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決断の3時10分 [2009年 レビュー]

決断の3時10分」(1957年・アメリカ) 監督:デルマー・デイヴィス 脚本:ハルステッド・ウェルズ

 wowowに入ってて良かったなと思うのは、こういう作品を何気なく放送してくれるときだ。
 これはラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル主演の新作「3時10分、決断のとき」のオリジナル作品。リメイク版の仕上がりがかなり良いと新聞の映画評で読んだので、オリジナル版がどれほどのものか気になって観てみた。それにしても50年前の西部劇をリメイクするとは(2年前の全米脚本家協会のストライキの影響もあるだろうが)
、ハリウッドのネタ切れもいよいよ来るところまで来たようだ。

 アリゾナで名を馳せた強盗団のボス、ベン・ウェイド(グレン・フォード)がある小さな町で捕まる。
 保安官はボスを奪還しようとする手下たちをかく乱するため民間人に護送を委託。200ドルでその仕事を請け負ったのは、貧乏農場主のダンだった。ダンの仕事は刑務所のあるユタ行きの列車にウェイドを乗せること。列車の時間は午後3時10分。ダンの身の上を知ったウェイドは「逃がしてくれたら1万ドル払う」と買収を試みる…。

 一口に西部劇と言っても、やたらめったら撃ち合うものもあれば、滅多なことで銃は抜かないものもあって、前者はB級アクションに、後者は重厚なドラマに仕上がっているケースが多い。本作は後者に属する作品で、「金」と「正義」の間で揺れ動くダンの心理が丁寧な筆致で描かれている。何を隠そうタイトルにある「決断」をするのは保安官でもギャングでもなく、実は貧乏農場の主なのである。正直、これは意外だった。しかしこの設定こそが本作の最大のウリだ。

 ところで。
 映画はキャスティングによってストーリー展開が読める場合がある。
 本作もそのパターンのひとつかと思った。というのも、顔を見たことも、名前を聞いたこともない主人公のヴァン・ヘフリンに対して、グレン・フォードの役がいまいち“おいしくなかった”からだ。グレン・フォードも日本ではメジャーとは言い難いが、僕たちの世代には「スーパーマン」の育ての親、ジョナサン・ケントとして広く認知されている。だからこそ僕は、2人の知名度に対して役柄のバランスの悪さが終始気になっていた。なぜ、グレン・フォードはなぜベン・ウェイドという役を引き受けることにしたのだろう?
 その理由は最期の最期に明らかになる。なるほど“こういうこと”なら、ラッセル・クロウがこの役を引き受けたのも納得だ。この決着の付け方はまず映画として美しい。そして俳優にとってもおいしい結末だったと思う。
 映画の大半は心理戦で見せ、クライマックスに向けて緊張感を高めつつ、主人公に余計な殺生をさせない西部劇。個人的にはかなり気に入った。リメイクも観に行こう。

決断の3時10分 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD

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コメント 4

クリス

リメイクはめちゃくちゃ気に入りました。
ベールファンというひいき目抜きにして、よかったです。
あんな骨太な作品、久しく観てなかったなぁって。
元ネタも観たいですね。
by クリス (2009-09-22 00:11) 

ken

ううう、リメイクはちょっと期待しちゃうね。
これは映画館で観ておかないとなあ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-09-22 02:06) 

coco030705

こんばんは。
やっぱりkenさんのレビューを読むと、自分のおざなりな文章が
恥ずかしくなります。
リメイクでもラッセル・クロウがかっこよく見えましたもの。ラストが
すごく印象的でした。いい作品でしたね。
by coco030705 (2011-05-08 21:51) 

ken

オリジナルも、リメイクもどちらも味があって面白い作品って
意外と少ないと思います。そう意味ではどちらも観ていい作品ですね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-05-09 00:58) 

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