ラブレター [2009年 レビュー]
「ラブレター」(1981年・日本) 監督:東陽一 脚本:田中陽造
初のにっかつロマン・ポルノ作品。
ロマン・ポルノ映画は1977年から製作が始まり、1988年に終わったんだそうです。僕は1963年生まれなので1983年で成人し、法的にも5年間は観る機会があったわけですが一度も観たことがありませんでした。ま、「ポルノ映画なんて映画じゃない」と思ってましたからね。ただのオナニーの道具だと。
ところが先日wowowで放送されたドキュメンタリー「ロマン・ポルノ伝説 1971-1988」を観て、その考えは180度変わりました。極端なハナシ、にっかつロマン・ポルノがなかったら、「おくりびと」のアカデミー賞は無かったかも知れないなと。つまりロマン・ポルノはオナニーの道具などでは決してなく、滝田洋二郎、金子修介、村川透、根岸吉太郎、森田芳光、相米慎二と言った名だたる映画監督を輩出した、重要な人材育成の場であったわけです。
ドキュメンタリーの中で一番興味深かったのは「10分に1回、セックスシーンさえあれば、あとは何をやってもいいという自由度」。映像作家としてこれ以上の環境はありません。少ない予算でのやりくりは苦労もあったでしょうが、映画を作る喜びは予算規模を大きく超えていたんじゃないかと思います。
さてそうなると、ロマン・ポルノも観てみたくなると言うワケで、今回チョイスしたのはロマン・ポルノ史上最高の興行収入を上げたと言う、関根恵子主演の本作です。主要キャスティングもおよそポルノ映画に相応しくない、中村嘉葎雄、加賀まりこ、仲谷昇という名前が並んでいました。
原作は江森陽弘のノンフィクション「金子光晴のラブレター」。詩人・金子光晴と34歳年下の愛人女性の関係を取材したもので、中村嘉葎雄が主人公の詩人を、関根恵子がその愛人を演じています。
衝撃的だったのは当時26歳の関根恵子が恐ろしく可愛いこと。デビューからすでに裸になることを厭わなかった人とは言え、テレビドラマ「太陽にほえろ!」でアイドル的人気を獲得したあとだっただけに、ロマン・ポルノ出演はある種の「事件」と言えたでしょう。興行収入記録を塗り替えるのも当然と言えば当然です。
作品は東陽一監督が得意としたいわゆる「女性映画」の一種で、愛人という立場にいる女性の苦悩と葛藤を、繊細なタッチで描いています。ストーリーではあえて大きい波は作らず、主人公の内面に発生する大きな心の揺れを表現しようとする辺りは東陽一演出の真骨頂。日本映画のひとつの方向性がここに垣間見られると言っても過言ではありません。
精神に異常を来して行く関根恵子の芝居も意外と見もの。
ロマン・ポルノ侮れず。
初のにっかつロマン・ポルノ作品。
ロマン・ポルノ映画は1977年から製作が始まり、1988年に終わったんだそうです。僕は1963年生まれなので1983年で成人し、法的にも5年間は観る機会があったわけですが一度も観たことがありませんでした。ま、「ポルノ映画なんて映画じゃない」と思ってましたからね。ただのオナニーの道具だと。
ところが先日wowowで放送されたドキュメンタリー「ロマン・ポルノ伝説 1971-1988」を観て、その考えは180度変わりました。極端なハナシ、にっかつロマン・ポルノがなかったら、「おくりびと」のアカデミー賞は無かったかも知れないなと。つまりロマン・ポルノはオナニーの道具などでは決してなく、滝田洋二郎、金子修介、村川透、根岸吉太郎、森田芳光、相米慎二と言った名だたる映画監督を輩出した、重要な人材育成の場であったわけです。
ドキュメンタリーの中で一番興味深かったのは「10分に1回、セックスシーンさえあれば、あとは何をやってもいいという自由度」。映像作家としてこれ以上の環境はありません。少ない予算でのやりくりは苦労もあったでしょうが、映画を作る喜びは予算規模を大きく超えていたんじゃないかと思います。
さてそうなると、ロマン・ポルノも観てみたくなると言うワケで、今回チョイスしたのはロマン・ポルノ史上最高の興行収入を上げたと言う、関根恵子主演の本作です。主要キャスティングもおよそポルノ映画に相応しくない、中村嘉葎雄、加賀まりこ、仲谷昇という名前が並んでいました。
原作は江森陽弘のノンフィクション「金子光晴のラブレター」。詩人・金子光晴と34歳年下の愛人女性の関係を取材したもので、中村嘉葎雄が主人公の詩人を、関根恵子がその愛人を演じています。
衝撃的だったのは当時26歳の関根恵子が恐ろしく可愛いこと。デビューからすでに裸になることを厭わなかった人とは言え、テレビドラマ「太陽にほえろ!」でアイドル的人気を獲得したあとだっただけに、ロマン・ポルノ出演はある種の「事件」と言えたでしょう。興行収入記録を塗り替えるのも当然と言えば当然です。
作品は東陽一監督が得意としたいわゆる「女性映画」の一種で、愛人という立場にいる女性の苦悩と葛藤を、繊細なタッチで描いています。ストーリーではあえて大きい波は作らず、主人公の内面に発生する大きな心の揺れを表現しようとする辺りは東陽一演出の真骨頂。日本映画のひとつの方向性がここに垣間見られると言っても過言ではありません。
精神に異常を来して行く関根恵子の芝居も意外と見もの。
ロマン・ポルノ侮れず。
日活ロマンポルノ!という言葉を、十何年ぶり位に目にしました。
この「ラブレター」は、当時見たかったという記憶があります。
顔ぶれたるや、文芸物みたいですね。
東陽一、女性物、たんたんとした描写、少ない制作費、とくると
何となくATGの「もう頬杖はつかない」など思い出しました。
「ラブレター」面白そうですね。
by Sho (2009-09-01 20:35)
僕も当時ロマンポルノは観ていませんでしたが、ATGは観てました。
有楽町にあった劇場が懐かしい。nice!ありがとうございます。
by ken (2009-09-02 02:54)
すごいね、出てる人たち。
関根恵子といえば、私にとっても「シンコ」の印象だったので、そのあと汚れたり壊れたりしていく役どころに、かなりびっくりした記憶が.....
で、この映画は、男子のお役に立ちそうな感じでもあるんですか?(下品ですまん。)
by snorita (2009-09-02 18:53)
関根恵子が嫌いじゃなきゃ、充分お役に立ちますわよ。おほほ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-09-02 18:58)
そうか、kenさんの世代でもにっかつロマンポルノは見ていないのか。
そう言われれば納得です。
傑作が色々ありましたよ。
個人的には末期の金子修介や中原俊監督作品が割と好きですが、あとは藤田敏八監督ですかね。根岸吉太郎、森田芳光監督ももちろん見逃せません。
by きさ (2009-09-02 23:33)
さすがきささんは守備範囲が広いですね。
by ken (2009-09-03 04:13)
高校生の頃にオールナイトでパートカラーのピンク映画見ました。
まあ、逸脱した高校生ではありましたね。
ピンク映画と比べるとロマンポルノは高級感ありました。
by きさ (2009-09-03 23:09)
高校生の頃は「エーゲ海に捧ぐ」とかが限界でしたね。
あれですら、観に行くのに抵抗がありましたw
by ken (2009-09-06 02:05)
私これ、何もいえないんですが、途中で挫折しました。
流行の時に見ておくべきだった。。。
by **feeling** (2009-09-20 23:00)
観ようとしたことがエライと思います。はい。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-09-21 01:31)