねるところから物語が始まります。物語の核となるのは大きく2つの対立軸。
ひとつは東部の男と西部の女の価値観の違い。
僕はアメリカ人じゃないんで、その違いがどれほどのものか分かりませんが、たぶん東京と大阪どころの騒ぎじゃないと思います(笑)。この違いはドラマが進むうちに、最初おぼろげだったものが、やがてくっきりと輪郭を見せるようになります。これが前半のひとつの“引っ張り”になっていました。
もうひとつは、広大な土地を二分する家同士の対立。
テリル家とヘネシー家は互いに牧畜を生業とし、多くの家畜を抱えています。ところが周辺に水源は一ヶ所しかなく、その所有を巡って争っている、という設定です。
本作を飽きずに観ていられた最大の理由は、登場人物の背景が分かり易く、また配置が良かったからだったと思います。誰と誰がいがみ合っていて、誰が誰に好意を抱いているか。その描写にミスリードが全くありません。つまり、観客は登場人物の気持ちを慮る必要がないため、ドラマに集中できると言うわけです。逆にこういった場合、予定調和に陥ることもママあるのですが、本作には“思いがけない展開”がちゃんと用意されていて、僕の杞憂を見事に打ち消してくれました。
キャスティングで言うと、主役に引けを取らない存在感を示したチャールトン・ヘストンとチャック・コナーズが本作のキーマン。グレゴリー・ペックを“優男”に見せたのは本人の演技力でもなんでもなく、実はこの2人の個性だったと思います。
作品の“重し”となったのは、ヘネシー家当主ルーファス役のバール・アイブス(本作で唯一アカデミー賞助演男優賞受賞)です。見た目からは全く想像出来ませんが、彼こそホンモノの「西部の男」。この意外性も作品をギュッと締めていました。
ちなみに名作「ベン・ハー」が誕生するのはこの翌年の1959年。
チャールトン・ヘストンがベン・ハー役を射止めたのは、本作でウィリアム・ワイラーと仕事をしたことが大きく影響していたことでしょう。「歴史が動くきっかけ」となった映画としても、観る価値アリだと思います。
オレ的プチ西部劇ブーム到来(笑)。
これはウィリアム・ワイラー監督と、グレゴリー・ペックが「ローマの休日」以来、5年ぶりにタッグを組んだ西部劇です。テーマ曲は聴けば誰の耳にも馴染みのあるスタンダード化した名曲。そんな本編は2時間46分もありますが、実はコレ「大作」と呼ぶほどの映画じゃありません。ストーリーは意外となんてことないんです。じゃあつまらないかと言うと、これがそうでもない(笑)。不思議なことにまったく飽きることなく観られます。ではその理由は?
主人公は東部育ちのリベラルな青年ジェームズ(グレゴリー・ペック)。
彼が西部育ちの女性と結婚をするため、彼女のテキサスの実家を訪ねるところから物語が始まります。物語の核となるのは大きく2つの対立軸。
ひとつは東部の男と西部の女の価値観の違い。
僕はアメリカ人じゃないんで、その違いがどれほどのものか分かりませんが、たぶん東京と大阪どころの騒ぎじゃないと思います(笑)。この違いはドラマが進むうちに、最初おぼろげだったものが、やがてくっきりと輪郭を見せるようになります。これが前半のひとつの“引っ張り”になっていました。
もうひとつは、広大な土地を二分する家同士の対立。
テリル家とヘネシー家は互いに牧畜を生業とし、多くの家畜を抱えています。ところが周辺に水源は一ヶ所しかなく、その所有を巡って争っている、という設定です。
本作を飽きずに観ていられた最大の理由は、登場人物の背景が分かり易く、また配置が良かったからだったと思います。誰と誰がいがみ合っていて、誰が誰に好意を抱いているか。その描写にミスリードが全くありません。つまり、観客は登場人物の気持ちを慮る必要がないため、ドラマに集中できると言うわけです。逆にこういった場合、予定調和に陥ることもママあるのですが、本作には“思いがけない展開”がちゃんと用意されていて、僕の杞憂を見事に打ち消してくれました。
キャスティングで言うと、主役に引けを取らない存在感を示したチャールトン・ヘストンとチャック・コナーズが本作のキーマン。グレゴリー・ペックを“優男”に見せたのは本人の演技力でもなんでもなく、実はこの2人の個性だったと思います。
作品の“重し”となったのは、ヘネシー家当主ルーファス役のバール・アイブス(本作で唯一アカデミー賞助演男優賞受賞)です。見た目からは全く想像出来ませんが、彼こそホンモノの「西部の男」。この意外性も作品をギュッと締めていました。
ちなみに名作「ベン・ハー」が誕生するのはこの翌年の1959年。
チャールトン・ヘストンがベン・ハー役を射止めたのは、本作でウィリアム・ワイラーと仕事をしたことが大きく影響していたことでしょう。「歴史が動くきっかけ」となった映画としても、観る価値アリだと思います。
大いなる西部 [スタジオ・クラシック・シリーズ] [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
多分小学生の頃、淀長さんの洋画劇場が初見です。派手なドラマはないけれど大作としての風格がある作品でした。制作も兼ねたG.ペッグの優男が一番立派な男だったという設定で、このジム・マッケイは以来私にとって男の理想像になりました。ヘストンは粗野でコナーズは卑怯者と完全な引き立て役で、"制作者は強し"です。
by Hide (2011-07-03 00:10)
製作者は強し、のご指摘はごもっともですね。
もしも、「アメリカを理解するための100本」って企画があったら
(あれ?それって面白そうだ)、この作品は確実にランクインする1本でした。
by ken (2011-07-03 00:57)