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スカーフェイス [2010年 レビュー]

スカーフェイス」(1983年・アメリカ) 監督:ブライアン・デ・パルマ 脚本:オリバー・ストーン

 デ・パルマ×ストーン×パチーノによる「暗黒街の顔役」(1932)のリメイク。
 僕は完全に観る順番を間違えた。「カリートの道」はこの作品のあとに観るべきだった。
 
 キューバを追放されアメリカに渡ったトニー・モンタナ(アル・パチーノ)は、あるコカイン取引をきっかけに、マイアミの麻薬王フランクの下で働き始める。その後、ボリビアで麻薬製造を取り仕切るソーサと巨額の取引を成功させた
トニーはフランクを追い落とし、彼の縄張りと情婦のエルヴィラ(ミシェル・ファイファー)を手に入れるが、若くして頂点を極めたトニーはやがて疑心暗鬼に陥っていく…。

 「カリートの道」のレビューに「cine*blo」のクリスさんから、「トニーとカリートの“下り坂の降り方”を見比べるとおもしろい」という主旨のコメントを頂いた。観てみるとまさしくクリスさんの仰るとおりで、だからこそ「観る順番を間違えた」と後悔した。どちらもパチーノが演じているおかげで、「カリートの道」は「もしもトニーが死んでいなかったら…」という目線で観ることが出来るからだ(スイマセン、ネタバレ書いてしまいました)

 もちろん1本の映画として観ても面白い。しかし、ここはせっかくだから「スカーフェイス」、「カリートの道」の順に2本とも観て欲しい。ハリウッド屈指のクリエイターが10年という歳月をまたいで作った2つの作品を、レンタルならわずか1,000円足らずで観ることが出来るのだ。「ビフォア・サンライズ」+「ビフォア・サンセット」のような純然たる続編とは言えないが、セットで観ると面白さが倍増する佳作。これはパチーノの年齢の重ね方だけでも観る価値がある。

 特に20代から30代の男子は観るといい。
 「スカーフェイス」は早くに成功を収めた者の“脆さ”を、「カリートの道」は早くに挫折した者の“賢さ”を描いている。
 最近の男子は失敗を恐れて何事にも挑戦をしようとしない。もしかして「失敗は成功の母」ということわざすら知らない連中がいるんじゃないだろうか。そこで47歳になった中年から言わせてもらう。挫折は何度でもした方がいい。挫折は人生を振り返り、先を考える好機である。そして何より人に優しくなれる。人に優しいと人生はいろいろ良いことがあるものだ。

 「スカーフェイス」ではキューバからやって来た“野犬”のような若者トニーを、当時43歳だったパチーノが実に瑞々しく演じている。「ゴッドファーザー」のマイケルは聡明な“お坊ちゃん”ギャングだったが、本作のトニーはまさに叩き上げ。そんなアウトローの立身出世物語は、たとえ裏稼業であっても男子には面白い。ただ2作品を見比べてどちらを面白いと思うかで、人生を折り返しているかいないかが分かるだろう。個人的には「カリートの道」の方が身に染みた。

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
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クリス

>「カリートの道」は「もしもトニーが死んでいなかったら…」と

そうなんですよね。ズバリそれをお伝えしたかったんです!
私は若い頃のパチーノ映画すべてをおススめしたいと思います。
あのエネルギッシュさは、今の若者からは感じられないかと。
自身もまた、彼の作品を観て駆り立てられる思いを感じます。
私は、『スカーフェイス』派ですね。kenさんより若いし^^
by クリス (2010-02-03 21:20) 

ken

そりゃクリスさんはまだまだ「スカーフェイス」派でなきゃねw
パチーノの若い頃の映画は「狼たちの午後」くらいしか観てないと思います。
「セルピコ」と「スケアクロウ」くらいは観た方が良さそうですね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-02-04 01:53) 

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